掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

2013木下酒造 蔵見学 2

2013-02-26 22:07:53 | 出来事
一夜明け、2月10日(日曜日)我々は予定通り午前中に木下酒造に参りました。
本日、木下酒造さんでは蒸米の作業がありませんでしたが、お邪魔すると蔵人の方が後日の蒸米(生もと・濃醇甘口time machine用)に使われる、北錦(精米歩合88%)を洗米しておられました。先日、お伺いした太田酒造場さんでは洗米機で洗米した後、金の笊で受けてそれにもう一度水を流しかけて行く作業でしたが、こちらではブルーのネットに洗米された米を入れ、同じ様に、最後に水を流しかけて行きます。

上写真は、洗米機で洗った後、水を回し掛け洗いの仕上げをしているところです。
その後、水を張った半切り(上写真向かって左の金のたらいのようなもの)に、米に水を吸わせる「浸漬しんせき」が行われます。
その後、上写真:向かって右の梯子の様なものに、浸漬後ネットに入ったお米の水を切るために並べて行きます。

玉川では、他の蔵では余りないシステムがあります。
以前も本ブログでご紹介した事があるのですが、こちらの蔵では酒造期中、蔵人に完全休養の日が定期的に設けれている事です。
良いか悪いかは賛否両論あると思いますが、ハーパー杜氏が仰るには、「酒造期中に完全休業なしでやるのも一つの方法だけど、自分としては蔵人に無休で仕事をしてもらって、そのため疲労が蓄積し、結果として、それが酒質に反映されたり、事故などに繋がるのが嫌なので、こういったシステムにしているんです・・・」との事でした。
という事で我々がお邪魔したこの日は、休暇の蔵人も多く蔵はわりと静かでした。
【もと場】
我々がお邪魔した2月9日現在でまだ約半分の仕込が終了したくらいで、これからもう半分の仕込が残っているとの事・・・・・結構ヘビーな日程です現在の石数が700万石強。もともと昔から沢山の量を造っていなかったいなかった木下酒造さん。仕込蔵ももうパンパン状態。これ以上仕込が増えたらどうなるのでしょうか・・・・・。

その後、「time machine」(北錦:精米歩合88%)の麹を拝見いたしました。【すでに麹室から出され、出麹・枯らしの状態です】
やはり余り精白していない蒸米で造られた麹。そのため色はご覧の通り嘘にも白いとは言えない色合いです(笑)。
今年も、中々有意義な蔵見学と成りました。

今回も太田酒造・木下酒造の方々には、一方ならぬお世話になりました。この素晴らしい経験を、お酒をお買い上げの皆様方にもお伝えして行きたいと思います。



2013木下酒造 蔵見学

2013-02-25 22:07:52 | 出来事
太田酒造を14時頃に島根県の「太田酒造場(銘柄:辨天娘)」を出発し、その日の宿である京都府京丹後市久美浜町の「古谷屋」さんに到着したのは、16時30分くらいだったと思います。
この宿は、木下酒造(銘柄:玉川)から車で5分くらいのところに在ります。
木下酒造さんの蔵見学は、後日(日曜日)の午前中という事にしておりましたので、この日の晩は「古谷屋」さんの美味しいお料理を食べながら、玉川を飲もう・・・・というたくらみをしておりました。
しかも、杜氏のハーパーさんも後日蒸米の作業がないという事で、我々の飲み会に参加との話を聞いておりましたので、大変楽しみにしておりました。
そんな訳で、午後5時頃に杜氏を迎えに参りました。
その時、ついでに会用の持ち込みのお酒を木下酒造さんで購入。ほどなくして杜氏が登場そそくさと出掛ける準備をし17時30分くらいに、拉致いたしました(笑)
その後、古谷屋さんのお風呂を頂き、18時位からいよいよ飲み会スタートです。
お料理は、とても定評のある「古谷屋」さん。このような蔵見学や、木下酒造さんのの見切り会などで遣わして頂く事も多く、すっかり顔なじみの宿屋さんです。
季節柄蟹コース
先付は、つぶ貝・茸・海藻・フキ・烏賊始めに出て来る、おなじみ地元で取れる小ぶりのせこがに(松葉ガニのメス)の甲羅の中に、カニ身・内子・外子が奇麗に並べてあり、これだけで二合くらい飲めそうな、個人に大好きなお料理です。
シンプルだけど茹で蟹もとても美味会話が弾み、これ以降料理の写真が取れませんでしたが、地物刺身の盛り合わせ(勿論蟹も・・・)・焼きガニ・蟹スキ・雑炊・・・・といった蟹尽しの素晴らしいお料理でした。

お酒は・・・こ~んな感じです(笑)やっぱり、相も変わらず釜茹で地獄なのであります
お酒は、次の通りです。
純米吟醸 熟成生原酒 五百万石21BY
特別純米 五百万石22BY
生もと純米 五百万石22BY
山廃(白ラベル)純米生原酒24BY
以上、木下酒造で購入

純米吟醸 生原酒 雄町19BY
杜氏の貴重なコレクション放出品
19BYは、ハーパーさんが木下酒造の杜氏とし迎えられ、初めて醸された記念すべきビンテージです。
最初の味わいの印象は、パンチのある味わいというよりも、ある意味地味な大人しめの味わのイメージですが、
ゆっくりと旨味が湧いてくるような印象でした。生酒ではありますが熟成などの影響からか、生酒らしさが余り感じられない酒質で、際立った酸などの印象は有りませんが、味わいの広がりや円やかさがあり、食事との相性は非常によいお酒でした。
杜氏との話は無論弾みましたが、とてもデープで内容に関してはご披露できないが残念ですが、杜氏もとてもテンションが高く、とても楽しいひと時でした。ワオー
そんな訳で、楽しいひと時はあっという間に過ぎてしまいました。
杜氏も明日の仕事が有り、あまりひっぱても申し訳ないので、23時には解散という事になりました。
で、とりあえずお約束の記念写真
カメラマンは燗付け大魔王S様です。その為写真に写っていないのが残念です。
後列のお美しい女性が「古谷屋」の若女将です。とても気配りのある素敵な方です。
てな訳で、後日いよいよ木下酒造の見学です。



蔵見学 太田酒造場編4

2013-02-23 18:31:35 | 出来事
初日の仕事が終了した後、お風呂・夕食を頂きました。
いつもながらの心温まるような社長夫人&陽子様の素晴らしいお料理で、いつも美味しく頂いています。勿論お酒の方もご覧の通り(笑)・・・・・。太田ファミリーの皆様と楽しい会話をしながらの一時は、本当に至福の時です。次回からは早く切り上げないと・・・・と思いながらついつい話が弾み、気が付けばいい時間になっている事が多く相変わらずダメチームです。

一夜開け2月9日(土曜日)は、初添えの仕込です。
昨日、洗米・浸漬を済ませその後米の水気を切った米を、甑に入れ蒸上げる作業から開始です。【浸漬後、水を切った酒米】
いよいよ甑に米を張って行きます。
ボイラーを使い甑から蒸気があがっている状態で、金笊に入った酒米を甑の中に投入して行きます
そしてご覧の通り、甑で蒸上げます。
蒸し上がると、蒸米を放冷するために一定量を量り、簀子の上に移し手で広げます。太田酒造場では、放冷機を使わずすべて手で放冷作業を行います。【甑から蒸米を掘り出す、同行者のアジアの壁A様】
甑から掘り出した蒸米を、布で包み放冷をする簀子のある場所まで運びます。今回は初添えの仕込で蒸米の量が少なかったので、仕込蔵で放冷しました。

中・留仕込みは、放冷する際、一度手で解しながら放冷し、もう一度その作業を繰り返しますが、初添えの場合は、余り冷やさなくても良いとの事で、一回だけで終了です。

その放冷の済んだ蒸米は、酒母・米麹・水の入ったタンクに投入され、最初の仕込作業「初添え」になります。【蒸米が投入されたばかりのタンク内】
【蒸米を投入後、櫂を入れる中島杜氏】
こうして、初添えの仕事を体験しながら見学させて頂きました。
その後洗い物の作業を行い、今回の太田酒造場での日程をすべて終了致しました。
留仕込みの一番手の要る時でなく、初添え仕込み量の一番少い日に当たってしまい、たいした戦力にもならず燃費の悪い作業になってしまったこと、とても申し訳なく思っておりますが、太田酒造場の皆様方には、いつもと同じ温く接して頂き心から感謝をしております。
お礼奉公の気持ちから始まったお手伝いですが、とても手厚く迎えて頂きいつも恐縮しておりますが、どうもこの時期になると若桜の方に足が見てしまいます。

終わりに今回のツアーにエントリーなさりながら、まさかの前日インフルドタキャンとなった山岳部キャプテンには申し訳ございませんが、今年もとてもよい経験をさせて頂きました。
来年はお身体にご留意され、ご一緒できればと思います。

午後から我々3人は、一路次の目的地である京丹後久美浜の「木下酒蔵(銘柄:玉川)」に向かいました。



蔵見学 太田酒造場編3

2013-02-21 11:33:12 | 出来事
酒袋の詰め替え作業・洗い物をおえ、午後の作業が終わった後、仕込蔵で現在元気一杯醗酵中の醪を拝見いたしました。仕込みタンクの上に、ほこり除けの透明なアクリル板のような蓋が置いて有りました。よくビニールや木の蓋が置かれていますが、ごれは醪の面が良く見えていいですね・・・。以前お伺いした時にはなかったような・・・・新兵器

下の写真は、精米歩合70%玉栄(生産者:山本啓二さん)で醸されている仕込16号もこもこ元気に発酵中です。
こちらは等外米で造られる「青ラベル」といわれる商品になる仕込6号ものです。等外だからといって侮るなかれ、これ全て酒造好適米(山田錦・五百万石・他・・・などなど)しかも今回は等外(精米歩合65%)以外に玉栄(70%)のお得バージョン醗酵も後期になり、多少発酵も落ち着いてきた醪の面です。何と、きき酒ならぬ、きき醪まだまだ発酵ガスのピリピリ感が全体を支配しており、最後に渋味を残しますが爽やかで活き活きとしていて生命力をダイレクトに感じます。

こちらは、山田錦45%の純米吟醸になる醪です。これも後期醪で醗酵はゆっくりに成って来ています。
我々がお邪魔した次の日は、2本目の生もと仕込の「初添え」の日に当たります。
太田酒造場さんでは、今期3本の生もとを仕込まれます。そんな訳でまだ3本目に仕込む酒母(生もと)があり、そちらも拝見させて頂きました。すでに酒酵母は湧き付き発酵中です。醗酵はピーク時ではないものの活発に発酵中でした。
こちらも、ききもとをさせて頂きましたが、甘味は余りなく炭酸ガスは結構感じます。速醸であれば、この時点だと多少甘味も感じますが・・・・。

こんなふうに、1日目の作業&見学は予定終了でございます。



蔵見学 太田酒造場編2

2013-02-20 16:07:55 | 出来事
後日の初添え仕込に使う米の洗米・浸漬作業が終わった後、続いて同行したアジアの壁A様と私で、(ふね)と呼ばれる酒搾り機で搾った後の、ほぼ酒粕状態の様になった酒袋に入った醪を、隣に在る粕を造る為の専用の(ふね)に詰め替える作業を致しました。【太田酒造の槽(ふね)通常ほとんどの蔵元では、薮田式自動醪搾機といわれるアコーデオンのようなもので搾り、そのひだひだの所に粕が貼りつくように成って、それをへらではぎ取り粕は出来ます。
しかしながら太田酒造場などで使われている、酒袋に醪を入れそれを重ねて上から圧を掛けて搾る
 (ふね)搾りだと、搾った後にまだお酒の水分が多少残っており、粕が板状にはなっていません。
そこでお酒を搾った後、酒粕専用の一回り小さな
(ふね)に酒袋を詰め替え作業し、もう一度更にゆっくりと圧を掛け板状の粕にして行きます。槽の中には、お酒を搾った後のまだ酒の水分を残す、酒袋が積まれています。これからそれを取り出します。
圧を掛けて搾る際、万力の親分のようなもので搾って行きますが、まずその万力の間にかます、ずっしりとした垂木をウィンチのようなもので取り除きます。
垂木を外し蓋を開けると、中には搾られた後の酒袋に入った、醪と粕の中間のような状態のものが
(ふね)に並んでいます。【槽(ふね)の中に並んだ 搾られぺちゃんこになった酒袋】このぺちゃんこになった酒袋を、さらに粕用の(ふね)に詰め替えて搾って行きます。
(ふね)の外側は木製ですが、今は大部分が掃除のし易さや衛生面から、中はご覧の通りステンレス製になっています。
この酒袋
(約30×80cm)を取り出し、粕用の(ふね)に詰め替えます。【粕用の槽(ふね)
今度酒袋は、木枠に沿ってご覧のような形状に中央に重ねて積んで行きます。写真に在るように酒袋の位置をを固定するために木枠を使用します。
木枠の高さ一杯に酒袋を積むと木枠を外し一枚板を引き、その上にまた木枠を置き同じ作業を繰り返し、木枠3個分くらいの高さになるまで、酒袋を積んで行きます。金属の外枠も高さに合わせて積んで行ける構造になっています。

それが終わると上に垂木を渡し、上から圧力を掛けて行きます。

ご覧の様にボタンを押すと、上からゆっくりと万力の旦那がおりてきて、ゆっくりと長い時間を掛けて搾って行きます。

その後、洗いもが有りそれが終わると、午後の仕事は終了と成りました。その前に仕込蔵で醪の見学も・・・・・。