徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「秋深き」―浪速の恋の純情物語―

2008-12-26 16:00:00 | 映画

・・・うちのこと、幸せにしてくれて、ほんとにありがとう。
織田作之助の原作にもとずいて、池田敏春監督が、ほんわかとした心温まる映画を創った。
可笑しくて、滑稽で、悲しくて・・・。

人と人との結びつきが希薄になって、孤独と隣り合わせに生きる日々・・・。
‘愛’とか‘友情’が、心から求められている今の時代・・・。
一途に愛を貫く、真面目で平凡な男と、拭いきれない過去を引きずりながらも、ありったけの母性で男の愛を受け止める女の、可笑しくも悲しいまでの一編のラブ・ストーリーである。

不器用な生き方しか出来ない男は、世の中に大勢いる。
ここに奏でられる恋物語は、人生の切なさ、日々の営みの尊さも、人情のあたたかさも、そしてとどのつまり愛なくしては生きられない人間の‘性’を、優しく示しているようだ。

中学校の教師寺田悟(八嶋智人)は、仏具展を営む実家で両親と暮らしている。
見合い話には目もくれず、今夜も北新地のクラブへいそいそと出かけていく。
店のホステス川尻一代(佐藤江梨子)に、思いを寄せているのだ。
一代の方は、酒も飲めないのに足しげく通ってくる寺田に、まんざらでもない様子だ。

ある夜、寺田は、店を終えて帰る一代を待ち伏せる。
帰り際に、客の男に執拗に迫られている一代を助けることすら出来ず、彼女から責められる寺田だったが、意を決して一代にプロポーズする。
一代は、寺田の申し出を受け入れた。

家を飛び出した寺田と、孤独を恐れ、幸せを夢見る一代の新婚生活が始まった。
二人の幸せな愛の日々が続くが、生活を重ねていくうちに、一代の過去の男性遍歴が見えてくる。
寺田は、一代が留守のおり、彼女に届いた葉書を何気なく見てしまう。
それは、知らない男からの逢引の誘いをにおわせる文面だったが・・・。
そして・・・、妻の一代が乳がんに冒されていると告白されたのは、それから間もなくのことだった。

森繁久弥と淡島千景のコンビで、映画化された名作「夫婦善哉」で華々しく文壇に登場した、昭和の文豪織田作之助の短編をもとに、失われつつある浪速の厚い人情の世界を再現して見せた。
大阪の男と女のけったいな関係を、池田敏春監督秋深きは、純情物語として描いたものだが、昭和の名作を現代の大阪によみがえらせた、ほんまにええ話だと言いはりますが、さてどんなものですか。


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2 コメント

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ええ話・・・ (茶柱)
2008-12-27 00:03:08
なんでしょうなぁ。でも、こう言う話を見ると、つい自分と比べてやるせなくなります・・。フィクションと比べても仕方ない事位、頭じゃわかってるんですが。
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わかります、わかります・・・ (Julien)
2008-12-28 13:22:36
よ~くわかります。はい。
人間って、時々やるせなくなりますもの・・・。
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