中野坂上にある喫茶店Mimizukuには月に2,3回訪れる。時代の流れからは完全に取り残された感のある喫茶店である。その店内に一歩入り込むと、「昭和」にタイムスリップしたかのような感覚に浸れる。
最近では若い世代の方の間で「レトロブーム」が密かに広がっていて、いわゆる「純喫茶」に対して興味を抱く方もいるようである。
時折、こんな古い喫茶店にはそぐわないような若い女性のグループが店内に居たりする。
今日の午後、喫茶店Mimizukuの木製の扉を開くと、4人掛けのテーブル席に若い女性の3人組が陣取っていた。
ちらっとそちらの方に視線を向けてから、いつものようにカウンター席に座った。
「大学生くらいかな・・・若い女性が3人もいると、店内の雰囲気が変わる。華やかで、明るい雰囲気になるな・・・」
そんなことを思いながら、珈琲を頼んだ。珈琲がくるまで自分の背面に座っている若い女性3人組の会話に、ついつい耳をそばだててしまった。
その会話を聞いていると、やはり純喫茶ファンのようであった。時折3人で集まって、あちらこちらのレトロ感溢れる純喫茶を巡っているようである。
若い世代にとって、「スターバックス」などとは全く違う雰囲気が、かえって新鮮なのかもしれない。
私のような還暦世代にあっては、この店は懐かしさ満載である。その一つがカウンターの上に置かれたSONY製の古いラジカセである。亡くなったご主人の遺品のようで3台あり、時折入れ替わる。
今日、カウンターの上に置かれていたのは、CF-1980であった。発売当時大ヒットしたラジカセである。グレーとブラックのカラーリングが実にバランスが良く、カチッとしたデザインと相まって、実にハンサムである。「これは売れるよね・・・」と納得のデザインである。
