ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

あんちゃんのいま

2017-04-07 22:29:53 | 日記

              あんちゃんのいま



         山道を
         がたがたと
         あんちゃんを乗せて
         あんちゃんの仕事場への道をゆく



         あんちゃんは
         山道を
         毎日
         孤独な思いで通っていたのか
         



         緑深い山道
         



         あんちゃんの憧れは
         アカシアの大連
         雨に煙った
         やまとホテルの玄関で
         京劇の女が
         耳まで裂けた口で
         待ち受けているものを
         疑わず



         ロマンの
         三国志にかぶれて
         ぶつぶつの
         水虫のはだしの足



         口裂け女に飲み込まれて
         胃の中で
         酸に溶け
         毛細血管の破裂
         失った漢字の日本語


       
         何者なのかわからなくなり
         はい
         わたしは土人で
         琉球人です



         インターナショナルなグローバルな
         ノンバーバルの
         どこにもいない
         孤独な
         

         あんちゃん


         いまも
         山道で迷子