標記のことを熟考し、合わせてそこから、間もなく現れる新ザックジャパンについて、僕の夢想を記してみたい。
本田、香川の(トップ下)起用法をめぐる日本の議論には、欠落している視点があると僕は思い続けてきた。「今の日本では、本田がいないとボールが納まらない」と語る議論である。こういう論者に僕はこんな質問をしてみたい。じゃ、なぜドルトムントは香川をトップ下としてあれだけ使えたのか。今では世界第2位クラブと言っても良いはずのこのチームの監督、ユルゲン・クロップもつい先日もこう語っていたではないか。
『香川は、トップ下がベスト。それが、マンUではトップ下で20分とかなんて、涙が出てくるよ』
こう語るクロップなら、日本代表チームの現状についても同じことを言うはずだ。つまり、香川はトップ下で使わなければ、実にもったいないと。またマンUのファーガソン監督も香川のトップ下にあれだけ拘ってきたのは何故か。そして、その起用が上手くいかなかったゲームでは、「香川ではなく、彼を使えない回りが悪い」と言い続けてきたのは何故か。このファギーも代表トップ下香川をこう評すること確実と思われる。
「香川ではなく、彼を使えない回りの代表が悪い」
結論を言うと、この二人の名監督は世界最先端の中央突破法を開拓しつつあるのである。タメを作るのではなく細かいパスやドリブルでそこを突破していくやり方である。これを切り開いたのはバルサ、次いでドルトムントとバイエルンがこれに続いてきた。ドイツとイングランドの強いチームいくつかではすぐに、この中央突破がスタンダードになっていくはずだ。
さて、浪人中にバルサまで出かけていって学んだこともあり、賢くって細心のザックは、この議論や動向は先刻ご承知。これから新たな(世界仕様の)チーム作りに着手する時に、クロップやファギーがこれだけ評価する香川ら日本選手の特徴をこそ生かして、この道を歩むに違いないと僕は確信している。ザックは、予選突破の後にコンフェデレーションカップが終わったら、メンバー刷新を図ると語ったのだが、さて、こういう構想からどんなチームが出来るのか。それを決定するものが、コンフェデのブラジル、イタリア、メキシコに何が通用して、何が通用しないかという「実験」結果資料であるだろう。
さてしかし、現代表にも世界仕様を考える財産は存在する。去年9月の遠征、フランス、ブラジル戦だ。マイナス思考の日本人は、あのブラジル戦だけを考えるが、僕はむしろフランス戦の方を見つめてみたい(ちなみに、このフランスは数日後にワールドカップ予選をスペインと戦って引き分けている)。フランス戦では立派に守備が機能したのだし、ブラジル戦は賢い人ならこう観たに違いないからだ。ブラジル相手にはリスペクトを欠くほど大胆な闘いを演じたわけだが、あれはザックに何かの考えがあってのことだろうと。元鹿島のジョルジーニョや同じくオリベイラがそう語っていたのを読んだ覚えがある。彼らは相談したわけでもないのに失点について同じ講評をしていた。大きい意味を持った失点ではなく、言わば攻め過ぎとディテールとでの失点であると。
さてこの二人、これも示し合わせたわけでもないだろうにさらに面白いことを語っている。4-2-3-1が良いと言った上で、ワントップはこの遠征では故障・不在であった前田であると。オリベイラはこう語った。
『ボールがしっかり収まり、決定力も備えたCFがいれば、私は4-2-3-1がいいと思う。私のCFのファーストチョイスは前田だ』(「サッカー批評 第59号」44頁)
そして、ジョルジーニョが当日のワントップ(ゼロトップ)本田と日本のトップ下とに関わっては、こんな面白いことも語ってみせる。
『最前線に入った本田圭佑は何本かシュートを放っていたが、本来、前線でタメをつくるタイプの選手ではない。香川真司と二人でスピードを活かして前を向いて飛び出していく・・・そういったいつものイメージで戦ったほうがセレソンにとっても脅威だっただろう』(ナンバー815 11月8日号 30頁)
このジョルジーニョの言葉は当然、先述の「タメでなく、速く細かい連係での中央突破」という新潮流をも意識しているはずだ。
アジアでは日本は最大限にリスペクトされる。そのトップ下には1.5人ほどのマークが常にある。対して、世界の基本は「1対1」だ。この「1対1基本」に対する日本のメリットこそ、スピードであり、その持続力である。具体的に言えば「世界最高速で走りながらの、トラップ・パス技術」と言える。これこそ香川最大の特徴であり、乾や清武がドイツチームで柱になり得ている日本的長所なのだと観る。逆に、日本の点取り屋・岡崎にドイツで得点がないのは、彼がフリーになっているのをドイツでは見逃すからだと、憲剛などは笑っているほどだ。すると次に、以上のように前線を活かす後ろからのパスが何よりも必要になる。止まった足元へのパスなどでは、ボールキープもままならないだろう。狭いスペースを最高速で走っているその足先への、良いトラップ一発でゴールに流し込めるようなパス。ちょうど、オカちゃんがピンポイントでダイビングヘッドを狙い得るような、そういったパスである。そんなパス交換でまた、敵陣を突破し、崩していく。こういう号砲として、初めに中盤からこれが最も上手く出せるのは憲剛、次いでかなり落ちて長谷部だと観てきた。
最後に、以上の結論としての新構想である。ザックの今までの重要コンセプトは当然の前提となる。すなわち、①ワントップは深さをつくり、敵DFラインを下げる役割も。ウイングはまず左右に張り出して、敵を横に広げる役割も。②こうして敵を縦横に広げた所へ、サイドからと、上記の「中央突破」とを図る。サイドチェンジも使って、右から攻めたら左で、左から攻めたら右で決めるというように。その際、岡崎のダイアゴナルラン(斜め走り)飛び出しは極めて貴重なものだ。③ドルトムントのゲーゲンプレスではないが、高いコンパクト陣形で敵を左右に追い込んだボール奪取が第一の守備作戦である。ダッシュを繰り返し、敵ボールを集団奪取できる選手がレギュラーの第一条件ということだ。高い位置でボールが奪えれば、①を前提とした②の「(ボール収めなし)集団中央突破」も極めてやりやすいというものである。
そんなわけでメンバーはこう。①~③のようなコンセプトを語らないで選手推薦をする評論家の声などには、耳を傾けるべきではない。そんなのはフットボールの場合所詮個人能力着眼の思いつきに過ぎぬはずだ。トップは前田。香川のトップ下に、両脇は清武と岡崎と乾から二人。守備向上次第だが、先発は岡崎から乾に代わるかも知れない。なんせ今の乾は、ブンデス随一攻守のダッシュをくり返せる選手になりおおせたのだから。また、先述の「中央突破」には、岡崎とはまた違った正攻法の味が出せる人材と見た。
さて、ボランチが非常に難しい所だが本田と遠藤というのが僕のチョイス。読みを活かしたポジション取りが第一の基準、次いで戦術眼とパス力を買った。本田の強さや機を見た飛び出し・得点力もここでこそ活かしたいとも。ディフェンスは今の4人でも良いが、吉田のスピード不足が気になる。高橋に取って代わる力を付けて欲しい。強さもスピードもあるのだから。
本田、香川の(トップ下)起用法をめぐる日本の議論には、欠落している視点があると僕は思い続けてきた。「今の日本では、本田がいないとボールが納まらない」と語る議論である。こういう論者に僕はこんな質問をしてみたい。じゃ、なぜドルトムントは香川をトップ下としてあれだけ使えたのか。今では世界第2位クラブと言っても良いはずのこのチームの監督、ユルゲン・クロップもつい先日もこう語っていたではないか。
『香川は、トップ下がベスト。それが、マンUではトップ下で20分とかなんて、涙が出てくるよ』
こう語るクロップなら、日本代表チームの現状についても同じことを言うはずだ。つまり、香川はトップ下で使わなければ、実にもったいないと。またマンUのファーガソン監督も香川のトップ下にあれだけ拘ってきたのは何故か。そして、その起用が上手くいかなかったゲームでは、「香川ではなく、彼を使えない回りが悪い」と言い続けてきたのは何故か。このファギーも代表トップ下香川をこう評すること確実と思われる。
「香川ではなく、彼を使えない回りの代表が悪い」
結論を言うと、この二人の名監督は世界最先端の中央突破法を開拓しつつあるのである。タメを作るのではなく細かいパスやドリブルでそこを突破していくやり方である。これを切り開いたのはバルサ、次いでドルトムントとバイエルンがこれに続いてきた。ドイツとイングランドの強いチームいくつかではすぐに、この中央突破がスタンダードになっていくはずだ。
さて、浪人中にバルサまで出かけていって学んだこともあり、賢くって細心のザックは、この議論や動向は先刻ご承知。これから新たな(世界仕様の)チーム作りに着手する時に、クロップやファギーがこれだけ評価する香川ら日本選手の特徴をこそ生かして、この道を歩むに違いないと僕は確信している。ザックは、予選突破の後にコンフェデレーションカップが終わったら、メンバー刷新を図ると語ったのだが、さて、こういう構想からどんなチームが出来るのか。それを決定するものが、コンフェデのブラジル、イタリア、メキシコに何が通用して、何が通用しないかという「実験」結果資料であるだろう。
さてしかし、現代表にも世界仕様を考える財産は存在する。去年9月の遠征、フランス、ブラジル戦だ。マイナス思考の日本人は、あのブラジル戦だけを考えるが、僕はむしろフランス戦の方を見つめてみたい(ちなみに、このフランスは数日後にワールドカップ予選をスペインと戦って引き分けている)。フランス戦では立派に守備が機能したのだし、ブラジル戦は賢い人ならこう観たに違いないからだ。ブラジル相手にはリスペクトを欠くほど大胆な闘いを演じたわけだが、あれはザックに何かの考えがあってのことだろうと。元鹿島のジョルジーニョや同じくオリベイラがそう語っていたのを読んだ覚えがある。彼らは相談したわけでもないのに失点について同じ講評をしていた。大きい意味を持った失点ではなく、言わば攻め過ぎとディテールとでの失点であると。
さてこの二人、これも示し合わせたわけでもないだろうにさらに面白いことを語っている。4-2-3-1が良いと言った上で、ワントップはこの遠征では故障・不在であった前田であると。オリベイラはこう語った。
『ボールがしっかり収まり、決定力も備えたCFがいれば、私は4-2-3-1がいいと思う。私のCFのファーストチョイスは前田だ』(「サッカー批評 第59号」44頁)
そして、ジョルジーニョが当日のワントップ(ゼロトップ)本田と日本のトップ下とに関わっては、こんな面白いことも語ってみせる。
『最前線に入った本田圭佑は何本かシュートを放っていたが、本来、前線でタメをつくるタイプの選手ではない。香川真司と二人でスピードを活かして前を向いて飛び出していく・・・そういったいつものイメージで戦ったほうがセレソンにとっても脅威だっただろう』(ナンバー815 11月8日号 30頁)
このジョルジーニョの言葉は当然、先述の「タメでなく、速く細かい連係での中央突破」という新潮流をも意識しているはずだ。
アジアでは日本は最大限にリスペクトされる。そのトップ下には1.5人ほどのマークが常にある。対して、世界の基本は「1対1」だ。この「1対1基本」に対する日本のメリットこそ、スピードであり、その持続力である。具体的に言えば「世界最高速で走りながらの、トラップ・パス技術」と言える。これこそ香川最大の特徴であり、乾や清武がドイツチームで柱になり得ている日本的長所なのだと観る。逆に、日本の点取り屋・岡崎にドイツで得点がないのは、彼がフリーになっているのをドイツでは見逃すからだと、憲剛などは笑っているほどだ。すると次に、以上のように前線を活かす後ろからのパスが何よりも必要になる。止まった足元へのパスなどでは、ボールキープもままならないだろう。狭いスペースを最高速で走っているその足先への、良いトラップ一発でゴールに流し込めるようなパス。ちょうど、オカちゃんがピンポイントでダイビングヘッドを狙い得るような、そういったパスである。そんなパス交換でまた、敵陣を突破し、崩していく。こういう号砲として、初めに中盤からこれが最も上手く出せるのは憲剛、次いでかなり落ちて長谷部だと観てきた。
最後に、以上の結論としての新構想である。ザックの今までの重要コンセプトは当然の前提となる。すなわち、①ワントップは深さをつくり、敵DFラインを下げる役割も。ウイングはまず左右に張り出して、敵を横に広げる役割も。②こうして敵を縦横に広げた所へ、サイドからと、上記の「中央突破」とを図る。サイドチェンジも使って、右から攻めたら左で、左から攻めたら右で決めるというように。その際、岡崎のダイアゴナルラン(斜め走り)飛び出しは極めて貴重なものだ。③ドルトムントのゲーゲンプレスではないが、高いコンパクト陣形で敵を左右に追い込んだボール奪取が第一の守備作戦である。ダッシュを繰り返し、敵ボールを集団奪取できる選手がレギュラーの第一条件ということだ。高い位置でボールが奪えれば、①を前提とした②の「(ボール収めなし)集団中央突破」も極めてやりやすいというものである。
そんなわけでメンバーはこう。①~③のようなコンセプトを語らないで選手推薦をする評論家の声などには、耳を傾けるべきではない。そんなのはフットボールの場合所詮個人能力着眼の思いつきに過ぎぬはずだ。トップは前田。香川のトップ下に、両脇は清武と岡崎と乾から二人。守備向上次第だが、先発は岡崎から乾に代わるかも知れない。なんせ今の乾は、ブンデス随一攻守のダッシュをくり返せる選手になりおおせたのだから。また、先述の「中央突破」には、岡崎とはまた違った正攻法の味が出せる人材と見た。
さて、ボランチが非常に難しい所だが本田と遠藤というのが僕のチョイス。読みを活かしたポジション取りが第一の基準、次いで戦術眼とパス力を買った。本田の強さや機を見た飛び出し・得点力もここでこそ活かしたいとも。ディフェンスは今の4人でも良いが、吉田のスピード不足が気になる。高橋に取って代わる力を付けて欲しい。強さもスピードもあるのだから。
常に戦略的論議がしたい。例え誤っていても。
本田のボランチは無いでしょう。
ザッケローニのコンセプトは本田がトップ下でボールキープして相手DFを食い付かせ、そこから隣の香川、或いはサイドの長友、内田に回して崩す形を基本にしているので、バリオスやレヴァンドフスキーが前線に居ない日本では香川のトップ下はザッケローニも選択しないでしょう。又、本田のトップ下でサイドを活かす形が一番結果を残しているので、現実的な采配をするザッケローニのファーストチョイスはこの形。
香川はシャドウストライカーで世界有数だから本田の隣がベストポジション。
仮にFWにレヴァンドフスキーやバリオス等キープも出来て点も獲れる選手が出れば変わるが、MFを活かす事に縛られ代表では得点力が極端に減る前田やキープ出来ないハーフナーでは香川を活かせない。これまでの結果がそうでしょう。
従って、攻撃陣は本田がベストコンディションで本番に臨める事を期待したい。
『MFを活かす事に縛られ代表では得点力が極端に減る前田やキープ出来ないハーフナーでは香川を活かせない』
前田は良い選手です。オリベイラやジョルジが、褒めている通りだ。でも今は、深さを作り、敵を縦に延ばすのが最大の仕事なんです。それにプラス何かが出来るだけでも良い。彼は、「連係による集団中央突破」の担い手にもなれるんですよね。と、このように見るのが戦略的見方。こういう彼のおかげで中盤や岡崎が点を取っているとも言える。こんなことを考えもしない評論家達が、佐藤寿人だとか、過去には森本だとか良く言うよ。杉山某なんて奴はホント勝手なこと言っているだけだ。やがては、単なる売文業・金子達仁(の末路)と同じ運命を辿るよ。こんな評論家達が、日本のファンの成長を妨げるのだ。腹が立って仕方ない。こういう僕は、ちゃんと褒める人を褒めてるでしょ。そこは分かって。
ドルトムント然りユナイテッド然り。
だからトップ下で香川を使うならば、FWはそういう選手でなければならないという事です。
前田やハーフナーでは務まらない。
更に上のレベルのFWが必要という話です。
そうするとそれは現実的では無いので、本田がトップ下になります。
ここは無言にします。ただお願いは、上の拙エントリーについて、貴方の論点に対するところの僕の最重要部分へのお答えが欲しいです。
でもトップ下を本田にする形ならば、前田でもハーフナーでも構わない。
しかし香川をトップ下で使うなら前田やハーフナーでは役に立たない。
まあいずれにしてもザッケローニが香川トップ下をファーストチョイスで選ぶような事はしないので。考えるまでも無いことですが。
『 結論を言うと、この二人の名監督は世界最先端の中央突破法を開拓しつつあるのである。タメを作るのではなく細かいパスやドリブルでそこを突破していくやり方である。これを切り開いたのはバルサ、次いでドルトムントとバイエルンがこれに続いてきた。ドイツとイングランドの強いチームいくつかではすぐに、この中央突破がスタンダードになっていくはずだ』
つまり【タメを作るのではなく細かいパスやドリブルでそこを突破していくやり方】という【世界最先端の中央突破】ね。そして、これが日本に一番合っているといろいろ書いた積もりです。本田にしてもそうだということがジョルジのこの言葉ね。
【(本田にしても)前線でタメをつくるタイプの選手ではない。香川真司と二人でスピードを活かして前を向いて飛び出していく・・・そういったいつものイメージで戦ったほうがセレソンにとっても脅威だっただろう】
こういう選手達を最先端・最強のやり方で使えなければもったいないとザックも思ていること間違いなしと、そう書いたつもりなんですよね。なお、高位置コンパクトプレスは、タメなど作らずすぐに集団ショートカウンターに持っていくやり方でもあってドルトはこれが中心です。レパンドフスキに預けるのはその補助にしか過ぎない。
よろしく。
反論はもう一つの方でやりますね。