掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

辨天娘・山田錦20BY

2009-10-22 21:58:14 | 日本酒
今年2月、当ブログのコメント書き込みでも、お馴染みのSUISUI様とmazeキャプテンとで、泊り掛けで蔵仕事体験をさせて頂いた鳥取県八頭郡若桜町の蔵元「辨天娘」の太田酒造より、本日、注文していたお酒達が入荷致しました。
そのお酒は、2月の蔵仕事体験の時に「留仕込」(三段仕込最後の仕込)を手伝わせて頂いた、思い入れの有るお酒「20BY辨天娘 純米山田錦12番娘」で今年から初めてリリースされた商品です。
この12番の造り携わった「留仕込」の作業ですが、先ず蔵に到着した日、翌日「留仕込」に使う蒸米の用意のため、精米歩合80%の山田錦210Kgを、10Kgずつに分け洗米し洗米して行きます。その後、洗い終わったお米は、笊に入れたまま、半切り(タライの親分の様なもの)に水を張り、米に水分を吸わせる為、浸漬(米をに水に漬け)を行い、その後、笊ごと取り出し水を切っておきます。
そして翌日の早朝、その米を蒸しその蒸し米を、蔵の2階に運び込み、手で蒸し米を広げ自然放冷させました。
その後いよいよ麹と、これまた昨日量っておいた仕込水と、その放冷させた蒸し米を本込仕中の醪の中に投入してと「留仕込」は終了です。駆け足でご紹介しましたが、こういった作業を我々はやってまいりました。
【詳しい作業をご覧に成りたい方は、ここをクリックして2月に載せた当ブログをご覧下さい。】
私達にとっては、そんな思いで深い純米酒ですが、反面我々が携わっているお酒なので大変出来栄えが心配で少々不安な部分もご座いましたが、本日早速このお酒を飲んでみて、その心配も取り越し苦労だった事がよく分かりました。
開栓後のたち香は非情に大人しい印象です。色目はクリーンな薄い黄金色・酸はシャープというより、スパークする様な弾ける感じのフレッシュな酸味で、味わいはこれまで飲んだ辨天娘の若いお酒の印象とは少し変わって、以外にも短い熟成期間にも拘らず甘味の有る柔らかな旨味が、早い段階で感じます。高めの温度で燗にすると、きりりと引き締まり酸味は変わらず弾ける印象で、甘味は少し隠れては来ますが、それでも甘味は多少感じることは出来ます。温度が下がると同時に旨味はさらに深まり、今の段階でも十分楽しめます。これも山田錦という米の成せるところなのだろうか・・・・とも思ったりしましたが、今回玉栄65%20BYのサンプルも送って頂いており、それも試飲させて頂きましたが、山田錦ほど旨味は開いていませんでしたが、それでもこれまでの若い辨天娘の感じより、個人的に早い段階で旨味が出ている印象でした。燗冷ましに有ると旨味の中に、山田錦同様に感じていた弾ていた酸は、素敵な爽快な酸に変わって来ました。

「辨天娘20BY 純米山田錦12番娘」のデーター
原料米:山田錦(地元若桜町糸白見産) 精米歩合:80% 酸度:2.1 日本酒度:+9.0 使用酵母:協会701号 アルコール度:15以上16未満
価格:¥2,700
早い時期から楽しめる、このお酒是非お試し下さい。お勧めの1本です。



奥播磨・生もと誠保

2009-10-19 17:50:27 | 日本酒
先日、兵庫県姫路市安富町の蔵元「下村酒造」から注文していた商品が、入荷致しました。
その商品とは、奥播磨 生もと純米「誠保じょうほ」の火当て&生酒の2アイテムが入荷致しました。
興味深いのは、このお酒に使われている酵母はXX(ダブルエックス)2号酵母という酵母が使われていると言う事です。
この酵母は7号系で、酵母名は不明ですが15桁の管理記号が付いているみたいです。昭和の初期には、この酵母も沢山の蔵で使用されていたようで、この酵母を最後に使用した蔵は「菊正宗」さんだそうです。その後、東京農大で保存管理されていて、大学の方でも一度仕込みをされたようです。その後その資料に蔵元さんが興味を持ち、仕込みをされたようです。
下村酒造さんでは、数年前から先ず速醸(生酒・火当て)で商品化されましたが、先の仕込(20BY)は速醸(生酒のみ:すでに完売)と今回ご紹介の生もと(生酒・火当て)が造られました。
何か、当店で扱っている山口県岩国市の「村重酒造」さんの純米8号酵母仕込と何かよく似た経緯を感じますが・・・。

奥播磨 純米生もと「誠保」 火当て・生酒いずれも同じです。
使用米:兵庫夢錦 精米歩合:55% アルコール分:17・3 日本酒度:+7.0 酸度:3.2 アミノ酸度:2.3 使用酵母:XX(ダブルエックス)2号 
1800ml(火当て・生酒)=¥3,045 
720ml(火当て)=¥1,533
720mlは生酒も有りますが、現在はまだ火入れしか仕入れておりません。
味わいですが、生酒の方が火当て商品と比べると、旨味は出ている印象です。膨らみもあり、弱冠の苦・渋も感じます。心地好いしっかりとした酸味ですが、味の厚み複雑な味わいからか、データーの数字ほど強烈な酸味を感じません。(近頃、どこぞの大魔神杜氏の醸す酒を飲む機会が多いせいで麻痺しているのでしょうか・・・勿論お燗も楽しめます。生酒燗によく有りがちな、ふんわり柔らかな印象はあまりなく、高い温度では引き締まった味わいと多少の渋も感じます。
火当ての方は、生酒より弱冠硬めですが、生酒にはない引き締まった味わいを感じますし、旨味も徐々に出始めた状態です。高めのお燗はシャープな印象ですが、温度が下がって来ると同時に、柔らかな旨味と特に心地好いシャープな酸が口の中に広がります。
どちらも、食事には非情にアジャストしてくれ重宝しそうです。これから食卓に鍋物などのメニューも増えてゆくことでしょうが、是非そこに加えて頂きたいお酒です。



御礼・酒まつり

2009-10-15 16:15:20 | 出来事
先日10月10~11日(土・日)の2日間で、地元東広島市・西条JR駅周辺で「第20回酒まつり2009」が行われました。メイン会場のステージイベントを始め、中央公民館で行われる地元西条中学校生徒による、酒造りをモチーフにしたオペラ「白壁の街」・市役所の駐車場特設会場での行われる郷土料理「美酒鍋」居酒屋・全国のお酒が試飲出来る「酒広場」・各酒蔵を開放しての様々なイベントなどなど、色々なイベントが行われ、今年も大変有り難い事に24万人の皆様にお集まり頂きました。

当店にも、県内外から数多くのお客様・蔵元さん・杜氏さんにお出で頂きました。その中には、沢山の素敵な出会いも有り私自身もとても楽しませて頂きました。
祭り期間中も当店では、いつもながら店内は日本酒中心の営業をしておりましたが、倉庫前のスペースでは毎年恒例になりました、ドイツビール(6種類)とドイツソーセージ(ボイル白ソーセージ)・枝豆の販売を致しました。
昨年は、30Lのドイツビールを8樽仕入れて販売致しましたが、1日でほぼ完売し2日目のお客様にブーイング・・・・・そんな反省も含め、今回は倍の16樽を仕入れました。しかしながら天気が悪いと、一気に需要が激減する為、不安も有りドキドキでしたが、幸いな事に2日間とても好いお天気で、沢山の皆様にお出で頂き、完売を致しました。
今年は、祭り2日目にいつもお世話に成っている広島市中区新天地のビールバー「ゴールデンガーデン」のマスター福本さんとスタッフの(最近とてもスリムに成った)すぐるさんに、お手伝い頂きました。お二方共、お客様に懇切丁寧にビールの説明をして頂き、大変助かり心から感謝しております。オマケにお店のお客様にも宣伝して頂き、数多くの「ゴールデンガーデン」さんの常連の皆様も、お出でに成りました。

またその日は、三川町の居酒屋「いぶしぎん」さんが、当店2Fの居間&ウッドデッキのイベントルームにてお料理を作って頂き、特設居酒屋&燗酒ステーションが出来上がっており、これまたコアナ燗酒好きの皆様が甍わり立ち代りお出でに成りました。このスペースにも沢山の方が入れ替わり立ち代りお出でに成り、常時30人以上の方がこのスペースにいるといった状態で、皆さん「いぶしぎん」小牧さんのお料理と、当店でお買い求め頂いたお酒を煮酒にしては、舌鼓を打っておられました。
私も2日間を通じ、なかなか食事をとる時間や休む暇もなく、日中は皆さんが楽しく盛り上がっている中にも入る事が出来ず残念でした。
皆さんと合流できたのは、祭りも終わりとっぷり日が暮れた7時半頃だったでしょうか・・・・・
毎年同じ様に、私自身「酒まつり」で、他の会場で何をやっていたのか全くわからないまま、祭りは終わってしまいました。翌日残ったものは呑みつくされ空っぽに成った、30Lのドイツ生樽16本と、日本酒1800ml×18本・720ml×8本の残骸・・・・。
今年も皆様に支えられて、無事終わる事が出来ました。
当店のイベントに、お忙しい中ご協力頂きました「ゴールデンガーデン」の皆様・素敵なお料理を作って頂いた「居酒屋いぶしぎん」小牧さんご夫妻・ビール売り場で売った「丹波黒枝豆」を手配し、わざわざ持って来て下さったSUISUI様始め、お出で頂いた多くの皆様方に、この場を借りて深く感謝を申し上げます。また来年も宜しくお願い致します。



第13回竹鶴呑切会 その5

2009-10-06 23:58:13 | 日本酒
「きき酒」もまだまだ紹介していないものも有りますが、きりがないのでこの辺りで・・・・。きき酒タイムが終わった後、質疑応答の時間が設けられております。熱心な参加者の皆様は、ユニークな質問やシビアな質問を蔵元様にしておられましたが、心者の私は「きき酒」の時に専務さんや杜氏にこっそり質問をさせて頂き、瓶詰めや保存方法・・・他、ブログにもちょっぴり紹介させて頂いております。
【下写真:きき酒後の、質疑応答の時間】









質疑応答が終わると、もう一つのお酒の検証会「懇親会」の始まり始まりです
「酒だけでは完璧ではない、食べるものがあればこそ・・・・」と公言される蔵元さんだけあって、懇親会も真剣勝負です。懇親会の開始は、本日講演をされたウッドワーク上芝社長の乾杯から始まりまりました。【乾杯の音頭をとられたウッドワーク上芝社長】【懇親会開始前の風景】常温できき酒をしたのに対し、懇親会では料理に合わせて好みの温度態で楽しみます。食材も「竹鶴酒造」さんの、酒米を作っておられる契約栽培農家さんのお野菜や、地元で採れた食材をふんだんに使い、会場である「賀茂川荘」の木下料理長さんと打ち合わせされた、こだわりのメニューが、並びます。
酒肴三題に続き・向付 お造り(下写真:鯛・蛸・さわら)
続いて鉢肴(カマス若葉焼き)続いて強肴 どんこ椎茸( 帆立真丈・かもじ葱中華あんかけ) 台物 猪芋煮鍋( 洗い葱・口柚子) 戻鰹炙りベビーリーフ和えエゴマドレッシング イべリコ豚生ハムモッツァレラチーズ添え にぎり寿司(鮪・海老・秋刀魚)奈良漬け添え府中の蕎麦(なめこおろしぶっかけ)
他にも会場中央に(下の写真)セルフの卓盛りが用意されており、そこにも蛸と油揚げぬた・茄子のオランダ煮・きんぴらごぼう・だし巻き卵・ざる豆腐・蒸かしさつまいも・南京 馬鈴しょ田舎味噌・地野菜の漬物 水菓子 竹鶴酒入りアイスクリーム・無花果酒煮 といった素晴らしくもおいしい料理でした。
勿論、お酒との相性はバッチリで、最初は食べ切れるのか・・・・と思っておりましたお料理も、お酒・料理双方が双方を引き立て気がついてみれば、完食(お料理の写真をもっと取れればよかったのですが、ついつい箸と盃が進んでしまい、あまり撮る事が出来ませんでした・・・・・反省
【会場中央に設置された卓盛り食材達】我々の席は、清酒竹鶴「門藤夢様」の酒米の生産者でお馴染みの、門藤農園の門藤さん・京都の飲食店「魚の匠あさきぬ」のご主人佐藤さん・広島市リカーショップ「イシカワ」の社長婦人・お馴染み居酒屋「いぶしぎん」のご主人小牧様・飲食店「山人さんと」のご主人の山平さん・「山人」さんから独立され、今年オープンされた飲食店「田心でんしん」ご主人の田中さん、というほとんどが広島組。他のテーブルだった宇品「酒商・山田」の山田社長も集合写真に加わって頂きました。
きき酒の時に硬く、飲み頃まではしばらく掛かるかな~と思っていたお酒も、口の中が複雑に成ってくるにつれ、意外と面白い味わいも感じ、ここでもいい勉強をさせて頂きました。
2時間に亘る懇親会もあっという間に、過ぎてしまい、とても楽しませて頂きました。
いつもながら、毎年とても有意義な時間をつくって頂く「竹鶴酒造」の皆様方には、大変感謝をしております。本当に有難う御座いました。
それでは終了~と行きたいところですが・・・・入浴後、ここから地獄の二次会が「賀茂川荘」離れにて行われますが・・・・・余りにディープなためモザイクを掛けさせて頂きますので、ご想像にお任せいたします。
長い「竹鶴呑切り」リポートでしたがこれで一端終了致します。番外編も折を見てご紹介いたします。

告知
11月1日(日曜日)正午より「竹鶴・生もと純米を呑む会」竹鶴酒造・石川杜氏をお迎えし行います。この企画は、「割烹ホテル・一ぷく」さんの会席料理と、この度発売の「生もと純米原酒」(純米大吟醸・純米吟醸を含む)すべてを楽しむ事が出来る会です。早速20名近くの皆様にご予約を頂き、有難う御座いました。定員は20名(多少+α)です。まだ少しは余裕が有りますので、ご興味の有るお方は、こちらをクリックして詳細をご覧下さい。



第13回竹鶴呑切会 その4

2009-10-03 16:15:40 | 出来事
これまで、近日発売の生もとシリーズ19BYを中心にご紹介をして参りましたが、勿論、現在発売中の市販酒や生もとシリーズ20BY、その他にも怪しげな貯蔵酒なども・・・・・。
生もと純米シリーズは、20BYの造りから純米大吟醸・純米吟醸は原料米が地元産八反に変わりました。
というのも、竹鶴酒造・石川杜氏が目指す造りは、「あまり管理しすぎない・米をしっかり溶かし・完全発酵・長期熟成をして行く」という酒造りです。そうした事において、「必ず山田錦がBESTという事でもないもない・・・しかも全国的にも山田錦・雄町の系譜を持ったものが多い酒造好適米にあって、それに属さない広島独自の酒造好適米の「八反」を使用することによって、個性(独自性)地域性を持たせ、本当の意味での地酒として進んで行こうとする」という理念に基いたお考えからと、お伺いしております。
その八反を使用したお酒も、きりりとしたシャープ酒質で、思ったより複雑な味わいが出ていて、味の広がり方も少し違った印象でした。
他の市販酒の中では、下の写真のような変なものを見つけました。「小笹屋竹鶴・純米大吟醸(原酒)袋吊り」11BY(袋吊りではなく、通常の「小笹屋竹鶴 純米大吟醸(原酒)」11BYも有りました。
この21BY商品は、貯蔵期間が来年で丁度10年を向かえるという事で、来春くらいに2アイテム両方とも発売が予定されております。
「袋吊り」は熟香は余り強くなく、味わいは大人しめのアタックから滑らかでとてもスムース・軽快な印象。派手な出味はなく、ややもすると味の厚みに欠けるか・・・と思いきや、いえいえ煮出すと、味わいはむくむくと起き出して、心地好い酸・芯の有る味と柔らかな上品な旨味が広がりを見せます。
「通常純米大吟醸」も同じ様な傾向が見られます。両者ともまだ価格は未定で御座います。
向かって左下に11BY小笹屋竹鶴・純米大吟醸袋吊りのデーター。向かって右下に同じく「袋吊り」20BYのデーターを載せました。面白いので比較してみて下さい。

【11BY小笹屋袋吊り】【20BY小笹屋袋吊り】
原料米:山田錦(兵庫県産)原料米:八反(広島県産)
精米歩合:40%精米歩合:40%
酵母:熊本(KA-1)速醸酵母:無添加 生もと
アルコール分:15.9アルコール度:19.4
日本酒度:+5.0 日本酒度:+7.0
酸度:1.9酸度:2.9
アミノ酸度:1.2アミノ酸度:2.3
粕歩合:50.0%粕歩合:15.3%
約10年で、何てひどい素敵なお酒に進化したのでしょうかまだまだ続く・・・・・。