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イラク戦争と、米の退廃(2)国連の嫌われ者  文科系

2020年06月29日 10時29分01秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 トランプが大統領になって間もなく、ある日のテレビニュースを見ていたら、トランプがこんな不平不満を力説していた。
「何億ドル、何十億ドルと(米国から)受け取る国々が私たちに反対する。彼らの投票を注視している。反対すればいい。大きな節約になる」
 アメリカが、エルサレムをイスラエルの首都と「認定」したことを巡る国連論争の話だ。このエルサレム首都問題論争での国連総会採決の後では、米国国連大使のこんな言動も報道された。
「国連や国連機関への拠出金を最も負担しているにもかかわらず『米国だけが軽蔑を受けている』と不快感を強調した」
 
 イスラムの聖地があるエルサレムの東半分は今なおパレスチナ自治政府のもののはずだが、イスラエルが軍事力で占領したままの状態で国連が凍結していたもの。そこへトランプ政権突如の「首都と認定」だから、イスラム教世界という蜂の巣をアメリカが激しくつつき直した形になった。
 イスラム世界が協力して国連に提出した「認定反対決議案」が、まず、決定には強制力が伴う国連安全保障理事会でアメリカの拒否権に会って、否決。そこでイスラム諸国は、世界政治対立の道義、良識を判定する国連総会の採決にこれを持ちこんだ。こちらは、賛成128、反対9、棄権35か国、他に21か国が採決に参加しないという結果。冒頭の米発言二つは、この採決に対するアメリカの事前事後二つの反発発言なのである。

 他宗教の聖地への冒涜が酷い上に、それへの抗議に対して「たくさん金を出してやってる場でこの『軽蔑』!」等という対応、発言は、普通の日本人なら到底できないものだろう。「エルサレム首都認定反対国には、米支援を止めるぞ」とか「国連拠出金が最も多い『米国だけが軽蔑を受けている』のは、おかしい」とか。むしろ、過去の国連調停を踏みにじって、どういう権利によってかは知らぬが米単独で首都認定を出した上にこんな発言をするからこそ、この国が余計に軽蔑されるのではないのか。そもそも国連決定を無視するということ自体が加盟国を侮辱する行為であると、そのことがわからないふりをしたアメリカのこんな言動こそ、「金で人のほほをひっぱたく」ものとして軽蔑されたのではなかったか。

 さて、こんな内容を僕のブログに書いた日に、常連のネット右翼さん方から、反応、反論があった。
「アメリカが自分の好きにするだけじゃない? 他国も、国連も、無力です」
「米国の軍事力、ロシアの軍事力、中国の軍事力、イスラエルの軍事力、すべて、同じように軍事力をちらつかせて外交を展開しています。結局力が物を言う現実はそうそう変わらないということが証明され続けていますね」
 こういう弱肉強食世界はそうそう変わらないと言いつつ、これを肯定しているのである。金で人のほほをひっぱたく政治とか、軍事力で恫喝する外交とかを、ネットという公論の場において人類の普通のことと主張しているのだから。これと同様に、米政府から冒頭の外交発言が普通に出てくるという事態も、アメリカという国の日常がもう「金で人の頬をひっぱたく弱肉強食社会」になっているから起こった事なのだろう。こういう人々こそ、人類には公論、公正などは存在せず、戦争こそ自然という法則を自ら作っているのである。

 社会正義とか公正が消えていく政治頽廃と人間自身の頽廃との悪循環。世界征服戦争に打って出た日独など全体主義国家が滅びて民主主義国家が中心に座りなおした終戦直後しばらくは、この良循環があったような気がするが、世界はいつの間にこんな悪循環に陥ってしまったのか。今の米中冷戦が深刻化する世界の諸現象をば、第一次世界大戦の後の世界に似ていると評する識者も多いのである。


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1 コメント

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米を旧大国と比較する (文科系)
2020-06-29 12:21:09
 大国の興亡に関わって20世紀以降世界史のなかで標記のことをやってみると、今のアメリカの往生際の悪さは特に目立つのである。
① 第二次大戦までの世界一大国・大英帝国は、世界の半分をはるかに超えていたその植民地を黙って明け渡した。18世紀末から発展してきた民主主義や民族自決権の潮流を進んで受け入れたのである。
② 第二次大戦後長く続いた冷戦時代にソ連は自ら終止符を打った。ゴルバチョフがアメリカに降参と手を上げて、覇権争いから平和裏に降りたのである。

 さてそれでは今の米中冷戦はどうなるか。アメリカの大国意識、筋肉質プライドは到底平和裏の交代はできないだろう。年間80兆円の軍事費を維持する力などもうとうていないのにである。国家累積赤字は既に、そのGDPの4倍を優に超えているはずで、これは日本よりも倍悪い借金財政である。中国に工業を採られたと認めるその経済は回復の見込みもないのである。
 アメリカは一体どうするのだろう。 
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