酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

40歳 下駄の ひとりごと

2007年05月26日 | オヤジのつぶやき
我輩は 下駄である

名前は ない  単なる下駄である



この家の玄関に住んで 40年になる  孤独である

従って 玄関に仲間は一足も いない

世の中 少子化が叫ばれているようだが 少下駄化を憂うものはいない


かくいう私にも 黄金時代があった

江戸 明治 大正 さらに戦前から 戦後にかけて。。我が世の春を謳歌したものだ

蛇の目傘との名コンビぶりも 一世を風靡した

笑いが止まらなかった  ゲタゲタ・・ゲタゲタ

この笑いで「下駄の品格」を問われたわけでもないであろうが。。

栄枯盛衰 世のならい  次第に仲間が姿を消していった

我輩の顔に 足の裏をのせていた主人も この世を去っていった

37年前である

その後 捨てられることもなく この玄関の片隅で余生を送っている


最近の出番は ときどき現れる小学2年の男の子

我輩の顔の 半分にも満たない足の裏をのせて 出かけてくれるのだ

行き先は 近くのコンビニという雑貨屋だ

若い店員さんが めずらしそうに覗いてくれる

我輩の顔が 認められた嬉しさで 赤い輝きに染まる瞬間だ


町内に 下駄屋がなくなって久しい

鼻緒 すげる ハダカ売り 歯 ほうば 壷・・・

これら 下駄関係の専門用語も もはや死語となっている

運動靴 いや スニーカー全盛時代だ

つっかけも サンダルと名を変え ひっそりと生き続けている


下駄は どんな形の足にもシックリとなじむ履物 世界に冠たる誇るべき発明だ

古いものが見直されつつある現代と聞く

我々 下駄族にも そろそろ出番があるのだろうか


みなさんのところに 我輩の仲間が逼塞していないだろうか

総決起大会を呼びかけてみたい


フンドシ いや 鼻緒をしっかり締め直して待機している 不惑の歳を迎えた 下駄のひとりごとでございます