集団的自衛権の行使と憲法改正を主張する読売・産経社説
2014年元日の新聞各紙が安倍政権2年目の課題を論じていました。各紙の社説では、朝日、毎日、中日が安倍首相の「力の政治」を危惧し、読売、産経が「軍事力」を主張していました。
[朝日新聞]「政治と市民 にぎやかな民主主義に」
昨年暮れ成立した特定秘密保護法は行政府による情報の独占を可能にする。行
政府は統治の主導権を握ろうとする。多くの国民が「選挙でそんなことを頼んだ
覚えはない」という政策が進む。もとより行政府を監視するのは立法府の仕事だ
が、それに加えて行政を重層的に監視して「それはおかしい」と伝える住民投票
や審議会などの諮問機関が必要だ。パブリックコメントの充実も提案する。
[毎日新聞]「民主主義という木 枝葉を豊かに茂らそう」
慌しい師走だった。特定秘密保護法、初の国家安保戦略、そして靖国参拝。政
権与党と安倍首相の、力の政治がそこにあった。政権に、権力の源泉の「数」を
与えたのは、私たち国民だ。その代表者である政治家が、多数で法案を通す。選
挙と議会の多数決があって、民主主義は成り立つ。しかし民主主義とは、納得と
合意を求める手続きだ。山積する国民的課題を前にするとき、政治がなすべきこ
とは、多様な民意を集約し、幅広い合意を作る努力をすることだろう。
[中日新聞]「年のはじめに考える 人間中心の国づくりへ」
アベノミクスへの自負と陶酔からでしょう、安倍首相は多くの国民の懸念を振
り払って特定秘密保護法を強行成立させた後は、初の国家安全保障戦略と新防衛
大綱、中期防衛力整備計画の閣議決定と続きました。先の戦争への反省から専守
防衛に徹する平和国家が国是で国際貢献も非軍事でしたが、積極的平和主義は国
際的紛争への積極的介入を意図し、軍事力行使が含意されています。中国の大国
化に「強い国」での対抗ではなく、人間を大切にする国に未来と希望があります。
[読売新聞]「日本浮上へ総力を結集せよ 『経済』と『中国』に万全の備えを」
アジア太平洋地域では、中国が力による現状変更を試み、周辺国との摩擦を強
めている。このままでは日本が武力衝突の当事者になりかねない。日米同盟の強
化によって、中国を牽制することも重要だ。平時から有事へ、危機の拡大に応じ
た継ぎ目のない日米共同対処ができるよう、自衛隊の米軍支援の拡充、尖閣など
離島防衛での米軍の関与を拡大することも必要だ。集団的自衛権行使を可能にす
る憲法解釈の変更に踏み切ることも避けて通れない。
[産経新聞]「年のはじめに 国守り抜く決意と能力を」(論説李院長 樫山幸夫)
戦後日本が歩んできた軽武装、経済重視の道は繁栄をもたらしたが、今は状況
が異なる。国を守るにも、「正義を支える」にも、「力」が必要だ。集団的自衛
権の行使容認、憲法改正の実現も不可欠だ。安倍首相の靖国神社参拝への激烈な
批判も異常というほかはない。「心ある国」の指導者として、国に命を捧げた人
々の霊にぬかずくのは当然だろう。情緒的な議論に流され、防衛に必要な手段を
躊躇してヨーロッパでの宥和主義がナチスの台頭を許した教訓に学ぶべきである。
大西 五郎
2014年元日の新聞各紙が安倍政権2年目の課題を論じていました。各紙の社説では、朝日、毎日、中日が安倍首相の「力の政治」を危惧し、読売、産経が「軍事力」を主張していました。
[朝日新聞]「政治と市民 にぎやかな民主主義に」
昨年暮れ成立した特定秘密保護法は行政府による情報の独占を可能にする。行
政府は統治の主導権を握ろうとする。多くの国民が「選挙でそんなことを頼んだ
覚えはない」という政策が進む。もとより行政府を監視するのは立法府の仕事だ
が、それに加えて行政を重層的に監視して「それはおかしい」と伝える住民投票
や審議会などの諮問機関が必要だ。パブリックコメントの充実も提案する。
[毎日新聞]「民主主義という木 枝葉を豊かに茂らそう」
慌しい師走だった。特定秘密保護法、初の国家安保戦略、そして靖国参拝。政
権与党と安倍首相の、力の政治がそこにあった。政権に、権力の源泉の「数」を
与えたのは、私たち国民だ。その代表者である政治家が、多数で法案を通す。選
挙と議会の多数決があって、民主主義は成り立つ。しかし民主主義とは、納得と
合意を求める手続きだ。山積する国民的課題を前にするとき、政治がなすべきこ
とは、多様な民意を集約し、幅広い合意を作る努力をすることだろう。
[中日新聞]「年のはじめに考える 人間中心の国づくりへ」
アベノミクスへの自負と陶酔からでしょう、安倍首相は多くの国民の懸念を振
り払って特定秘密保護法を強行成立させた後は、初の国家安全保障戦略と新防衛
大綱、中期防衛力整備計画の閣議決定と続きました。先の戦争への反省から専守
防衛に徹する平和国家が国是で国際貢献も非軍事でしたが、積極的平和主義は国
際的紛争への積極的介入を意図し、軍事力行使が含意されています。中国の大国
化に「強い国」での対抗ではなく、人間を大切にする国に未来と希望があります。
[読売新聞]「日本浮上へ総力を結集せよ 『経済』と『中国』に万全の備えを」
アジア太平洋地域では、中国が力による現状変更を試み、周辺国との摩擦を強
めている。このままでは日本が武力衝突の当事者になりかねない。日米同盟の強
化によって、中国を牽制することも重要だ。平時から有事へ、危機の拡大に応じ
た継ぎ目のない日米共同対処ができるよう、自衛隊の米軍支援の拡充、尖閣など
離島防衛での米軍の関与を拡大することも必要だ。集団的自衛権行使を可能にす
る憲法解釈の変更に踏み切ることも避けて通れない。
[産経新聞]「年のはじめに 国守り抜く決意と能力を」(論説李院長 樫山幸夫)
戦後日本が歩んできた軽武装、経済重視の道は繁栄をもたらしたが、今は状況
が異なる。国を守るにも、「正義を支える」にも、「力」が必要だ。集団的自衛
権の行使容認、憲法改正の実現も不可欠だ。安倍首相の靖国神社参拝への激烈な
批判も異常というほかはない。「心ある国」の指導者として、国に命を捧げた人
々の霊にぬかずくのは当然だろう。情緒的な議論に流され、防衛に必要な手段を
躊躇してヨーロッパでの宥和主義がナチスの台頭を許した教訓に学ぶべきである。
大西 五郎