掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

辨天娘 新商品入荷

2010-03-31 10:51:01 | 日本酒
3月初めに蔵仕事体験にお邪魔した蔵元・太田酒造「辨天娘」さんより、先日ブログでもご紹介した今年初めて仕込まれた「強力ごうりき米」と「鳥姫(鳥系87号米=神の舞と玉栄を掛け合わせ)」の内「強力米」で醸されたお酒が入荷致しました。
勿論「火当加水」の商品は熟成させて、もう少し後の発売に成りますが、今回入荷の商品は生原酒ということに成ります。
今回入荷の商品は2アイテム。基本的には同じお酒ですが「荒走り」の部分を詰めた少し白濁したお酒と、その後滴り落ちる透明
(透明といっても酒本来の黄金ですけど・・笑)な部分「中垂れ」の部分を詰めたものです。
太田酒造さんでは、以前もご紹介した通りお酒は全量「木槽」
下写真)で搾られます。
辨天娘・純米生原酒 荒走り
原料米:強力(地元:若桜町産) 精米歩合:70% 使用酵母:701号 日本酒度:+10.0 アルコール度:19度以上20未満
槽で搾る時には酒袋に醪を入れ重ねて行きます。最終的には上部から万力の親分の様な物で圧力を掛けて搾って行きますが、このお酒は酒袋を積んでいく際、醪の自重でお酒が滴り落ちて行きます。最初に滴り落ちる白濁した部分を数量限定で詰めたものが
(下写真のような状態)このお酒です。発酵時の炭酸ガスも多少残し、プチプチとした刺激と醪由来のクリーミーな味わいを持っていて、薄いカルピスの味わいに似た部分も有ります。香りはメロンのようなニュワンスが有り、酸の爽やかさも感じ辨天娘らしいフィニッシュの快い苦味が締めてくれます。
価格1,800ml=¥3,400  価格720ml=¥1,700

辨天娘・純米生原酒 中垂れ
データーは「荒走り」のものと仕込みは同じタンクなので、勿論一緒です。「荒走り」の白濁した部分が収まり、同じく圧力を掛ける事無く醪の自重で澄んだお酒が滴り、酒質的にもとてもバランスがよいとされる「中垂れ」と呼ばれる部分を同じく限定数量詰めたお酒です。
申し遅れましたが、これら「荒走り・中垂れ」のお酒の仕込に使われた酒米は、ここ太田酒造の中島杜氏が地元若桜町赤松で栽培された
(しかも特等米だったそうです)お米で醸されたお酒です「荒走り」と比べ、炭酸ガスもあまり感じなく白濁した部分が無い分醪由来の甘さは有りませんが、程よい優しい旨味と切れのよさと、よい意味での綺麗な印象です。こちらのお酒の特徴でもある渋・苦味もとてもよいアクセントに成っていて、燗酒などは、特にこれからの旬の筍や、山菜のお料理には抜群の相性だと思います。
価格1,800ml=¥3,400 
数量限定の商品ですので、お早めにお問い合わせ下さいませ。



十旭日 新入荷

2010-03-30 16:40:53 | 日本酒
先日、出雲の蔵元旭日酒蔵「十旭日」より21BYの生酒が入荷致しました。
先般「十旭日」の寺田さんより、仕込タンクごとの詳細な酒質情報のFAXと、何点かのサンプルを送って頂きそれを参考に3点のお酒を注文しました。
最初にご紹介する2点は、今後は、加水火入れされるもので今回は希望の数だけ瓶詰して頂いた限定出荷商品という事になります。一つは『改良雄町 純米吟醸純米生原酒木槽しぼり』ともう一つは『五百万石 純米生原酒』です。もう一点は毎年少量出荷される活性のにごり『改良雄町 純米生原酒まげなにごり』

十旭日 改良雄町・純米吟醸生原酒 木槽仕込(仕込7号)
原料米:改良雄町 精米歩合:60% 使用酵母:9号系(島根K-1) 日本酒度:+6.0 酸度:1.8 アミノ酸度:1.5 アルコール度:18.9度
1800ml=価格¥3,400
アタックは、ふわりとした米の旨味と透明感のあるスルリト滑りこ印象ですが、その後力強さとシャープな味わいと後半からフィニッシュにかけては若い味わいの複雑さと渋味を感じます。現段階でも充分旨味を感じる事が出来、楽しめるお酒に成っています。

十旭日 五百万石・純米生原酒(仕込5号)
原料米:五百万石 精米歩合:70% 使用酵母:701号 日本酒度:+8.0 酸度:2.0 アミノ酸度:1.8 アルコール度:19.3度
1,800ml=価格¥2,900
しっかり発酵が進んだタイプです。雄町と比べると米の旨味はまだ控えめですが、程よい旨味に増しシャープで切れのある印象です。また、しっかりとした酸と渋味を感じますが、それが突出した印象はなく、とても爽やかなお酒に仕上がっています。

十旭日 改良雄町・純米原酒 まげなにごり(仕込32号)
原料米:改良雄町 精米歩合:70% 使用酵母:701号 日本酒度+7.0 酸度:2.1 アミノ酸度 度数:18~19度
1,800ml=価格¥2,900 720ml=価格¥1,450
言わずと知れたまげな
(=ひじょうに・たいそうにの意)「活性にごり」
発酵時の炭酸ガスを含んだ、発泡性のにごりいわゆる爆発物です。活き活きとしたフレッシュな口当たりと、キレのよい酸と滓の旨味・後口にほのかに青い苦い風味を感じ盃が進みます

この他にも、熟成の火当て加水商品純米「五百万石」が来月入荷予定です。こちらも燗上りのとても美味しいお酒ですので、入荷次第ブログでご紹介致しますのでお楽しみに・・・・



蔵見学出張・京丹後編Ⅲ

2010-03-23 19:15:33 | 出来事
麹用の酒米の蒸し作業と麹室への引き込みを拝見させて頂きました。その他にも杜氏には、仕込蔵もゆっく案内して頂きました。そこには元気良く発酵を続ける醪が沢山有りました。
中でも、仕込32号の酵母無添加・山廃純米(北錦米使用)の醪は恐ろしいほど発酵が進み、すでにアルコールは21度を超へまだ上昇しておりこれ以上切れ22度に達すると(カテゴリー上)、日本酒じゃなく成ってしまうのでそこまでアルコール度数が上がらないうちに搾ってしまわないと・・・杜氏も苦笑しておられました。
他にも個性的な極甘の生モト純米「time machine」の醪も有り、もうすぐ上槽のようでした。
その他にも「祝」という酒米で今酒造期初めて醸される山廃純米も元気良く高泡で発行中でした。今年は、昨年に比べ生モト・山廃の仕込がかなり多く、来年はまだまだ本数が増えるとの事・・・・出荷量(石数)の方も年々増へ、昨年が300数十石・今年が500数十石来年は・750石位の造りに成るそうです。
(一石=一升瓶×100本分)
これからも、とても注目の木下酒造「玉川」です。この度ご紹介したお酒も続々入荷予定です。またブログでもご紹介してまいりますので、お楽しみに・・・・・生モト・山廃の仕込みは今年全仕込の約半分。来年には速醸仕込を逆転し半分以上は生モト・山廃仕込みに成ります。そんな中、杜氏の最後の言葉が心に残りました。「蔵は総勢6人でやっていますが、蔵人の仕事の体制が一番大切です。過度に疲労が溜まったりして煮詰まってしまうと、その状態はすぐに酒に出てしまいます。そうかと言って簡単に人数を増やすのもなかなかです。手造りの部分も多々有りますが、上手く機会や道具も駆使して酒を醸しています。蔵人一人一人が十分パホーマンスを出せる環境を作り、彼らが存分に酒造りをしてくれる事が大事なのです」と、その言葉の中には酒に対するしっかりとした一貫性と、深い思い入れを感じる事が出来ました。
とても色々な経験も出来有意義な時間でした。予想通り素敵な蔵元でした。
木下酒造の皆様本当にお世話に成りました。有難うございました。



蔵見学出張・京丹後編Ⅱ

2010-03-18 21:44:06 | 出来事
フィリップハーパー杜氏に、蔵内を一通り案内して頂いた後、蒸しの作業が始まるのでを拝見させて頂きました。手前の水色の滑り台のような機会は蒸米を冷やす放冷機です。前回のブログでもご紹介した写真ですが、甑で酒米(雄町)を蒸し上げている状況です。

よく見えませんが天井部分全体がアルミ製のようなダクトに成っていて、天井と壁の境の壁面にファンが回っていて、蒸気を外に逃がしています。

蒸し上がった米は、すぐさま甑から掘り出され放冷機に移されて行きます。
蒸米の状況を確かめるハーパー杜氏
放冷機は両サイドから冷気が出て、蒸米を冷やしながらベルトコンベアーのような感じで上へ上へ運んで行きます。
放機冷機で冷まされ上に運ばれて来た蒸米は、杜氏が待ち構えていて、その場で下の写真の様に種麹を振っておられました。
こういった形で種付けされる蔵元も多々有るのでしょうが、私自身蔵元さんで種付け作業を拝見したのは、放冷した蒸米を一度麹室に引き込んでから種付けさせるものしか見ていなかった為、返って何か新鮮な感じがしました。勿論、種類異なるスペックの違うお酒を造るもの中には、麹室で種付けをするものも有るようです。

そうやって種付けされた蒸米は、放冷機の後部の高い位置からゆっくりと下に落ちて行きます。
落ちてきた蒸米は、布で受けて包まれて麹室へ運ばれます。
こうして包まれた種付けされた蒸米は、リフトで二階の麹室に引き込まれます。
そうして種付けされた蒸米を麹室に引き込んだ後、万遍に行き渡る様切り返しをされます。
引き込む部屋と隣麹を育成させる部屋は分かれています。麹は箱麹で造られていますがそれ以外にも、巨大箱ともいえる下写真のような台自体でも麹が造られます。台下の窓を開ける事により風通しが良くなるといった設計に成っています。こういった台も初めて拝見しました。



蔵見学出張・京丹後編

2010-03-17 19:30:58 | 出来事
前日、木下酒造さんにお伺いした時社長が「明日朝10時から蒸しがあります・・・」と仰っていたので、その作業も見せてい頂けるとの事で、午前9時に蔵の方にお邪魔しました。

応接間で、社長とハーパー杜氏が迎えて下さいました。そこでしばらくお話をした後、いよいよ杜氏の案内で蔵に向かいました。蔵は直売所を通り貫けた所に在ります。
蔵に入ると、すぐに洗い場・自動醪搾機が在り、その隣に甑・その隣の以前麹室が在ったスペースにモト場が在り、その奥に仕込蔵が在り、その仕込蔵の入り口から右にの奥に入った所に貯蔵庫が在り、二階には麹室といった蔵のレアウトです。


【洗い場】(米の洗米や道具を洗ったりする場所です)
【自動醪搾機】(醪を搾る機械・通称ヤブタ)
【甑】(ボイラーで蒸し上げる甑です)
【モト場】(酒母を育成する部屋です)
【仕込蔵】(酒の仕込みを蔵です。この写真は以前行った時撮ったの物です)
【貯蔵蔵】(出来たお酒を貯蔵・熟成する為に使われる蔵です)
【麹室】はまた後ほどゆっくりとご紹介致します。
という具合で、大まかに蔵の様子をご紹介いたしましたが、次回ブログでは酒米の蒸しの様子とその蒸米の引き込みの様子をご紹介致します。