掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

鳥取出張 太田酒造編Ⅰ

2013-04-25 13:02:42 | 出来事
「日置桜」の山根酒造にお邪魔した翌日4月21日(日曜日)いよいよ今回の出張の本命鳥取県八頭郡若桜町の太田酒造場で行われる「辨天娘試飲会」に参りました。
鳥取駅発9:43の電車に乗り、目的地の若桜駅(若桜線最終駅)には10:37に到着します。そこから旧道を徒歩で約10分で太田酒造に到着します。
参加者の多くは、この電車に乗っていらっしゃる為、2両しかない電車はほとんど専用列車状態・・・(笑)
【続々と太田酒造場に集まる参加者のみなさん】
太田酒造場に到着すると、皆様が出迎えて下さり受付の手続きが済んだ方から順次、蔵二階の特設試飲会場に参ります。【受付をする参加者 中央にいらっしゃるのが太田社長】
【向かって左から順に、社長夫人克江様・娘さんの陽子さん・息子さんの章太郎さん・そして社長の実弟になられる太田清人専務】

参加者の皆様は、真剣にひとつひとつを熱心にきき酒されておられました。
きき酒のお酒は38種類。それをすべてきき酒し、コメント欄に感想を書いて行きます。
昨年は、この用紙は自分の覚書だけだったのですが、今年はきき酒が終わってから杜氏が回収し、コピーして返して下さるというシステムになっていました。
そんな事とは全く知らなかったので、コメント欄はなぐり書きにしており、さぞかし読みにくかったことと思います。

出品されたお酒の打明けはは新酒(24BY)が18点 23BYが6点 22BYが5点 21BYが1点 市販酒が8点。市販酒以外はすべて原酒での出品です。

先ずいきなりしょっぱなから21BYの酒米:玉栄 精米歩合:70% 使用酵母:協会701号 日本酒度:+11.0 アルコール分:19.3 酸度:1.9 アミノ酸度:1.4の結構濃い色合いの熟成もこなれた旨味の乗ったお酒からのスタートでした。
その後は、これから近い将来、市販酒として出荷される23BY・24BYの原酒が中心でしたが、通常の純米玉栄70%に関しては仕込違いで、かなり味の乗りや渋・苦に個性の違いがみられました。
五百万石70%に関しては、ほんのりと旨味を感じるものの全体的にまだ味の開きは少なく、もう少し時間が掛かるかな・・・という印象でした。
強力70%(24BYのみ)に関しては、相対的に奇麗な酸味と小気味のよい旨味が合い交わり、多少苦・渋も感じるものの際立ったものではなく、これからの熟成も楽しみです。
総じて、24BYは個人的には好印象で、骨格が確りとしていて存在感のある味わいと、切れの好い酸と伸びのある味わいを感じました。生もとに関しても、特に後半からの味の伸びと力強さを感じ、かなり複雑な味わいを感じるものも有り、これからの貯蔵熟成を経て出荷になるのが、本当に楽しみです。

この後は、参加者の皆様との懇親会に移りました。 つづく・・・・。



鳥取出張 山根酒造Ⅲ

2013-04-24 16:43:08 | 出来事
蔵見学終了後、分析室にてきき酒をさせて頂く事が出来ました。
①【24BY 仕込9号 強力(契約栽培農家:内田寿郎)精米80% 協会7号酵母】②【24BY 仕込7・8号 玉栄(契約栽培農家:杉山信一郎) 精米65% 協会7号酵母】③【24BY 仕込21号 山田錦(契約栽培農家:山尾邦彦) 精米55% 協会9号酵母】④【24BY 仕込22号 玉栄(契約栽培農家:杉山信一郎) 精米65% 生もと酵母無添加】⑤【24BY 仕込24・25号 山田錦(契約栽培農家:杉山信一郎) 精米60% 酵母不明】⑥【24BY 仕込26号 強力(契約栽培農家:杉山信一郎) 精米70% 生もと酵母無添加】⑦【24BY 仕込27号 強力(契約栽培農家:杉山信一郎) 精米60% 協会6号酵母】
さすがにまだ渋・苦が支配した感じは否めませんが、小気味よい旨味と酸のキレはとても印象的でした。
全て興味深いお酒でしたが、⑦の強力70%・6号の旨味の広がりと酸キレの良さは印象的でした。生もとのお酒も後半からの伸びが素晴らしく、熟成が楽しみです。
実は他にもこんなものも・・・・・【21BY 仕込27号 玉栄65% 無添加生もと】ま~気の毒な色でございます(笑)これが美味い美味い・・・・・。残念ながら出荷した後で、これからの出荷分は無いとの事。

他にも22BYの日置桜には珍しい雄町65%無添加生もとや、24BYの山田錦55%7号酵母使用もきかせて頂きました。

山根酒造さんでは原料米には無類の拘りがあり、社長の話にはとても感銘を受けました。勿論、山根社長ご自身も酒米の知識は豊富で、品質を上げるため15件の契約栽培農家さんとの取り組み中で、素晴らしい酒米を作り上げられています。
酒米は飯米とは違い、タンパク質や脂肪分が少ないものがよいとされています。米は肥料を使うと、タンパク質や脂肪分の数値が上がるため、低肥料・低農薬で栽培をされているそうです。
蔵元からタンパク質などの数値も設定し、それ以下になるように、すべての契約栽培農家が頑張っておられます。
また、そのお米を熱を持たない様に時間を掛けて自家精米しておられます。
たとえば、20俵の酒米を精米歩合70%にするのに6時間 精米歩合40%にするのに100時間(多少米の種類で誤差は有りますが)を掛けて精米されます。
また精米時の温度設定を40度以内にしていますが、もしその温度を超える様な自体が起こった場合は、自動的に排出される仕組みになっています。
こうして精米されたお米は、米袋に入れるのではなく、ナイロン製の網状の袋に入れられ保存されます。密封されたものに入れてしまうと、米が乾燥してしまい洗米や浸漬作業の時に米が割れてしまう事があるため、こういった網の袋で保管し空気中の水分を吸収し乾燥を防ぐためだそうです。
山根社長は、「うちほどいい米を使っている蔵はそうは多くないと思います・・・」と胸を張られます。その米を手間暇かけていい状態で仕込みに使い、大事に醸されるのが山根酒造「日置桜」なのです。これからも進化をする蔵元の一つです。

この度山根社長様には、忙しいところ私どもの為に長時間お時間を作って頂き、また本日の宿泊地の鳥取駅まで(所要時間30数分)自家用車でお送りくださリ、大変恐縮するとともに心より感謝致します。有難うございました。

今回で山根酒造のリポートを終了致します。



鳥取出張 山根酒造編Ⅱ

2013-04-23 18:06:02 | 出来事
前回のブログにて、山根酒造さんの仕込蔵の様子をご紹介致しましたが、今回もその続きです・・・・

山根社長のご案内で、蔵二階に在る麹室を拝見致しました。麹室は、二つの部屋に分かれています。上写真は蒸米を引き込み麹菌を振り種付けをし・床揉み・切返しなどを行うのにこの部屋は使われます。
上写真:もう一つの部屋は奥に在り、ここでは盛り・仲仕事・仕舞仕事・積替えなどの麹の育成が行われます。
これら麹室の二つの部屋は、作業の意味合い上、温度や乾燥状態が違うため、こうして仕切られています。
山根酒造さんでは、麹は上写真奥に積んである「箱」という道具で造られますが、一部高精白のものは「蓋」という1/3くらいの大きさの道具を使われます。

次にお邪魔したのは、もと場(酒母室)です。こちらもすべてお掃除が済み、かたずけれれております。
山根酒造様では、速醸の他に生もと造りもされており、もと場を別けておられます。すぐ上の写真が「生もと造り」用のもと場です。もと摺り用の半切りが並んでいて、いかにも生もとのもと場・・・・という感じです。
ここは、以前は物置で使用していた場所の様ですが、今は素敵なもと場としてよみがえっています。竹鶴さんのもと場も以前は物置でしたが・・・・・。
山根社長曰く、きもとのもと場は蔵に着いている菌なども考慮して、あえて土壁をむき出しに造られたそうです。

ちょっと話はと変わりますがますが、日本酒にお詳しい方はご存知かもしれませんが、こちらの蔵には、現在奈良県宇陀市の久保本家酒造(銘柄:睡龍)さんにいらっしゃる加藤杜氏が以前杜氏を務められておりました。
その当時、加藤杜氏が考案されたもと摺り用の櫂棒がいまも使用されているようで、見せて頂きました。下写真
その後再度蔵の一階におり、貯蔵タンクを見せて頂きました。たぶん酒造期は、ここのスペースにも仕込桶が並んでいると思われます。今は、火当てされたお酒が貯蔵されておりました。

次に見学させて頂いたのは、生酒などを貯蔵している冷蔵設備のある部屋にご案内頂きました。例えばこんなものも・・・・・・【仕込26号 無添加生もと純米 強力 精米歩合70%】その後は、分析室に移動しきき酒もさせて頂きました。つづく・・・・・・。



鳥取出張 山根酒造編Ⅰ

2013-04-22 20:26:49 | 出来事
先日の週末20日~21日で、日本酒関連の用事で鳥取県に出張致しました。
実は、2月21日(日曜日)に鳥取県八頭郡若桜町に在る太田酒造醸「銘柄:辨天娘」で試飲会が開催され、その会に参加する為に鳥取県に参りました。

しかしながら、せっかく鳥取県にお邪魔するならば・・・・と思い、先日広島市内の飲食店「あいさん家」の3周年でお会いした、山根酒造「銘柄:日置桜(ひおきさくら)さんにお邪魔する事に致しました。(勿論事前にアポはとっています)
山根酒造さんのお酒は、以前から気にはなっていた蔵元さんで、近い内にお邪魔してみたいと思っていたところ、私も会員になっているある団体の蔵見学ツアーで「今回は山根酒造さんです」と言われ、よろこでおりましたところ、残念ながらその日にすでに先約が有り参加する事が出来ませんでした。
そんな事もあり、蔵の作業はほとんど終わっているのでですが、このタイミングでお邪魔する事に致しました。
山根酒造さんは、鳥取駅から山陰本線(倉吉・米子方面)で約30分、青谷駅下車・そこからタクシーを利用し10分弱(料金950円)で、蔵に到着します。
山根酒造さんの蔵には午後1時ちょっと前に到着致しました。
事務所にお邪魔すると、すでに山根社長がいらっしゃり数十分色々な話をさせて頂きました。その後、事務所からちょっと離れた蔵まで歩いて参りました。
行く途中に、火入れタンク貯蔵の蔵を見せて頂きました。
ちなみに火入れタンク貯蔵の蔵は、空調設備は有りますが温度管理はしていないとの事。理由は低温だと熟成が掛かってくれないからといういたってシンプルな理由。勿論私も同感

こちらが仕込蔵になります。茶色の土塀蔵は、瓦は吹き替えているものの明治20年に建てられたものだそうです。

仕込蔵に入って最初に見せて頂いたのは、洗い場です。ここでは洗米や浸漬・などが行われます。
洗米は、多くの蔵でみられる給食などの米を洗う機械と同じようなタイプだそうです。

見せて頂いた順番は少し前後しますが、こちらがメインで使われる甑です。当然来季の仕込まで使わないので、ジャケットが巻かれビニールが掛けてありました。

これは先ほどより一回りり小さな甑です。この甑は、量が少ない仕込みの時や麹用の蒸米の時などに使われたりするそうです。

甑にお米を張り、このボイラーで蒸気を造り45分蒸上げます。
その後、仕上げにこの装置で130度の乾燥蒸気を造り15分蒸上げるそうです。
和釜も有りましたが・・・・・・
釜場は、9BY位まで使用されていたようですが、今は洗い物をする時の熱湯沸かしたり、火入れの時などにも使われているようです。
社長が仰るには、昔の米ならばこれでよかったのだけど、今のお米は高温障害にもなっていて、和釜では理想の温度まで上がらないとの事・・・。

放冷機です今はもう仕事を終え、奇麗に清掃され収めこまれています。

来季25BYの造りには、必ずお伺いしようと思います。 つづく・・・・・・



今夜のごはん

2013-04-18 22:49:49 | 食事
本日配達の途中、女房に付き合い晩ごはんの買い物に地元野菜農家直売場のお店に行くと、美味しそうなお野菜達が有ったので、今回はとってもシンプルな料理、名付けて「色んな季節野オーブン焼きオーブン焼きバーニャカウダーソース」にする事に致しました。野菜は、筍・新玉ねぎ・じゃが芋・人参・パプリカ・蓮根・マッシュルーム&今年初物シュパーゲル(白アスパラ)で~す。

こんな感じで取り分け、熱々のオーブン焼きを頂きました。オーブンで焼く時にはオリーブオイルだけと、とってもシンプルなのですが、凝縮した野菜の甘味や風味がとてもよく感じられ、とっても美味しいのです。
それに、にんにく・アンチョビ・オリーブオイルで造ったバーニャカウダーソースが、とっても相性がよく、お酒も進んでしまいました・・・・・・。

という事で今日は奥方様のリクエストもあり、こんなお酒をチョイス・・・・・・フランス・アルザスの白ワイン
Domaine Ffeyburger Georges et
Claude Riesling

(ドメーヌ・フレイブル・ジェール・ジョルジュ・エ・クロード・リースリング)
税込価格 720ml=¥1,950前回のブログ、あくさんでのワインも確かアルザスのワインでございました。
別に深い訳はございませんが・・・・・。

ここの造り手は、1963年にジョルジュ・フレイブルジェール氏によって設立されたドメーヌで、現在13ヘクタールの畑を所有しています。
1995年からビオロジックを、2001年からビオデナミをはじめています。 【ビオロジックとビオデナミの説明】
ワインも葡萄品種ごとに数種類あります。以下の通りです。
シルヴァーネール
ピノブラン
リースリング
ゲヴェルツトラミネールの4種類と、ピノブラン1/3・リースリング1/3・ミュスカ1/3をブレンドしたエゼルツウィッカー・リトルの5種類です。
今回飲んだリースリングは、色調はレモンイエローで洋ナシの香りやハーブのニュワンスもあり、ミネラル感もあり酸も爽やかでまろやかさも感じました。
アタックはするりとした印象ですが、意外と余韻は長く野菜の旨味や甘味を上手く引き立ててくれます。

明日は、春野菜・山菜の天婦羅の予定です・・・・・。明日はお燗でゆっくりと(笑)