「森林開発だって悪いことばかりジャーねー。
下の村の連中は、儲けてオートバイを買ったり、新しいモーターボートを仕入れたやつもいる。
俺たちも、時代におくれちゃーいけねー」
「そうだ、森の神様にはすまねーが、今の世の中、現金がなくちゃー、子供を町の学校にやれねー」
「確かに下の村は家が新しくなったり、景気のいいはなしを聞くが、そいつはほんの一部のヤツラのことだ。
伐採の後、開墾しても、ものの5年もすれば収穫が減っているじゃーねーかー」
「一雨振れば、畑は泥田になって流れ出してしまうし、乾いた後は石の様にかたくなっちまう。
あんな土地じゃー何にも栽培できやしねー」
「ご先祖からの土地でなくては、いい作物を作れない。開発業者は俺たちの土地がほしいのさ」
「よそから来た開拓民の連中は、金を借りて開墾しているが、結局作物は思うように採れていない。
あげくは、土地の権利を取られてしまう。
森林開発業者と金貸しは、グルだとしかおもえねー。
俺たちは、あんな馬鹿なことにならねーように、協力しあわなければ負けてしまう」
「くどいようだが、町の暮らしは穴の開いた舟のようなもんだ!」
激しい話し合いは、幾日も続きました。
その間も、森は恐ろしい速さで食われていきました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます