■Cool Velvet / Stan Getz And Strings (Verve)
ジャケット良し、企画良し、そしてタイトルもジャストミートしているスタン・ゲッツの人気盤です。
しかしジャズ喫茶全盛時には、完全に黙殺されていたんですよっ!
なにしろ「ウイズ・ストリングス」ですからねぇ~。甘っちょろい演奏なんか、お呼びじゃなかったのが、暗いジャズ喫茶に集う客層の宿命だったのです。
でも、そんな青春を送っていた私のような者でさえ、自宅はで密かに、こういうアルバムを聴いていたんじゃないでしょうか?
録音は1960年3月、主役はもちろんスタン・ゲッツ(ts)、そしてラス・ガルシア編曲によるストリングと正体不明のリズム隊がついています。
A-1 The Thrill Is Gone
A-2 It Never Entered My Mind
A-3 Early Autumn
A-4 When I Go, I Go All The Way
A-5 A New Town Is A Blue Town
B-1 'Round Midnight
B-2 Born To Be Blue
B-3 Whiper Not
B-4 Good-bye
B-5 Nature Boy
上記演目を見ただけで、ゾクゾクしてくるでしょう♪♪~♪ いずれもスタン・ゲッツのクールな感性が存分に楽しめるに違いないと、盲目的に信頼してしまいますよねぇ~♪
まあ、現代の耳で聴けば、ストリングアレンジが些か大仰で古臭くも感じますが、所謂ゴージャスなその響きの中でクールな情熱を滾らせ、さらに優雅な歌心と魔法のようなフェイク、そして絶妙のアドリブが見事に融合! これぞっ、スタン・ゲッツの真骨頂が随所に現れは消えていく瞬間ばかりが、ジンワリと楽しめます。
感情の起伏がリアルな「The Thrill Is Gone」、曲想を活かしきった「It Never Entered My Mind」や「A New Town Is A Blue Town」、安らぎの「When I Go, I Go All The Way」、涼やかなテナーサックスの音色が冴える「Early Autumn」の入ったA面は、曲の流れも絶品♪♪~♪
そして白夜のような「'Round Midnight」からスタートするB面は、よりジャズっぽいムードが強くなり、ちょっとショッキングなイントロからアブナイ雰囲気が横溢するアレンジを逆手に活かした「Born To Be Blue」や「Good-bye」のハートウォームな良さ♪♪~♪ さらにグイノリ感も爽やかな「Whiper Not」と、こちらも素晴らしいですねぇ~♪
ラス・ガルシアの編曲はクラシカルエレガンスという感じで、おそらくは十人十色の好き嫌いがあろうかと思います。しかしスタン・ゲッツのテナーサックスの魅力は、そういうものを超えて、圧倒的な感動を与えてくれると思いますよ。
特にオーラスの「Nature Boy」は、いきなり震えがくるほど素敵なテナーサックスの魅力がいっぱい! スタン・ゲッツの息使いとか微妙にキーがカタカタ鳴る音等々も含めて、全てが「ジャズ」という畢生の名演じゃないでしょうか!?! アレンジとの兼ね合いも最高に上手くいっていると感じます。
ということで、決してスピーカーに対峙して鑑賞する作品ではないと思いますが、「ながら」聴きしていても、いつしか耳が惹きつけられてしまう名盤だと思います。なんか大袈裟に言えば、正坐したくなるような♪♪~♪
ちなみに、このジャケットも私はとても好きですし、いよいよ春という休日には最良の1枚なのでした。