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私の愛聴盤(第10回)

2013-04-13 | 私の愛聴盤
今回はオリバー・ネルソンの「ブルースの真実」です。
第10回目ということで、オールスター・メンバーを集めたアルバムを取り上げました。
またオリバー・ネルソンに関するアルバムも載せました。

オリバー・ネルソン 1932年6月4日 ミズーリ州セントルイス生まれ
11歳でサキソフォンを手にし、1947年にはルイス・ジョーダンのバンドで演奏しています。
また1952年からは海兵隊員として日本、韓国に滞在していたこともあります。
この時から大の日本びいきとなり、幾度となく来日し「イースト・ウインド」のプロデューサーを務めていたこともありました。
また1967年にはNYからLAに引っ越し、インパルス・レコードに Live From Los Angeles というアルバムも作っています。
最初のリーダー・アルバムは、1959年にプレステッジに録音した Meet Olver Nelsonで、1962年までに9枚をレコーディングした後、インパルスに移籍し8枚を制作しています。
後年はサックス奏者というより、アレンジャーとして力を発揮しましたが、1975年10月28日、心臓発作により43歳の若さで亡くなっています。

それでは彼の全作品の中で、最も優れていると思われるアルバムを紹介します。
「BLUES THE ABSTRACT TRUTH」 ( IMPULSE A - 5 )
    
1. STOLEN MOMENTS
2. HOE - DOWN
3. CASCADES
4. YEARNIN’
5. BUTCH AND BUTCH
6. TEENIE’S BLUES
OLIVER NELSON(ts, arr) FREDDIE HUBBARD(tp) ERIC DOLPHY(as, fl) BILL EVANS(p) 
PAUL CHAMBERS(b) ROY HAYNES(ds)  録音 1961年2月23日

このレコードはインパルス移籍後、最初に録音されました。
LPジャケットは左側がオリジナルの図柄(国内盤)で、右側の青い写真の横顔のものが2nd (輸入盤)です。
このアルバムは豪華メンバーに驚かされます。
ここで演奏されている6曲は全てネルソンのペンによるもので、タイトル通りブルースを基礎に書かれています。
そして1曲目から良い雰囲気でスタートしています。
そのストールン・モーメンツについて、通常ブルースは A - A´ - B - A´ の12小節ですが、ここでは形式的にとらわれない自由さを持っていて、それが大きな特徴でもあります。
私はこのメンバーの中で、アグレッシブなアルトサックスを吹くエリック・ドルフィーに注目していて、調子外れのような吹奏でありながら違和感がなく聴けるところが良いです。(このアルバムでは曲によりフルートも吹いています)
反対にネルソンは、曲をなぞる様にスローな吹奏で対照的なところがユニークです。
またこの当時、リヴァーサイドと契約していたビル・エヴァンスが参加していることも珍しいですが、ここでのエヴァンスについては、中山康樹さんの「エヴァンスを聴け!」に面白く書かれているので、一緒に載せておきました。
ドラムスのロイ・ヘインズ、ベースのポール・チェンバース、いずれも好演していて非常にバランスのとれた良いアルバムだと思います。


以下は愛聴盤とは異なりますが、オリバー・ネルソンに関連するアルバムを何枚か紹介します。

まずは上記のブルースの真実に続いて録音された第2集とも言うべきアルバムです。
「MORE BLUES AND THE ABSTRACT TRUTH」 IMPULSE  A - 75

1. BLUES AND THE ABSTRACT TRUTH
2. BLUES O’MIGHTY
3. THEME FROM MR. BROADWAY
4. MIDNIGHT BLUE
5. THE CRITIC’S CHOICE
6. ONE FOR BOB
7. BLUES FOR MR. BROADWAY
8. GOIN’ TO CHICAGO BLUES
OLIVER NELSON(arr) THAD JONES(tp) DANIEL MOORE(tp) PHIL WOODS(as) 
PHIL BODNER(ts) BEN WEBSTER(ts) PEPPER ADAMS(bs) ROGER KELLAWAY(p) 
RICHARD DAVIS(b) GRADY TATE(ds) 録音 1964年11月10日、11日

こちらのタイトルは「モア・ブルース・**」となっていますが、メンバーも第1集に比べると小粒で、全8 曲中5 曲が他人の曲です。
タイトルからしてさぞやと思い購入しましたが、これはこれとして納得するしかなく、最初のアルバムを聴いた後で、続けて聴くとちょっとがっかりします。

続けてプレスティッジ時代に戻っての2 枚です。
「SCREAMIN’ THE BLUES」  NEW JAZZ 8243 ( SMJ - 6565 )  録音 1960年5月27日
「STRAIGHT AHEAD」       NEW JAZZ 8225 ( SMJ - 6506 )  録音 1961年3月 1日
   
OLIVER NELSON(ts, as) RICHARD WILLIAMS(tp) ERIC DOLPHY(as, bcl) 
RICHARD WYANDS(p) GEORGE DUVIVIER(b) ROY HAYNES(ds)

上記2枚の奏者は同じであり、STRAIGHT AHEAD ではリチャード・ウイリアムスのみ抜けています。
そして、ブルースの真実の録音に参加しているエリック・ドルフィーや、ロイ・ヘインズが参加していて、録音日も近いため同じような音作りとなっています。
笑ってしまうのは、上記1枚目のタイトル曲である「スクリーミン・ザ・ブルース」において、ピアノ・ソロに続いてオリバー・ネルソンが演奏するアドリブの最初のフレーズが、ブルースの真実の4曲目にあるヤーニンのテーマの一部と同じように聴こえることです。

次の2枚は彼のアレンジで話題になったアルバムです。
「ALFIE」 IMPULSE  A - 9111
 
1. ALFIE’S THEME
2. HE’S YOUNGER THAN YOU ARE
3. STREET RUNNER WITH CHILD
4. TRANSITION THEME FOR MINOR BLUES OR LITTLE MALCOM LOVES HIS DAD
5. ON IMPULES
6. ALFIE’S THEME DIFFERENTLY
SONNY ROLLINS(ts) JIMMY CLEAVELAND(tb) J.J.JOHNSON(tb) PHILL WOODS(as) 
KENNY BURRELL(g) others   録音 1966年1月26日

このアルバムはソニー・ロリンズが担当した初めての映画音楽で、イギリスの劇作家ビル・ノートンの原作で評判になった舞台劇を元に作られたラヴ・コメディーです。
過去にSJ誌で優秀録音賞に選ばれたこともあり、「音」も良いです。
しかし内容はと言えば、オリバー・ネルソンのアレンジより、ロリンズの演奏を聴くアルバムかもしれません。

「3 - 2 - 1 - O   OLIVER NELSON / ♯&♭ ’69」 日本コロムビア XMS - 10022 - J
  
 1. STRAIGHT NO CHASER
 2. GOOD BAIT
 3. SO WHAT
 4. C JAM BLUES
 5. BLUE MONK
 6. 3 - 2 - 1 - 0
 7. YEARNIN’
 8. 12 TONES BLUES
 9. 5 × 5 × 5
10. MISSION ACCOMPLISHED
編曲 オリバー・ネルソン  演奏 原 信夫とシャープス アンド フラッツ  録音 1969年9月

このアルバムは、原信夫の依頼によりオリバー・ネルソンが5 曲を提供し、既成の有名曲5 曲と合わせて10 曲の編曲を担当し、日本のスタジオで録音されたものです。
6、8、9曲目のタイトルに数字が並んでいますが、「3 - 2 - 1 - 0」は、今まさに宇宙に飛び出そうとしている瞬間の秒読みのことであり、♯&♭の将来に向けてという意味を込めて、ネルソンが今回の来日コンサートのために書き下ろしたものです。
「12 TONES BLUES」は、ド・レ・ミ・ファ ~ シ(ド)の7音に半音の5音を全て加えると12音階になりますが、この12音を使って曲にしたもので、元来ジャズ評論家のレナード・フェザーが作った曲ですが、ネルソンがフルバンド用にアレンジしています。
「5 × 5 × 5」は変調子の曲で、5 / 4 拍子で書かれており、途中で3 / 2 拍子に変ります。
そして10曲目は数字のタイトル曲ではありませんが、これも3 / 2 拍子と5 / 4 拍子が交互に出てくる曲です。
これらはいずれもフル・バンドで演奏するには難曲ばかりですが、それを見事にこなしており、良い雰囲気の中で満足な演奏ができたとされています。
フルバンドのアレンジも素晴らしく、ブルースの真実の中に入っている「ヤーニン」も演奏しています。
LPの裏面に当時の2人の写真がありましたのでこに載せました。
このLPは既に廃盤になっていますが、数年前にCDでも発売されていますので、フルバンドに興味のある方は一度お聴きになってみてください。

そして最後にもう1枚…
ブルースの真実の中で一番有名な「ストールン・モーメンツ」をピアノ・トリオで演奏している優れた内容のアルバムです。
「HAUNTED HEART」(邦題 魅せられし心) VENUS TKJV - 19041 ( CD:TKCV - 35034 )
 
1. MY FUNNY VALENTINE
2. HAUNTED HEART
3. STOLEN MORMENTS / ISRAEL
4. LUSH LIFE
5. HOW MY HEART SINGS
6. SOMEONE TO WATCH OVER ME
7. I SHOULD CARE
8. LOVER COME BACK TO ME
9. ISN’T IT ROMANTIC ?
EDDIE HIGGINS(p) RAY DRUMMOND(b) BEN RILEY(ds) 録音 1997年6月28日

日本のプロデューサーにより、エディ・ヒギンズを再発掘した最初のアルバムで、この後次々と録音されていきます。
「ストールン・モーメンツ」を含め、曲の解釈良し、録音良しのピアノ・トリオとして推薦アルバムです。

コメント (2)
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