おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

中国の思想

2024-05-20 12:49:19 | 日記
 今、出口治明さんの「哲学と宗教 全史」を読んでいる。日本人には苦手な哲学と宗教をわかりやすく解説してくれているので、結構面白く読んでいる。例えば中国の大昔の思想について、こういうことが紹介されている。

 大昔の中国で、孔子や墨子が活躍した時代がある。その流れでいろんな学派が出てきた。あんまりたくさん出てきたので、諸子百家と十把ひとからげで呼ばれているが、遠い昔の話ではないのは、今もって多大な影響を現代にもたらしているからだ。

 孔子を開祖とする学派は、儒家という。その思想は「仁」と「孝」で、家族を大切にしましょう、祖先を大切にしましょうというのがもっとも大事な教えだ。それが国の安定、平和にも通じる。が、これに反対したのが墨子を開祖とする墨家である。家族や祖先を大切にするというのは、裏を返せば血縁関係にないような人を排除してしまう恐れがあると指摘した。今でいう人権の考えは墨家の方にある。が、テレビでコマーシャルを見ていると、やたらに「大切な人」だとか「愛する人」なんて言葉が氾濫する。そういうCMを見るたびに、「世の中には大切な人とそうでない人がいるということか」と感じてしまう。そういうところが問題にならないところが、実は日本人の人権に対する意識の低さを反映しているのである。

 孔子に始まる儒教は、中国、朝鮮半島、日本で影響力を持った。中国でのウイグル族に対する人権侵害のニュースを見ていたりすると、やはり儒教の影響がいまだに強いんだろうなと思う。

 儒家や墨家の他にも、陰陽家などはいまだに日本に強い影響を与えている。映画でも「陰陽師」なんかをやっているが、そもそもは陰陽学、陰陽五行説からの流れだ。簡単に言うと、この世は陽と陰というふたつの要素で成り立っている。そこに5元素が加わって世界はできている。木、火、土、金、水だ。さらにこれを陽と陰で分けると、木の陽は甲(きのえ)、木の陰は乙(きのと)となり、甲、乙、丙、丁、戊、己、辛、壬、癸の10種になる。

 これに十二支が加わると、それぞれの組み合わせ、最小公倍数の60でひと回りする。これが人間の場合「還暦」となる。ここで0歳児になったのでおめでたいと、赤い帽子に袖なし羽織でお祝いをしたりするのである。

 少し前は丙午(ひのえうま)の女性は気性が激しいと言われ、その時に生まれた女性は敬遠されがちだった。これは丙(ひのえ)が火の陽であり、午(うま)も陽なので、激しい組み合わせとされたのだ。

 陽と陰は、順序で行くと奇数は陽、偶数は陰になる。中国人は陽が大好きなので、陽が重なる月日、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日は祭日となっている。日本人は陽だの陰だの言われても何のことかピンとこないが、こういうところでも大昔の中国の思想の影響は受けているのである。
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