■Wes Montgomery All Stars Live In Hamburg 1965 (Jazz Shots = DVD)
最近の復刻は特に映像物でも活況らしく、ついにこんなブツまで登場! 昨日発見して、速攻でゲットしてきました。
内容はウェス・モンゴメリが1965年に招かれた欧州巡業の日々から、メインはタイトルどおりにドイツでのテレビショウという、超お宝映像がモノクロで約33分♪♪~♪ これは以前、死ぬほど画質の悪いブートビデオで出回っていたこともありますが、今回は一応、オフィシャルということで、画質は良好♪♪~♪
そしてボーナストラックとして、これはお馴染み、同年のイギリスにおけるテレビショウからウェス・モンゴメリーのカルテットによる演奏が約35分入っていますが、既に他メーカーでDVD化済み映像のリマスターです。
さらにもうひとつ、これもブートビデオでは定番という、アメリカでの1967年のテレビショウから1曲がオマケです。
☆1965年4月28日、ドイツでのテレビショウ
メンバーはウェス・モンゴメリー(g)、ハンス・コラー(as)、ジョニー・グリフィン(ts)、ロニー・スコット(ts)、ロニー・ロス(bs)、マーシャル・ソラール(p)、Michel Gaudry(b)、Ronnie Stephenson(ds) という超豪華! 結論から言うと、主役はウェス・モンゴメリーとは言いながら、他のメンバーの見せ場も存分に用意されいますし、既に述べたように画質はAランク♪♪~♪ カメラワークも、こちらが見たいところを、しっかりと映し出しています。
01 Blue Grass
三々五々、スタジオに参集してくるメンバーは普段着姿で、英語、ドイツ語、フランス語がゴッタ煮の会話から、既に和気藹々の良い雰囲気です。チューニングでのスケール練習で、物凄いフレーズをさらりと演じるのはマーシャル・ソラール!
そして始まるのが、ロニー・ロスが書いたシビレるハードバップの隠れ名曲で、躍動的なリズムに乗っかって痛快なサックス陣の合奏にはワクワクさせられますよ♪♪~♪
さらにアドリブパートでは、軽い感じのウェス・モンゴメリーは挨拶代わりかもしれませんが、続くロニー・スコットは本気度の高い熱血節ですし、ハンス・コラーは本来のクールスタイルから激情派に転向していたツッコミを披露!
しかし後を引き継ぐロニー・ロスのバリトンサックスは自分で苦しんでいるようですねぇ……。う~ん、不調なのか……? と思っていると、ジョニー・グリフィンが不滅のブッ飛ばし! マーシャル・ソラールが十八番のスクランブルなピアノも強烈です。
そして最後にはウェス・モンゴメリーのオクターブ奏法がドラムスを翻弄するソロチェンジですよっ♪♪~♪ 映像では、いとも簡単に物凄いギターワークを演じるあたりに、ますます仰天させられます。ドラマーも必死ですが、間髪を入れずのラストテーマの合奏も最高!
各人のアドリブは短いのですが、このカッコ良さ! その密度の濃さにシビレがとまりません♪♪~♪
02 On Green Dolphen Street
これはマーシャル・ソラールがメインのトリオ演奏で、モダンジャズでは良く知られたスタンダード曲を素材にしながら、綿密なアレンジやキメが怖いほどに決まっているところから、このトリオは当時のレギュラーだったのかもしれません。
アップテンポでの激しい3者の絡み、マーシャル・ソラールの唯我独尊というメチャ弾きは好き嫌いがあるかもしれませんが、ドラムスとベースもヤバイほどに真摯なジャズ魂を発散させた名演だと思います。
それを見ているサックス陣のニンマリ顔も印象的ですね♪♪~♪ このあたりは映像作品の良さでしょう。もちろんカメラワークも秀逸ですよ。
03 Blue Monk
前曲から続くスタジオ内の良い雰囲気は、ウェス・モンゴメリーのギターの合の手とか、メンバー間のジョークや笑い声がなかなかのお楽しみでしょう。
そして始まるセロニアス・モンクの有名オリジナルは、ジョニー・グリフィンが主役を務めるワンホーン演奏♪♪~♪ もしも作者がその場に居たら、ちょっと激怒かもしれないテーマのフェイクも、実はグリフィン節の一部分という熱血が、たまりません。
剛直なビートで煽るリズム隊も素晴らしく、硬質なハードバップのブルース大会を見事に演出してくれますから、ウェス・モンゴメリーもセンスの良い伴奏のオカズ入れ、さらには短音弾きからオクターヴ奏法へと盛り上げていくアドリブが、その映像で確認すると本人のニンマリ顔も印象的です。う~ん、親指だけの弾き方とか左手の運指とコードの押さえ方が、実に興味深いですねぇ~♪ これも映像作品の楽しみだと思います。
それはマーシャル・ソラールのピアノやベースが選ぶコードの妙、さらにタバコで一服というウェス・モンゴメリーのシブイ仕草♪♪~♪ 何度観てもシビレます。
04 Last Of The Wine
曲間の笑いとかチューニングが、この演奏前にも印象的ですが、特にウェス・モンゴメリーが弾いてしまうバラード系歌物フレーズの一節が良い感じ♪♪~♪
そして始まるのが、ロニー・ロスが書いた典型的なモード曲で、例えば「So What」調の雰囲気ですから、作者本人の苦しんだバリトンサックスに続いて、実に軽やかに飛翔していくウェス・モンゴメリーのギターが鮮やかです。実際、映像で確認出来るフレーズの運指を見ているだけで、ギター好きならば血が騒ぐでしょう。こういう天才にはモードもフリーも関係無いというジャズ魂が凄いと思います。
また独特の浮遊感が魅力というハンス・コラーのモード吹きも痛快至極! 背後から襲いかかってくるサックス陣のリフも楽しく、続くマーシャル・ソラールのピアノにしても、恐ろしいばかりのテクニックに裏打ちされたドライヴ感が凄すぎ!
締め括りのフレーズを軽々とやってしまうところから、繋ぎのバラードをちょこっと聞かせるウェス・モンゴメリーも憎めませんね♪♪~♪
05 West Coast Blues
そして最後はウェス・モンゴメリーが書いたワルツビートのブルースで、重厚なサックス陣の合奏を従え、自然体のハードバップフレーズを連発する作者のギターは、やっばり凄いですねぇ~♪ 特に親指ピッキングだけで、これだけの強いアタックと音色のコントロールを演じてしまうのは驚異的だと思います。十八番のオクターブ奏法も冴えまくりですよ。
映像で確認して気がつくのは、その軽い雰囲気というか、決して力まない弾き方が吃驚するほどです。
ということで、今回の発掘はここまでなんですが、映像では曲の終りに、まだまだ続きがありそうな雰囲気です。なんか楽しい余韻がニクイですよ。
画質&音質が共に良好ですから、これはぜひともご覧くださいませ。
☆1965年3月25日、イギリスでのテレビショウ
これは既に度々パッケージ化されてきたソースで、人気ジャズ番組だった「JAZZ 625」からの発掘モノクロ映像♪♪~♪ 当然ながら画質はAランクですし、カメラワークも健実です。
メンバーはウェス・モンゴメリー(g)、ハロルド・メイバーン(p)、アーサー・ハーパー(b)、ジミー・ラブレイス(ds) という、この欧州巡業ではレギュラーのバンドですから、演奏の纏まりやアドリブの充実度には安定感が抜群ですよ。
06 West Coast Blues / Theme
07 Yesterdays
08 Jingles
09 'Round Midnight
10 Twisted Blues
11 Full House
12 West Coast Blues / Theme
上記の演目の中では、じっくりと歌心を醸成していく「Yesterdays」や「'Round Midnight」が、今や語りつくされた名演ですが、強烈なグルーヴが噴出した「Jingles」でのウェス・モンゴメリーこそが、最も真髄だと思います。とにかく流麗な短音弾きのフレーズ展開からオクターヴ奏法、さらに白熱のコード弾きと展開される怒涛のアドリブは圧巻! それが良好な映像で確認出来るのですから、長生きはするもんです。
共演者では基本はモード節ながら、実にセンスの良いハロルド・メイバーンが熱演ですし、若気の至りも好ましいハービー・ハーパー、ロックやR&Bの味わいも秘めたジミー・ラブレイスの4ビートドラミングが、やはり本場の底力でしょう。
お目当ての「Full House」は、あの名盤テイクに比べれば軽い感じですが、それでもウェス・モンゴメリー独特の開放感のあるアドリブ展開には、美メロのフレーズが満喫出来ますし、中盤からのオクターヴ奏法の乱れ打ち、そして終盤のバンドアンサンブルが、実に楽しいです。
映像全体としては、既発のブツよりも映像がイマイチ劣化している部分もありますが、なによりも、あのフレーズはこうやって弾いていたのか!? という両手の使い方を見せてくれるウェス・モンゴメリーは凄い人!
☆1967年6月、アメリカのテレビショウ
大ヒットアルバム「A Day In The Life (CTI)」に関連したテレビ出演の映像で、当時はテレビトラックと呼ばれていたカラオケのオーケストラをバックに、ウェス・モンゴメリーが短い演奏を聞かせてくれます。
13 Windy
もちろんこれは尻切れのフェードアウト演奏になりますが、ウェス・モンゴメリーのアドリブはスタジオバージョンとは完全に異なる、その場のリアルな生演奏だと思います。
ただし画質はB……。しかも以前に出回っていたブートビデオではカラー版もあったはずですが、ここではモノクロというのが残念です。
ということで、なかなか貴重で楽しめるDVDだと思います。
ちなみに曲のチャプターは、ジャケット裏解説に従ってここに記載しましたが、実際は「06」からがボーナストラック扱いとなり、チャプター番号が「01」からの仕切り直しになっていますから要注意でしょう。しかし普通に鑑賞するには、何ら問題はありません。
こういうブツが突然に発売されるのは大歓迎♪♪~♪
そして、これを観ても、同じように弾けるわけではありませんが、ついついコピーしたくなって、ギターを抱えてしまうのでした。