棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

2ー井上ひさし著「一週間」を読む

2013-01-16 09:50:13 | 山郷の暮し
日中の気温が今一つ上がらず、雪がなかなか解けてくれない。
先日に続いて、井上ひさし著の「一週間」の続きです。

主人公はロシア語の堪能な日本人捕虜小松修吉は、捕虜向けの新聞「日本新聞」の編集者としてのテストを受けることになる。
その一週間の間に起きたことを、膨大な資料の上に政治史を物語的に展開している。
主人公はひょんなことから、レーニンが若いころ友人に送った手紙を手に入れる。
この手紙こそロシヤの革命半ばの体制を揺るがすものであり、主人公の生死にかかわるものだった。
つまり・・・レーニンは少数民族の出身、非モスクワの出であるから、少数民族のしあわせのために闘う。それが私の革命の大義である。
と若き情熱をたぎらせ、同志を募り革命を起こそうと紛争していた。
しかし、弱者の味方だったのだが、事が成し、権力の座についたとなるとご存じのとおり
「社会主義の利益は諸民族の利益にまさる。」ということになってしまった。

レーニンの背信 ともいえることだが、革命半ばのロシア政府にとって都合が悪い。
この手紙の所在を巡っての、一週間の物語だ。
最後は、井上ひさし作品では珍しく悲劇的な終了である。

この「一週間」はぜひ読んでほしく、一党独裁・軍事国家・強権体制などなど、現在も繰り広げられている内容だ。





ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本