おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

適用除外という悪夢

2023-02-25 09:25:55 | 日記
 久々に腹の立つニュース記事を読んだ。記事を書いた人に腹が立ったのではない。記事の内容が、こんな事実がありながら、国民に広く知られていないという事実にむしゃくしゃしたのである。

 記事は、『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部宏治著(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものと断ってある。で、内容というのが、沖縄県の米軍機の話から始まる。沖縄県宜野湾市の市長だった伊波洋一さん(現参議院議員)が、講演でこんな話をする。「米軍機は、米軍住宅の上では絶対に低空飛行をしない。それはアメリカの国内法がそうした危険な飛行を禁止していて、その規定が海外においても適用されているからだ」

 これが何を意味しているかというと、アメリカの法律では、米軍機は市街地の上を低空で飛んではならないことになっていて、これが日本においてもちゃんと守られているということなのである。だから、米軍機は沖縄にある米軍住宅の上は絶対に低空飛行をしない。おまけに、日本の希少種の野鳥の繁殖期には、基地の工事も中止となる。アメリカの環境関連法は、自国の動植物や遺跡だけでなく、なんと日本の鳥(希少生物)まで対象としているというのだから、徹底している。

 それなのに、米軍機はどうして沖縄の市街地の上は低空飛行するのか。それは日本の法律に、「米軍機には、〔最低高度や飛行禁止区域を定めた〕航空法第6章の規定は適用しない」という「航空法特例法」があるからである。米軍住宅や貴重な野生動物は守るけれども、日本人だけは守らないのは、なんと日本の法律に米軍機を制約する規定がないからだからである。

 で、著者の矢部さんは福島原発事故のことも、そこに共通の構図があるように感じて調べてみる。すると、大気汚染防止法には、「この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染及びその防止については、適用しない」とあり、土壌汚染対策法では「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く)と書いてある。水質汚濁防止法では「放射性物質による水質の汚濁及びその防止については、適用しない」とある。つまり、原発事故が起きて周辺地域が汚染されても、補償はしなくても良いとちゃんと明記されていたのである。

 なぜ、こんな不思議な法律があるのか。勘繰りたくなるのが、原発により補償問題が生じると、原発を作りたくても電力会社にとって重い足枷になってしまうからではないか。それでなくても、電力会社はかかった費用はすべて料金に上乗せできるため、絶対に赤字にならない会社というのは有名だ。だから、出来の悪い政治家の息子は、どんどん電力会社に就職させているという噂もあるくらいだ。

 矢部さんの話では、憲法さえちゃんと機能していれば防げる話だそうだ。ところが、戦後の焼け野原だった日本で施行された憲法には、公衆衛生に関する項目はあっても、環境に関する項目がないという。世界はどんどん環境に関する憲法を日々新たに改正しているというのにである。

 平和憲法である9条を守るというのは、決して間違いではないかもしれないが、憲法を少しでもいじることが9条改正につながると信じ、憲法そのものの改正を拒み続ける人たちには、こうした現実があることを知っておいてもらいたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分を育てるということ | トップ | 古文の授業の思い出 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事