おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

垂れ流し状態

2023-06-26 11:07:48 | 日記
 パソコンが、バージョンアップしなさいと言って来たので、指示に従ってアップデートすると、それ以来パソコンが重くなったような気がして仕方ない。最新の状態にしたつもりが、なんだか後退したみたいで、いつになったら快適にサクサク動く時代になるのだろうと思う。確かに、昔はフロッピーディスクでデータをやり取りしていたのだから、比べようもない進歩であることは間違いないのだが、人間というのは何にでもすぐに慣れてしまうので、大して快適になっている気にはなれないのである。

 本屋に立ち寄って、何か軽い読み物でも思い、新書版の「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」(西垣通著)というのを買った。発行は2016年とあるから、すでに7年経っている。日進月歩のコンピュータの世界で、7年という時間は致命的かもしれないが、僕のように専門知識のない人間は、最先端科学の理解は難しく、時代が進んだときに振り返って初めて理解できるのである。

 今では当たり前のビッグデータという存在は、意外と新しい。昔はデータと言えば、お役所や会社で入力したもの、例えばアンケートを取ってそれを集計したり、個人情報を打ち込んだりしていた。そんな時代のデータは微々たるものである。ところが、スマホの登場により、いちいち誰かが手作業で入力する必要はなくなった。誰もがSNSで情報を発信する。ネットで買い物をする。レストランや旅先を検索する。音楽をダウンロードする。アンケートを個別に取らなくても、その人のスマホのデータを収集すれば、趣味や食生活、娯楽や興味の対象など、ありとあらゆる個人データが手に入る。それだけではない。スマホの位置データも記録されるので、その人の行動履歴も把握できる。

 例えば、ある人は運動するのは苦手で、暴飲暴食をするタイプ、読書はしないで間食ばかりしている。肥満気味で成人病一歩手前で病院にもお世話になっている、といった情報が簡単に手に入る。商売をしている側からすれば、データそのものが宝の山なのである。

 最近は何かと言えば、個人情報だから教えられないという。が、実際は垂れ流し状態で、誰にも知らせなくても、肉親が死ねば葬儀屋から案内が来る。お墓の案内が来る。スマホの情報だけで、その人の資産もある程度は想像がついてしまうために、相続税対策のために弁護士事務所からの連絡もあるかもしれない。

 2045年には、人工知能が人間の知能を超えるかもしれないと言われている。が、驚くには当たらない。産業革命以降、人間は人間の力をはるかに超える力を得て、それを利用してきたのだから。そのために地球温暖化のようなリスクも抱え込んでしまったが、それでも人間は新たに得た力を放棄することはなかった。おそらく、人工知能の発達も同じような歴史を歩むに違いない。僕らにできることは、どんな世の中になってもしぶとく生き抜くことだけである。
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