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私の愛聴盤(第147回)

2020-10-25 | 私の愛聴盤
宮沢 昭の締め括り(7回目)は、「いわな」に続いて録音され、前作と同様に彼のオリジナルで固めたアルバムです。
彼の作品の中での私のベストアルバムであることから、愛聴盤(第147回)として掲載しました。
「木曽」THINK(VICTOR) THLP - 092
  
1.木曽
2.浅間
3.白馬
4.飛騨
宮沢 昭(ts , fl) 佐藤允彦(p) 荒川康男(b) 森山威男(ds)
録音 1970年3月17日
原盤は、日本ビクターの「日本のジャズシリーズ」からの1枚で、これは2008年に「昭和ジャズ復刻シリーズ」の1枚としてTHINK RECORDSから再発されたものです。

このアルバムが録音された1970年と言えば、マイルス・デイビスが「Bitches Brew」を発表した年であり、ジャズはこの年の前後を挟んで大きく転換していきますが、宮沢の演奏は、過去からの伝統に根差した上でオリジナリティを発揮しています。
圧巻は、最初のテーマが提示された後、3分30秒に渡る宮沢の無伴奏ソロとなる「木曽」で、コルトレーンの「至上の愛」の一節に似たフレーズも出て来るし、それをプッシュする森山のドラムスは、エルヴィンのそれに匹敵する凄い迫力です。
また、各人に十分なソロ・スペースも与えられており、17分50秒に渡る演奏があっという間に過ぎて行きます。
続く「浅間」は、魅力的なテーマを持った曲であり、徐々に白熱していく7分20秒、そして、宮沢の幻想的なフルートが聴ける「白馬」の8分32秒と続きます。
締め括りの「飛騨」は、最初の「木曽」と同様の雰囲気を持った曲で、後半はベースをフューチャーしたピアノ・トリオの部分はインスピレーションが湧く7分32秒です。

「FOUR UNITS」、そして「いわな」に続くこの「木曽」までの3枚は、当時最も先鋭的な演奏となった作品ですが、この「木曽」は、ドラマーが富樫から森山に替わったことで、また違ったサウンドとなっています。
バックを務める佐藤允彦のプレイは、山下洋輔張りに時に激しく、時には繊細なタッチで、荒川のベースはカチッと締まった正確な音程で、そして、森山の怒涛の様に次から次へとパルス的に打ち鳴らすドラミングと、いずれの曲も素晴らしいソロとサポートが続きます。

宮沢 昭は、ジョン・コルトレーンを研究していたことからも、このアルバムを聴く度に、コルトレーンの「至上の愛」を想像してしまいます。
そして、この「木曽」が、宮沢のこれまでのアルバムの中では、頂点となる演奏であると思います。

コメント
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