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長谷川素逝(戦争と俳句)について ②  遅足

2009年06月06日 09時39分14秒 | Weblog
長谷川素逝は、昭和12年に召集、砲兵隊の小隊長として
中国戦線で戦ってきました。
しかし昭和13年8月、結核発病。
10月帰国。広島の陸軍病院入院。(広島は軍都だったんですね。)
11月には、京都の陸軍病院へ。

  「駅頭」という前書き。

霙にならぶ国防婦人会員ら
傷兵ら還る霙にもの言わず
還り著きし霙の街の灯はにぎやか
ねんねこの女傷兵のなかをさがす

14年、戦場での句を集めた句集「砲車」刊行。
代表作とされるのが、この句。

おほ君のみ楯と月によこたはる

素逝は、甲南高校の教授となりますが、
以後、闘病生活を送り、自然諷詠の句に戻っていきます。
代表作は敗戦後の昭和21年1月、伊勢で詠んだ句。

円光を著(き)て鴛鴦の目をつむり

この年の秋に亡くなります。39歳。

敗戦後は「砲車」の代表作とされる
おほ君のみ楯と月によこたはる
を、
おほ君のみ楯と月にあほらしや
と、変えて詠ったといいます。

   

「砲車」という句集の評価は?
「反戦句集」とする考えもあり、評価は分かれているそうです。
大東亜戦争を賛美した句もありますから、
反戦句集とは言えないと思います。
ただ、単なる戦争を賛美した句集に終っていないことも事実です。
その理由の一つは、師の高浜虚子が唱えた「客観写生」という
手法にあるのでは、ないでしょうか?

心情を排して、戦争という対象から一歩距離を置く。
目前の事実を客観的に写し取る。ルポルタージュの手法です。
駅頭の句も、討伐行の句もそうした客観的な目が生み出した句です。

かをりやんの中よりわれをねらいしたま
かをりやんの中よりひかれ来し漢
てむかしゆゑ炎天に撲ちたふされ
汗と泥にまみれ敵意の目を伏せず

これが「砲車」が今でも新鮮さを失わない秘密ではないしょうか?

津市・阿漕浦の句碑。

   遠花火海のかなたにふと消えぬ  素逝

(「長谷川素逝 円光の生涯」(うさみとしお著)を参考にしました。)


コメント (2)
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今夜ウズベギ戦。史上最強の代表誕生か。  文科系

2009年06月06日 02時35分22秒 | スポーツ
ご存じだろうか。この6月3日、日本サッカーが世界31位に上がった。200余国の順位が毎月シビアーに入れ替わるその中で、5月の35位から躍進したのである。岡田ジャパンでは最高位、最近ではオシム末期の30位に次ぐ高位だ。キリンカップの好成績が評価されたことは間違いない。どんな評価が与えられたのだろうか。これをきちんと見ておくことが、今後の日本の希望、可能性を占う基礎になると思う。

①世界26位のチリ戦が特に高く評価されたことは間違いない。チリは進行中の南米予選で3位のチーム。しかも日本は、がつがつ当たってくる南米スタイルを歴史的に非常に苦手としていた。それに対して4対0なのだ。
またベルギー戦も劣らぬ評価をして良いと思う。大男のベルギーが引いて守ってきたが、これまでの日本は、アジアにおいてさえ引いて守るチームからはなかなか得点できなかったのだから。ボール保持率が7対3であっても、得点はなかなか難しかったのである。それが4対0だったのだから、かなりの高評価を与えて良い。
そもそも具体的には、どこが良かったのか

②週刊サッカーダイジェスト最新号は、この得点ラッシュについて4つのポイントを上げている。初めにそれを紹介しておこう。
A 体は小さくても「ゴール前に数人が詰め」て、「敏捷性と連動性」を高度に発揮できれば得点できるという狙いが実現してきたこと。
B その数人が走り回って「ゴール前にスペースを作りあい」、またそれを生かしあって「ショートパス」をつないで敵を崩してシュートチャンスを作るという狙いが、実現したこと。特に、「ゴール前のどこかで数的優位」ができると、チャンスが生まれたということ。
C 念願の「攻守の切り替え」が速くなり、「攻のスイッチ」がよく機能したこと。「高い位置で敵ボールを奪って」、それがトップ下に置かれた中村憲剛に渡った瞬間がそのスイッチであって、彼が非常によく機能したのである。
D 遠藤・長谷部という2ボランチが極めて攻撃的であって、それが成功したということ。まー「攻撃は最大の防御なり」と、守備的な位置の彼らが、成功裏に示して見せたと言えるのである。具体的には「長谷部の攻め上がりであり、遠藤がそれを支えた」ということだ。

③一昨日にも書いたように、今晩の布陣はこう見る。すべて右から、DFは内田、中沢、闘利王、長友。ボランチが、長谷部、遠藤。トップ下に中村憲剛。3トップが、俊輔、玉田、岡崎だが、俊輔はMF気味の位置であって、長谷部も含めた前4人の攻撃を補佐する感じ。つまり、必要な時はいつでも、遠藤とともに敵の切り返しにも備えているということ。
よって、得点チャンスはこうなる。右から内田・長谷部が攻めあがった時と、左で駆け上がった長友が岡崎と連動したとき。こういうときは、敵ゴール前のどこかに数的優位ができる可能性が飛躍的に高まるのである。
(追加 この原稿は深夜に書いたが、今朝のニュースを見ると、若干の変化もありうるようだ。例えば故障の玉田がベンチとか。その場合は、岡崎トップで左トップに松井か? それとも矢野のトップだけに留まるのか。また長谷部のリタイアーもありうるらしい。その場合は橋本か阿部だろう。)

④組織が第1であるにしても、あえて個人としての最大の見所を言えば、先ずこの3人。遠藤・長谷部のコンビと、岡崎の動き特にその「飛び込み」である。代表についていつも苦情を言うことを仕事と心得ているようなセルジオ・越後も、この3人だけはいつも褒めている。それほどの見ものということなのだ。
そして、これは越後は手放しでは褒めないが、中村憲剛。チリ戦、ベルギー戦の攻撃のスイッチ役だった人物を落とすことはできないだろう。中村俊輔も「憲剛には前を向いて仕事をさせたい。それでこそ彼は生きる」と繰り返しているという、そういう傑物に育った。憲剛について僕は、越後の評価よりも、この俊輔による評価の方に信を置くものである。サッカーの実力はもちろんのこと、組織眼やその表現力でみても俊輔のほうが上であることは間違いないだろうから。

いずれにしても、日本サッカー史上最強のチームが生まれかけているということだけは確かだろう。改めて言うが、なんせこんな顔ぶれが組織的連動性を高めて、ゴール前の点取りにもそれを発揮し始めたのだから。
本年度のドイツ・トップリーグ初優勝チームの不動のレギュラー(長谷部)。ちなみに、6月現在のドイツは世界3位である。
アジアMVPとスコットランドリーグMVPの経験者(中村俊輔)。
前年度アジアチャンピオンズリーグMVP(遠藤)。なお、このリーグ戦は、ブラジル人も、ヨーロッパからの助っ人も加わっていることに留意して欲しい。国代表ではなくクラブとしての参加なのだから、鹿島にマルキーニョスがいるようなものなのである。つまり、アジア人だけでなく、アジアへの世界からの助っ人全員を含めて、MVPだったということなのだ。
そして、弱冠22歳にして本年度オランダ2部リーグMVP。これがリザーブに座っているのである(本田)。ちなみにオランダは今や、世界2位を張っている国である。
こんな顔ぶれを眺めていると、「南ア・ワールドカップでは4位以上を狙う」という岡田の言葉も、夢とばかりは言えなくなってくるようではないか。

(今朝の追加 今朝こんなニュースも入った。18歳で代表初選出、浦和のMF山田が、イギリスのスカイスポーツテレビの番組で「世界の有望新人第3位」として紹介されたとのこと。今でも5億円近い移籍金を予想していたようである) 
コメント (3)
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