彼が、事務所に来た。
ひさしぶり、元気だった?
と言うと。
いいことがあって。
と言うんだね。
このたかちゃんネタは、このブログでも何回か書いていて。
たかちゃん、でブログ内検索をすると、6本ありました。
そのいいこと、というのが。
35年ぶりに、別れた奥さんと会った、と言うんだね。
彼女から、電話があったらしい。
長男が2歳、長女が5歳の時に、プイと出たきり。
という、なんか、湿った日本映画か演歌の世界みたいだけどね。
あれから35年、というわけです。
その間、奥さんは、女手ひとつで二人のお子さんを育て。
今では、お孫さんもいるそうで。
なんでも、木下惠介という映画監督の家で、行儀見習をしていた方だということなので。
今でも、背筋がピンとのびて。
とたかちゃんは、うれしそうだった。
しかも、再会の場所が、なにやら、一流っぽい、料亭みたいな場所だったそうで。
彼には、なんとも不似合いな場所で。
さまざま、話に花が咲いた。
帰りには、電車を乗ろうとするたかちゃんを、入場券まで買って、ホームで送ってくれた。
そうで。
いやぁ、そりゃ、いい話だね。
その彼女の台詞が、また、かっこよくてさ。
悪かったな、くらいのたかちゃんの言葉だったんだろうか。
いいのよ、嫌いでわかれたわけじゃないんだから。
だと。
朝っぱらからやってきて、すごい、ノロケ話でしょ。
まさに、映画のワンシーンみたいだよ。
息子さんたちは?
と聞くと、たかちゃん。
そりゃ、会えないよ、合わせる顔がない。
と言うんで。
あんたが、まだ、覇気のあるときに、会うほうがいいよ。
子どもからしたら、未だ見ぬ父親が、どんな人が、興味津々だし。
それに、そんな奥さんだったら、悪し様にたかちゃんのこと、言ってないと思うよ。
だから、二三発、ぶん殴られるのを覚悟で、会うさ。
杖付く前に会うのが、子ども孝行だよ。
と言ったんだけどね。