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ミロスラフ・ヴィトウスの初期のアルバム

2013-04-12 | JAZZ
私の愛聴盤(第9回)において、チック・コリアの「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス」を紹介しましたが、今度はその時のベーシストのアルバムを取り上げてみます。

ミロスラフ・ヴィトウス(Miroslav Vitous) 1947年12月6日 チェコスロバキア生まれ
14歳からコントラバス(ベース)を本格的に習い始め、チェコ・フィルのコントラバス奏者の弟子になったことがあります。
1966年にウイーンで開催された国際ジャズ・コンクールのベース部門で優勝し、その後米国に渡り活躍することになります。
なお同コンクールのベース部門第2位は、同じチェコのジョージ・ムラーツ(本名Jiri Mraz 1944年9月9日生まれ)で、この年はチェコから2人の優秀なベーシストが誕生しています。
ちなみにヴィトウスのお兄さんはアラン・ヴィトウスで、ジャズ・ドラマーです。

ここではミロスラフ・ヴィトウスの初期のアルバムを中心に紹介します。
まずは自身の1st アルバムから…
「INFINITE SEARCH」 EMBRYO SD524 ( 邦題 限りなき探究 )
    
1. FREEDOM JAZZ DANCE
2. MOUNTAIN IN THE CLOUDS
3. WHEN FACE GETS PALE
4. INFINITE SEARCH
5. I WILL TELL HIM ON YOU
6. EPILOGUE
MIROSLAV VITOUS(b) JOE HENDERSON(ts) JOHN MCLAUGHLIN(g) 
HERBIE HANCOCK(p) JACK DEJOHNETTE(ds) 録音 1969年11月

ミロスラフ・ヴィトウスは1968年から70年にかけて、ハービー・マンのグループに加わっており、日本にも69年、70年に来日しています。
そしてこの1stアルバムのブロデューサーは、なんとハービー・マンです。
録音はエンブリオ・レコードとなっていますが、アトランティック系のレーベルで、当時ハービー・マンはアトランティックの専属でした。
そして内容ですが、1曲目のフリーダム・ジャズ・ダンス(電気サックスで有名なエディ・ハリスの作)を除き、全てがヴィトウスの作曲によるもので、全てアコースティック・ベースを弾いています。
参加メンバーからも分かる様にベテランばかりですが、その中で新人のヴィトウスは堂々としたものです。
ベースはピアノでいうノン・ペタル奏法のように音を伸ばさず、ホーン楽器の様に鳴らしています。
2曲でテナー・サックスのジョー・ヘンも参加していますが、当時はコルトレーンの後継者と言われていた時期でもあり、音に鋭さが残っています。
今回、このアルバムを取り上げるに当たり、全曲通して聴きなおしてみましたが、今聴いても新鮮さがあり、40年以上前に発売された時の反響はより大きかったように思います。

次はソニーから発売されたパープルですが、ジャケットの表はタイトルの文字だけす。
「PURPLE」 SOPM157
    
1. PURPLE
2. MOOD
3. WATER LILIE
4. DOLORES
5. IT CAME FROM KNOWHERE
MIROSLAV VITOUS(b) JOE ZAWINUL(elp) JOHN MCLAUGHLIN(g) BILLY COBHAM(ds) 録音 1970年8月25日

このアルバムは、ヴィトウスがハービー・マンのグループで日本に来日した折り、自ら持参したテープを当時ソニーのディレクターだった伊藤潔さんが買い取って、レコード化したものです。
この辺の経緯は解説書に詳しく掲載されていましたので、ジャケットと一緒に掲載しました。
そして内容ですが、サウンド自体は最初のアルバムの発展系となっていて、ここではヴィトウス自身の弓弾きと多重録音が多く聴かれます。
またピアノがハンコックからザヴィヌルに、ドラマーがディジョネットからコブハムに代わったことで、よりリズミックとなり、次に来るウェザー・リポートのサウンドに近いものになっています。
レコーディング・エンジニアがディビッド・ベイカーとなっていて、非常に優れた録音であることも付け加えておきます。

そしてウェザー・リポートの第1作です。
「WEATHER REPORT」
 
1. ORANGE LADY
2. MILKY WAY
3. UMBRELLAS
4. SEVENTH ARROW
5. MORNING LAKE
6. WATERFALL
7. TEARS
8. EURYDICE
JOE ZAWINUL(key) WAYNE SHORTER(sax) MIROSLAV VITOUS(b) 
ALPHONZE MOUZON(ds) AIRTO MOREIRA(perc) BARBARA BURTON(perc)
録音 1971年2月16日 ~ 3月17日

このウェザー・リポートというバンド名(アルバムのタイトル名でもある)は、ウエイン・ショーターが命名したもので、当初はヴィトウスがショーターに新バンドの結成を持ちかけたところ、ショーターはザヴィヌルとの間で新バンドの構想を練っていたことから、これにヴィトウスが加わる形で誕生しました。
しかしザヴィヌルとの音楽感の違いから次第に方向性が合わなくなり、1974年発表のミステリアス・トラベラーを最後にバンドを脱退してしまいます。
上記3枚のアルバムは1年3ヶ月の間に続けて録音されており、この3枚を通して聴いてみると、ヴィトウスが考えていたコンセプトがより明確になります。

ヴィトウスはウェザー・リポートを脱退した後、体調不良となり一時音楽活動を中止、その後、1979年にECMレコードに移籍しレコーディングに参加しています。
1993年には再び演奏活動を中断していますが、2003年に再起し、現在に至っています。
ECMでの自身のアルバムは6枚となりますが、中でも2003年に発売したユニヴァーサル・シンコペーションズは発売当時話題となりましたので、CDジャケットと共に、当時のSJのレビューを紹介します。
「UNIVERSAL SYNCOPATIONS」 ECM UCCE1034
 

そして2006年から2007年に掛けてECMに録音したもう1枚です。
タイトルはその名も「REMEMBERRING WEATHER REPORT」となっていて、ヴィトウスは弓弾きを多用し、オーネット・コールマンのロンリー・ウーマンや、ドヴォルザークの家路などをデフォルメした形にして、過去にない自由な音楽を演っています。
CDのジャケットの中にあったヴィトウスの写真と、発売当時のSJのレビューを掲載します。
   


なお、ヴィトウスは1stアルバムに先駆けて、ウエイン・ショーターのスーパー・ノヴァに参加しています。
「SUPER NOVA」 BLUE NOTE BST84332

1. SUPER NOVA
2. SWEE-PEA
3. DINDI
4. WATER BABIES
5. CAPRICORN
6. MORE THAN HUMAN
WAYNE SHORTER(ts) JOHN MCLAUGHLIN(g) SONNY SHARROCK(g) 
WALTER BOOKER(acg) MIROSLAV VITOUS(b) JACK DEJOHNETTE(ds) 
CHICK COREA(ds, vib) AIRTE MOREIRA(perc) MARIA BOOKER(vo)  
録音 1969年8月29日、9月2日

さらに、ついでと言っては何ですが、ミロスラフ・ヴィトウスにはこんな人とのセッションもありました。
「ROUND TRIP / 渡辺貞夫」 SONY SONP 50320-J

ジャケットにファクトリー・シールが貼ってあるため、画像が見にくくなっています。
このアルバムは全て渡辺貞夫のオリジナルですが、彼は過去にない激しい演奏をしています。
こんなナベサダ見たことも、聴いたこともありません。
そしてパープルのたった10日前に、NYで録音されていました。

「MARACAIBO CORNPONE / ジョージ大塚」 TRIO PAP-9122
  
こちらのアルバムは菊池雅章がピアノと編曲で参加しており、菊池のアルバムといってもいいかも知れません。
ヴィトウスも2曲提供していますが、全体的に面白いリズムを持った内容です。

 
コメント (1)
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