ノアのブースに入るとオーディオ評論家である藤岡誠氏による講演が行われていた。藤岡誠氏は1944年の生まれである。相当な高齢であるため、やや話が覚束ない感じがあるにはあったが、ユーモアを交えながら講演会は進んだ。
スピーカーはエレクタアマトールⅢがセッティングされていた。それを駆動するアンプ類はブルメスター。レコードプレーヤーはドクトル・ファイキャルト・アナログであった。
藤岡誠氏の持ってこられたレコードが数枚かかった。エレクタアマトールⅢは、オリジナルのエレクタアマトールと比べてしまうと、そのデザインはすっきりとしたもので、独特な味わいは薄らいでしまった。
それでもヴァイオリンの音を聴くと、「やはりソナスファベールだな・・・ヴァイオリンの音が良い・・・」と、ソナスファベールのDNAがしっかりと引き継がれていることが感じられて嬉しかった。
藤岡誠氏の講演会は予定時間をオーバーして終了した。拍手で締まり、席を立った。次は、夜香さんが主宰されているDVASが出展しているブースに向かった。
数社が共同で出店しているブース内にDVASのスペースがあった。
そこには、記念すべきデビュー作である光カートリッジ専用のフォノイコライザーであるModel1とともに、「参考出品 ヘッドホンパワーアンプ Model2」と記された新製品が展示されていた。
ハイエンドヘッドホンマニアというのは、若い年代の方を中心として相当数いるようである。私はヘッドホンと言うと高いものでも数万円と言うイメージを持っていたが、ハイエンドヘッドホンはもう一桁高い製品である。
「そういった世界があるのか・・・」とヘッドホンを使用したことのない私などは感心した。
そういった若い世代のハイエンドヘッドホンマニアの方が開催期間中に相当数ブースを訪れて、この新製品を試聴されたようで、かなりの高好評を得たとのことであった。
早速私も試聴させてもらった。ヘッドホンは三つ用意されていた。それぞれ20万円、30万円、40万円の価格のものであった。私は真ん中の価格帯のヘッドホンを選択して装着した。
文字通り慎重に耳を傾けて、ハイエンドヘッドホンの世界を堪能した。
「これは映像機器に喩えると8Kの世界だな・・・」と感心しながら聴いていた。
初めてのハイエンドヘッドホン体験を満喫して、「こういう世界もあるのか・・・」と目からうろこ体験をした。
OTOTEN2023・・・2時間ほどの滞在であったが、とても充実した時間であった。4つのブースを回った。ハイエンドヘッドホンの世界の初体験とFINK team BORGの音には、かなりのインパクトを受けた。