徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「パリ、恋人たちの2日間」―愛すべきラブ・ストーリー―

2008-12-24 15:00:00 | 映画
恋人たちの都・パリで過ごす2日間・・・。
15歳にして、ゴダール監督作品でデビューした演技派女優といえば、ジュリー・デルピーだ。
そのジュリー・デルピーが監督、脚本、主演、音楽、編集を手がけた、フランス映画の会心作(?)だ。
独創的で大胆な脚本、それでいて大笑いする面白さに溢れている。

フランス人写真家マリオン(ジュリー・デルピー)と、アメリカ人インテリアデザイナー、ジャック(アダム・ゴールドバーグ)は、付き合って2年になるニューヨーク在住のカップルだ。
ヴェネチアでのヴァカンスの後、ニューヨークへ戻る途中、マリオンの故郷パリで2日間を過ごすことになった。

この街で過ごす2日間に期待をかける2人だが、何やら雲行きが怪しい。
英語が全く話せないマリオンの母親や、次々に出くわす彼女の過去のボーイフレンドたち・・・。
別れた後は、二度ともとの彼女には会わないタイプのジャックは、もとカレと親しげに振舞う、マリオンの姿に戸惑いをかくせない。
嫉妬心と猜疑心にさいなまれた、彼のイライラは募るばかりで、二人の関係もギクシャクしはじめていた。
異国の地で、ジャックのストレスは最高潮に達する。マリオンの両親に会ったジャックは、そのあまりの自由奔放さに圧倒され、カルチャーショックを受ける。

安泰に見えたカップルに、突然訪れる別れの危機・・・。
長年付き合っていても、相手のことをすべて知りつくし理解しているとは限らない。
ひょんなことで知った愛する彼女、或いは彼氏の新たな一面に恐怖心を抱くことはあるが、果たして自分もありのままの姿を相手に見せているだろうか。
相手を愛すれば愛するほど、さらけ出すのが怖くなるのが、本当の自分なのだから・・・。

この作品は、なかなかチャーミングでユーモラスだ。
登場人物たちの、軽快なテンポある会話も大胆かつユニークだ。
なかでも、喜怒哀楽の激しいリベラルなフランス人女性マリオンと、皮肉屋でネガティブなアメリカ人ボーイフレンド、ジャックとのかけ合いは面白おかしい。
コミカルでリアリティに富んだ脚本も、ジュリー・デルピー自身が手がけているし、オリジナルなセンスも一杯だ。
しかも、そもそもジャック役のアダム・ゴルドバーグは、ジュリーの本当の元カレだそうだ。
これは、まさにリアルな配役ではないか。
よくまあ、元カレを映画のなかに自分の恋人に選んだものだ。
思わず、ふ~むとうなってしまった。
映画のなかでは、自己中心的で、あまりいかさない男に見えるジャックだが・・・。
彼は、髭もじゃのルックスで、神経質な男をひょうひょうと演じている。
‘大人の恋’は、甘いだけじゃない。

それから、マリオンの父親役は、ジュリーの実父でベテラン俳優のアルベール・デルピー、天真爛漫なキャラクターのマリオンの母親のアンナ役にジュリーの実母で女優のマリー・ピレといった、二人の両親を出演させているいるのも、面白いキャスティングだ。

パリジェンヌのマリオンはリラックスして、もともとのパリっ子になり、ジャックは異国の地でより窮屈になるというわけだ。
フランス人とアメリカ人、その‘誤差’がパリの街に妙な笑いの増幅をもたらす。
台詞はなかなかリアリティがあって、一部卑猥な会話の応酬もあったりするが、すべて明るく笑い飛ばされる。

言ってしまえば、このフランス映画 「パリ、恋人たちの2日間は、どう見てもジュリー・デルピーのワンマン映画だ。
テンポのよさもいいが、時にけたたましいほどの会話の応酬は、滑稽と諧謔に満ちているが、かなり騒々しい。
男女の性について、その自由を謳歌するフランス人と、意外にピューリタンなアメリカ人の、ナショナリティ(国民性)の違いをこの作品に見ることができて、軽やかなコメディに見えても、奥はなかなか深そうである。

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2 コメント

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不思議なものですね (茶柱)
2008-12-25 01:38:17
日本人からみたら、フランス人もアメリカ人も、ほとんどわからないというのに・・・。
ま、アメリカ人からみた日本人と中国人が見分けつかない様なものですか!

・・・それは違うわ!
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どんなものでしょうか・・・ (Julien)
2008-12-26 19:53:25
外国人から見た、日本人、韓国人、中国人は・・・。
一見しただけでは、勿論分からないことも・・・。
ナショナリティとは、面白い(?!)ものですねえ。
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