掛井酒店

純米酒(日本酒)の話題を中心に、ドイツビールやワインなどの入荷情報、日々の出来事を発信します。

奥播磨・生もと誠保

2009-10-19 17:50:27 | 日本酒
先日、兵庫県姫路市安富町の蔵元「下村酒造」から注文していた商品が、入荷致しました。
その商品とは、奥播磨 生もと純米「誠保じょうほ」の火当て&生酒の2アイテムが入荷致しました。
興味深いのは、このお酒に使われている酵母はXX(ダブルエックス)2号酵母という酵母が使われていると言う事です。
この酵母は7号系で、酵母名は不明ですが15桁の管理記号が付いているみたいです。昭和の初期には、この酵母も沢山の蔵で使用されていたようで、この酵母を最後に使用した蔵は「菊正宗」さんだそうです。その後、東京農大で保存管理されていて、大学の方でも一度仕込みをされたようです。その後その資料に蔵元さんが興味を持ち、仕込みをされたようです。
下村酒造さんでは、数年前から先ず速醸(生酒・火当て)で商品化されましたが、先の仕込(20BY)は速醸(生酒のみ:すでに完売)と今回ご紹介の生もと(生酒・火当て)が造られました。
何か、当店で扱っている山口県岩国市の「村重酒造」さんの純米8号酵母仕込と何かよく似た経緯を感じますが・・・。

奥播磨 純米生もと「誠保」 火当て・生酒いずれも同じです。
使用米:兵庫夢錦 精米歩合:55% アルコール分:17・3 日本酒度:+7.0 酸度:3.2 アミノ酸度:2.3 使用酵母:XX(ダブルエックス)2号 
1800ml(火当て・生酒)=¥3,045 
720ml(火当て)=¥1,533
720mlは生酒も有りますが、現在はまだ火入れしか仕入れておりません。
味わいですが、生酒の方が火当て商品と比べると、旨味は出ている印象です。膨らみもあり、弱冠の苦・渋も感じます。心地好いしっかりとした酸味ですが、味の厚み複雑な味わいからか、データーの数字ほど強烈な酸味を感じません。(近頃、どこぞの大魔神杜氏の醸す酒を飲む機会が多いせいで麻痺しているのでしょうか・・・勿論お燗も楽しめます。生酒燗によく有りがちな、ふんわり柔らかな印象はあまりなく、高い温度では引き締まった味わいと多少の渋も感じます。
火当ての方は、生酒より弱冠硬めですが、生酒にはない引き締まった味わいを感じますし、旨味も徐々に出始めた状態です。高めのお燗はシャープな印象ですが、温度が下がって来ると同時に、柔らかな旨味と特に心地好いシャープな酸が口の中に広がります。
どちらも、食事には非情にアジャストしてくれ重宝しそうです。これから食卓に鍋物などのメニューも増えてゆくことでしょうが、是非そこに加えて頂きたいお酒です。