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トランプによる国際法無視の数々  文科系

2018年09月29日 13時49分46秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今朝の新聞に、こんな記事があった。
『米、国際刑事裁に警告 アフガン戦争 日本人判事も制裁対象』。
 アフガニスタン戦争で米兵・CIA要員らが拷問やレイプなどの戦争犯罪を犯した疑いが強いとして、ICC、国際刑事裁判所の検察官らが捜査に入っている事への警告だという。「本格捜査を開始すれば、関係する検察官や判事を米独自制裁の対象にする」と。こんなことが重なってきた結果なのだが、この25日にはトランプがこういう演説をしている。
「アメリカは国際刑事裁判所を一切支援しない」

 なお、国際刑事裁判所は、国連と地位協定を結んだ国連外の常設組織であって、国連の常設司法機関、国際司法裁判所とは別組織だ。国家間の紛争を扱う後者とは違って、ICCは、個人の刑事事件を扱う。加盟国などは123に上るが、米中ロ等は加盟していない。アメリカはブッシュ政権時代に、加盟を撤回している。
 
 国連を中心とした国際法制とは、大国の暴力だけが横行した時代に当たり前のように起こっていた悲劇を無くすべく、地球人類が蓄積してきた「多国間主義」という知恵の塊である。冷戦終結やイラク戦争以来これを無視する度合いを強めてきたアメリカが、トランプ政権になってさらにこれをどんどん蹴散らし始めている。地球随一の経済力、軍事力を持った大国の以下のような諸行為は、人類史の明日を真っ黒に塗りつぶし始めたも同じ事。アメリカに次ぐような大国が同じような事を重ね始めたとき、アメリカは一体、どう言って止めに入るのだろう? 止められなければ、地球が無法地帯の昔に戻ってしまう。

17年
1月23日 環太平洋連携協定(TPP)離脱を決定
 25日 メキシコ国境に壁を建設決定
4月6日 シリア空軍基地を巡航ミサイル攻撃
6月1日 地球温暖化防止の枠組み、パリ協定から離脱表明
9月19日 北朝鮮を「完全に破壊する」と表明
10月12日 国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの離脱表明
12月6日 エルサレムをイスラエルの首都と「承認」
18年
3月23日 鉄鋼アルミニウム輸入制限を開始
5月8日 イラン核合意からの離脱
5月14日 駐トルコ米大使館、テルアビブからエルサレムへ移転
7月6日 中国からの輸入340億ドル分に25%の追加関税。中国も同日同量報復。

 こうして、世界貿易機関(WTO)からさえも抜けるなどと語るまでに自分勝手を貫き始めたアメリカである。もはやこんなことをしては、自国の株がどれだけ上がり、国内の雇用がどれだけ増えた所で、これは短期的な事。世界から疑われて来たこの国の国際的信用はさらに取り返しが付かなくなっていくはずだ。独ロパイプラインとかAIIBとか、アメリカがぐちゃぐちゃにしたシリア問題でトルコと独仏ロが会議を持つとか、西欧とBRICSがどんどん手を握り始めている現在、アメリカはこれからどんな「モンロー主義」を歩んでいくのだろう。最近のトランプがその外交を美化する形容詞として頻繁に用いている大先輩大統領の言葉である。

 安倍首相も流石に驚いているのだろう。イラン核合意にはとどまり続けると改めて強調し直し、中国ともすぐに首脳会談をしたいと手を差し伸べ始めた。対米貿易でもしきりにここを強調し始めている。「物貿易はともかく、投資やサービスの輸出入(不均衡)はどうなるのです?」。物はもう全部米国内で作るとしても、アメリカによる金融・サービス輸出は例外とは言えんよという理屈だろう。「まるで5,6年生程度の理解力しかない」(マティス国防長官)トランプがそこまで考えているとは、とうてい思えないのである。これまでのアメリカは物貿易の大赤字をマネーゲームで取り返していたのである。
コメント (4)
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