もうすぐ、会期が終わってしまいますが、備前の伊部駅の隣の美術館で、『つちの中の京都』という展覧会をしています。
見に行きました。
京都の市街地の工事の際に発掘調査された出土品のみの展示会です。
『 出土品 』の展示会?
土がこびりついて、小汚い破片ばっかりの展示会なんて……と、気持ちのどこかで思っていました。
エレベーターを降りて、展示室に入る まっ正面。ガンガンのスポットライトを浴び、中央の大きなガラスケースの中に、発掘品の破片がうず高く積み上がっています。
ちょっとしたオブジェのようで、破片の発色の組み合わせがキレイ。思わず、ガラスに張り付いて ピタッと かぶりつき。ほどなく、断面の土の表情を目で追っている自分に気づく。
『 焼締め屋 』の性か。
すべて、桃山時代のもので、初見のものばかり。
ザッと見渡しただけでも、期待度が にわかにグンと高まる。
展示品は破片をつなぎ合わせて、キレイに洗ってあり、鑑賞に堪えうる修復済み。
織部の緑釉が剥げているものの 伝世品と遜色なく拝見できる完成度。
備前焼に関しては、当時から やはり田舎のテイストを 求められていた事を再認識。
織部、志野に関しては、織部好みの茶碗など、さすがに桃山時代の味わい。
黒織部の茶碗が多く見られましたが、当時の趣味かと。
薄明かり茶室の中では、備前は闇に溶け込んでしまい、白黒のはっきりとした織部は、茶室の中で際立ち、アバンギャルドな精神に沿うものだったのでしょう。
食器に関しては、鉢は志野、向付は織部という具合。
いずれも現在のポーションから見ると かなり小さめ。
この頃の日本人は体格的には大きかったので、茶道での美意識の問題かと思いました。
作られた時期がはっきりとしているだけに、なかなか面白い展覧会でした。
地方の資料館などで見られる物と 似たような出土品ながら、展示の仕方、整理の仕方で見ごたえある展覧会になっていたと思います。
生き生きとした窯業地の活力 と 人の交流のダイナミックさを感じました。
土、日は 実際に触れることができるコーナーもあるので、もう一回行かないと……。価値あります。
つちの中の京都
会期/平成18年4月18日(火)~5月14日(日)
会場/岡山県備前陶芸美術館