掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

玉川 五百万石 山廃生原酒 24BY

2013-01-31 17:59:23 | 商品紹介
先日、お馴染み京都府京丹後市久美浜の蔵元:木下酒蔵 銘柄「玉川」から、今期の仕込(24BY)山廃純米無濾過生原酒 五百万石が入荷致しました。
玉川 山廃純米無濾過生原酒
五百万石 24BY

原料米:五百万石 精米歩合:66% アルコール度:20.0 
酸度:2.1 アミノ酸度:2.5 日本酒度:+4.0 使用酵母:無添加
1800ml 小売価格 ¥2,600 
720ml 小売価格 ¥1,300


山廃純米無濾過生原酒は玉川の看板商品として人気を博しています。
通常は、原料米に北錦を使用したものが一般的に多く出回っていますが、その他にも以前のブログでもご紹介した「備前雄町」を使用したものや、「祝」を使用したものが、少量造られています。
今回出荷の「五百万石」も、酒造期に1本だけ
(仕込数量総米1,200kgだったと思います・・・・が)仕込む少量生産のお酒です。現在では新酒を無濾過生原酒で出荷すると、すべてなくなってしまい火入れ商品に回らないのが現状です。 
酒質は、玉川の山廃純米無濾過生原酒らしい芳醇でジューシーな旨味を感じますが、スタンダードの「北錦」と比べると、きりりと引き締まったシャープな味わいの印象です。
アタックは米由来の甘味も感じ、心地よい切れのあるフレッシュな酸と活き活きとした若い苦・渋がスーと現れますが、五味のバランスもよく余り突出した渋・苦味ではませんし、全体的に骨格の有るがっちりとした酒質の強さも感じます。
お燗も、思ったより若さが前面に出る様な事は無く、心地よい酸がとても爽やかで旨味も十分感じられます。

スタンダードな「北錦」の山廃生酒と本商品「五百万石」で醸したお酒を呑み比べてみて下さい。



花巴 24BY入荷

2013-01-28 22:06:43 | 商品紹介
先日桜や杉で有名な、奈良県吉野町の蔵元:美吉野酒造(銘柄:花巴)から今年度(24BY)醸造された、お酒が入荷致しました。
今回入荷したのは、水モト酵母無添加純米にごりと速醸酵母添加純米うすにごりの2アイテムです。
「水モト」のお酒のは、昨年11月に美吉野酒造さんにお伺いした際モト造りが行われている最中で(ブログにも掲載)こちらをクリック それを使用し造られたお酒です。

花巴 直汲 水もと純米にごり 無濾過生原酒原料米:きぬひかり・ひのひかり(奈良県産) 精米歩合:70% 
日本酒度:-12.0 酸度:3.2 アルコール度数:16.4% 
使用酵母:無添加小売価格 ¥2,940本商品は、「水もと」という個性的な酒母造り(水もとの説明:上のブログにも掲載と書いたところをクリックしてご参照下さい)を行い、木桶で仕込まれたお酒です。
その為か、とても複雑な旨味と、甘味・力強い酸味を感じます。また発酵中の醪が入っており、いわゆる活性タイプのにごり酒です。キャップには、醗酵時に発生する炭酸ガスが抜ける穴が開いていますので、キャップが飛んだり吹きこぼれたりする事は有りませんが、状況によっては吹く可能性も無い訳ではないので、開栓は慎重に行って下さい。
味わいは、きりりとしたシャープな酸味と、活き活きとした炭酸ガスをの影響で、日本酒度-12にも拘らず甘味を強く感じる事は無く、返ってドライな印象です。
燗にすると、おり由来の優しい味わいの広がり、その後更に明確になった酸味がぐっーと押し寄せてくる感じです。

以下、蔵元様の本商品の説明
このお酒は本来1番最初に搾る予定のお酒でしたが、醪日数が49日となりこの時期まで伸びてしまいお待たせいたしました。醪の醗酵が止まっているのであれば、すぐにでも搾ることがが出来たのですが、ほんの少しづつ切れており、ゆっくりとじらされ我慢比べのような酒造りでした。
原因としては、もともとの酒母の製造工程で「そやし」の酸が確りと出ており酵母の増殖がなかなか難しい中で、28度ぐらいの温度で湧き付かしており、その環境に適した酵母が勝ち残るか、正確形成がなされます。
今年は醪の段階で外気温が5度前後となっており環境の激変に戸惑ったと思われます。
その中でも酵母自体はたくましく、異なった環境でも死滅することなく生存可能で在った為であろうと考えています。「水モト」は、もともと温かい季節の造りですので、その環境下で力を発揮する製法であると実感致しました。しかしながら低温で醗酵したものの、乳酸飲料的な雰囲気で個性的な香味が特徴の酒質で、久しぶりに個性を楽しめる「水モト」ができたように思います。やはり、そやし水は臭い方が良いと確信しました!

花巴 弓絃葉 純米吟醸にごり 無濾過生原酒原料米:ひとごこち(長野県産) 精米歩合:56% 日本酒度:+4.0 
酸度:2.0 アルコール度数:16度以上17度未満 使用酵母:協会601号
小売価格¥2,835本商品弓絃葉(ゆずりは)シリーズは、酵母添加のお酒のシリーズです。こちらは協会601号(6号の泡なし酵母)で醸されたお酒です。
多くの蔵元では、酵母添加のお酒がほとんどの造りのパーセンテージを占めていますが、こちらの蔵元では酵母無添加(蔵付酵母)で醸されるお酒も沢山有り、こういった名前付ける事で酵母添加の商品と無添加の商品を別けています。
このお酒は一見大人しめの印象ですが、心地よい酸が利いていてふんわりとしたお米由来の風味と滓の旨味が広がり、切れのよい程よい旨味の飲み飽きしないお酒に成っています。

先にご紹介の、水もとの重厚で複雑さを楽しめる「にごり」と、きりりとシャープで爽やかな味わいの「うすにごり」ある意味対照的な味わいです。
是非、お楽しみいただければ幸いに存じます。

来月になると、水もとはにごりではない通常の純米無濾過生原酒(木桶仕込)が入荷予定です。合わせてこちらも宜しくお願い致します。



辨天娘24BY入荷

2013-01-25 22:47:25 | 商品紹介
先日、鳥取県八頭郡若桜町の蔵元:太田酒造(銘柄:辨天娘)より、今年度(24BY)醸造酒(新酒)が2種類入荷致しました。
太田酒造さんといえば、ある事がきっかけでここ数年泊まり込みで、酒造りのお手伝いをさせて頂いているお蔵です。
太田酒造さんは、お世辞にも大きな蔵とはいえない規模の蔵元さんですが、身内でもある中島杜氏を中心に、家族皆さんで酒造りに従事され、思いのたっぷりこもったお酒を醸しておられます。

我々もこちらで蔵仕事をさせて頂き、勿論もとても勉強にもなるのですが、それにも益して素敵な太田ファミリーの皆様とお食事をしながら色々なお話が出来る事は、とても気持ちが温かくなり至福の時間なのです。
こうして仲のいい素敵な太田ファミリーの方々と接し、お酒を酌み交わすと「辨天娘」という酒は、その温かな気持ち・愛情がすべてが注ぎ込まれているのだあな・・・を身を持って感じられます。
そんな太田酒造から入荷したお酒はこちらです。

1.辨天娘 2番娘 槽汲み(ふなくみ) 
  純米無濾過生原酒 荒走り(あらばしり)

原料米:若桜町(赤松地区産)五百万石 精米歩合:70% 日本酒度:+6.0 使用酵母:7号 アルコール度:18度以上19度未満税込価格¥3,4002.辨天娘 槽汲み(ふなくみ) 
  純米無濾過生原酒 中汲み(なかくみ)

原料米:若桜町(赤松地区産)鳥姫 精米歩合:70% 日本酒度:+6.0 使用酵母:7号 アルコール度:18度以上19度未満税込価格¥3,400
太田酒造ではお酒を搾る際、よく一般的に用いられるヤブタという道具ではなく「槽(ふね)」と呼ばれる道具で搾ります。
この搾り方は木綿(帆布)製の酒袋に醪を入れ、それを丁寧一つづつ重ねて行き、上から万力の親方のようなもので圧を掛け搾る方法です。
「荒走り」とは、圧を掛ける前の酒袋を重ねて行く段階で、醪の自重で一番最初に木綿の網目から流れ出る、少し醪を含んだ白濁したお酒です。
その後白濁したお酒が、木綿の目に醪が詰まって来て、途中から透明のお酒が流れ出します。それを「中垂れ」とか「中汲み」と呼ばれます。
その後、お酒は徐々に滴り落ちてこなくなります。そこで万力の親方の登場です
槽の上から、その万力の親方のような道具で圧力を掛けて搾って行きますが、それを「責め」と呼びます。

先ほどご紹介した、今回発売された「荒走り」は活き活きしたフレッシュな部分や、若いお酒に特有な渋味・苦味も感じられますが、米由来の旨も感じる事が出来、混然一体となったユニークなバランスです。
お燗にすると、さらに米の旨味は膨らみ、きりりと引き締まった部分と複雑な旨味がとても料理に合ってくれる印象で、新酒にしては十分楽しめる味わいになっています。

「中垂れ」の方は、シャープで引き締まった味わいの後に、ふわりと旨味と渋・苦味が徐々に現れます。しかし、苦・渋は嫌みがなく、アクセントになるような味わいです。
お燗にすると多少の若さも顔お出しますが、思ったよりも若さが目立たない印象です。というより若い青っぽさが心地よささえ感じます。一見軽快の感じもありますが余韻は複雑で、酸や渋・苦味と旨味のそれぞれの味わいが明確に感じる事が出来ます。
全てに当てはまるという訳ではありませんが、若いお酒は加水より原酒の方がまとまりの良さを感じます。

季節限定商品「荒走り」「中垂れ」是非是非お試しください。



竹鶴 酒造蔵見学 2012 Ⅵ

2013-01-23 23:09:49 | 出来事
もと場を後にした我々は、会所場で蔵人の皆さんの休憩時間に合わせて、ご一緒にお茶を頂きました。
その際、石川杜氏が我々の為に朝の蒸米の時に、ひねり餅を作って下さっており、それをオーブントースターで炙って、醤油を垂らし頂きました。

以前も頂いた事もありましたが、石川杜氏の作られるひねり餅はいつ戴いても絶品です
今回、そのひねり餅を写真に撮すチャンスがなかったので、以前朝早く蔵にお伺いし蒸米の作業を拝見した時に作って頂いた、ひねり餅の写真をご紹介致します。

その後我々は、麹室に参りました。
ここでは、この日蒸上げられた米に種麹が降られ布でくるまれた状態の、麹造り初期段階のものが在りました。八反錦 精米歩合70%
我々は、それをもう一度揉んで行く「切り替えし」という作業のお手伝い切り替えし体験をさせて頂きました。こんなに沢山の人数でやれば勝負は早いです(笑)
その後、仕込蔵へ・・・・・。
蔵見学にお伺いした頃は、まだ一本も上槽されていなく(搾っていない)、まだ醪状態のものしかありませんでした。
てな訳で、きき酒など勿論出来るわけもなく、仕込み蔵で上槽間近の醪を・・・・・。【もうじき上槽かな・・・純米吟醸・初しぼりになる醪だったと思います・・
【こちらは、大和雄町です。こちらももうじき上槽です】
長いリポートでしたが、これで完結です。
これから、次々と上槽が続いて行く事でしょう。またしばらくしてからきき酒も兼ねてお邪魔したいと思っております。



竹鶴酒蔵蔵見学2013 Ⅳ

2013-01-21 23:00:34 | 出来事
生もとの「もと摺り」を拝見&体験した後は、同じ「もと場」に在る「速醸(そくじょう)」の酒母を拝見いたしました。
以前のブログで申し上げた通り、原料米:八反錦 精米:60% 使用酵母:601号のそれぞれ仕込日の違う酒母が4本の『モト仕込桶=壷台つぼだい』
(下写真ドラム缶のような容器)に鎮座しておりました。(写真は3本しか写っていませんが・・・実際には向かって右手前にもう1本)写真1:【速醸仕込みの壷台】
竹鶴酒蔵さんの生モト造りは、4つの半切りでもと摺りが行われた後、それを1本壷台にまとめられます。その中で乳酸も造り出し、蔵付酵母が自然に湧き付き、アルコール醗酵も同じ壷台の中で全て行われるモト造りで、完成まで約1ヶ月を要します。

それに対して速醸モト造りは、乳酸を添加し、酵母も添加して造られるもと造りです。この造り方は労力も軽減されますし、安全に酵母育成が出来、完成までの期間も約2週間という短時間で出来るという事もあり、竹鶴以外でも全国の蔵元で一番ポピュラーな造り方として行われています。

Ⅰ) ※写真1の向かって左:タンクナンバー45のモト桶(壷台)がこちらです。【仕込日:1月9日】(蔵見学の日が1月12日ですから、経過日数3日目)面も穏やかで、まだアルコール醗酵していない、いわゆる湧き付いていなく状態です。

Ⅱ) ※写真1の白いジャケットが巻かれた中央タンク44のモト桶がこちらです。【仕込日:1月5日】経過日数7日目酵母が増殖を始め炭酸ガスの泡が見られ、物料が少し盛り上がった「膨れ」の状態。

Ⅲ) ※写真1の白いジャケットが巻かれた向かって右端45のモト桶がこちらです。【仕込日:12月31日】経過日数12日目大きくもこもこした泡で、活発に発酵しているしている「湧き付き」の状態なのですが・・・・・・・・ご覧の通り写真が吾輩と同じでボケボケ。でもなんとなく大きな泡らしきものが見え、雰囲気は分かって頂けるかと・・・・

Ⅳ) ※写真1には写っていないのですが45番モト桶の
右手前に在る最後の4本目がこちらです。
【仕込日:12月27日】経過日数16日目Ⅲ)のような活発な泡は落ち着き、いわゆる「枯らし」という状態。ほぼ完成。後日本仕込みに使用されるとの事。

今回も恒例の「モトきき」させて頂きました。もとをスプーンですくい味ききをします。
頂いたモトは、Ⅱ)~Ⅳ)の3種類です。

Ⅱ)は甘味と酸が心地よく、ヨーグルトの様です。正にフルーツの上に掛けてもいい感じ・・・・(笑)

Ⅲ)は発酵時の炭酸ガスを感じ、甘味はⅡ)より少なく最後に渋・苦味を軽く感じます。

Ⅳ)は甘味は余り感じなくなり、炭酸ガスと渋・苦味が全体を支配してる感じです。

写真は、「モトきき」をされる、同伴者のアジアの壁A先生
あともうお一方、大阪在住と言い張る(笑)H様順番を待つ皆さんも何やら楽しそう

長い竹鶴リポートも次回で、最終回の予定・・・・・・。