棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

四谷怪談

2011-09-23 07:22:45 | 山郷の暮し
秋の彼岸をむかえ、急に冷え込んだ朝に怪談話も間の抜けたはなしですが、少年少女古典分学館をかたっぱしから読みあさっている中で、四谷怪談ーー高橋克彦訳 を読んだ。
ナントナクお岩の「うらめしや伊右衛門どの・・・」は断片的に記憶にあったが、初めて高橋訳を読んでこの物語は半端なものではないと知った。
訳者のコメントを書くと、怪談の持っているおそろしさとおもしろさのすべてが、ここに凝縮されてい。
いや、怪談という狭い分野に限らず、文学の魅力のほとんどがこの作品に集約されている。
そうなんです、訳の良さもあるかもしれないがゾクッとしてくるほどリアルな描写である。
なんといっても、人間の限りない欲望からうまれる執着・愛欲・怨念のすざましさは、怪談話だからではなく人間社会そのものだ(ツーーことはこの世は怪談じたて ということか)。
登場者たちの複雑な絡み合いは決して江戸時代の話ではなく、仕立てをチョット変えただけで現代劇になってしまう。
この物語が今なおさまざまな演出で上演されるのも最もだと感じた。
原作の四世鶴屋南北「東海道四谷怪談」をぜひにでも読んでみたくなった。

ryusun

つぶやき

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子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本