リドリー・スコット監督の、壮大にして深遠なSF大作の誕生だ。
人類の永遠の疑問は、人類はどこから来たのかということだ。
その根源的なテーマと、その謎を解き明かそうとする、衝撃のドラマだ。
この作品は、生命の起源というとてつもないテーマに挑戦した。
地球が生まれてから、生命が誕生するまでの間、この惑星に異星の文明が一度も訪れていなかったとしたら、地球は一体何をしていたのだろうか。
それが、鬼才リドリー・スコット監督が、驚愕の映像世界を創造した理由である。
「プロメテウス」とは、ギリシャ神話に登場する神のことで、人間に火を贈ったプロメテウスは、他の神々の怒りを買い、悍ましい罰を受けた。
そんな壮絶な運命をたどった神々の名を冠した、プロメテウス号のクルーは、宇宙の果てでいかなる真実にめぐり逢うのか。
2093年・・・。
科学者エリザベス(ノオミ・ラパス)は、地球上の、時代も場所も異なる複数の古代遺跡から、共通のサインを発見した。
それを、知的生命体からの‘招待状’と分析した彼女は、巨大企業ウェイランド社に出資した宇宙船プロメテウス号で、地球を旅立つ。
2年以上の航海の果てに、未知の惑星にたどり着いたエリザベスや、冷徹な女性監督官ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)、精巧なアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)らは、砂漠の大地にそびえたつ遺跡のような建造物の調査を開始した。
やがて、遺跡の奥深くに足を踏み入れたエリザベスは、地球上の科学の常識では計り知れない、驚愕の真実を目の当たりにするのだった・・・。
宇宙船には、ウェイランド社から秘密の任務が託されていて、乗組員たちはそれに翻弄され、さらには未知の生物からの攻撃にさらされる。
オープニングは、人類の起源から未来へと切り替わり、哲学的なシーンを挟んで、スコット監督のこだわりの映像が美しい、立体パノラマだ。
エンターテインメントとして、出色の出来といってもいい。
映画は、冒頭からぞくぞくするような展開だ。
人類の起源をめぐる壮大な謎と世界観に、圧倒される。
ドラマの中にいくつもの謎を散りばめながら、息詰まるスリルとともに展開する神秘的な映像世界から、もう目が離せない。
まさに、エピックミステリーだ。
惑星のロケーションなど、幻想的なビジュアルも見ごたえは満点で、観る者の知的好奇心がくすぐられる。
深遠なミステリーから、圧巻のアクションまで、あらゆる要素を飲み込んだ戦慄と衝撃を体験する。
リドリー・スコット監督のアメリカ映画「プロメテウス」は、オリジナリティのあふれるストーリーとスピード感満点のアーティスティックな映像で、随所に散りばめられた謎解きもすべてが想像外で、驚きの楽しさでもある。
「人類の起源」をビジュアル化した作品だ。
「パンドラの箱」は開けてはならなかったが、それが開いたとき、まだ何も知らない人類は全てを目撃することになる。
この宇宙に知的生命体は人類だけであるはずがないとする、リドリー・スコットの主張に、それがたとえ仮説であっても夢は大きく膨らむが・・・。
人間の想像力を刺激して、娯楽度は満点に近い。
[JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点)
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いや,確か以前にもこのブログで紹介された作品がありましたっけ。
スモークの使い方に特徴がある。
弟さんのトム・スコットが先頃自殺されましたが,弟さんのトップ・ガンも好きな映画なんですよね・・・。
トム・スコットさん、兄弟で映画やテレビ作品の製作会社を
作って、大いに活躍した時期もあったようですね。
この辺は、多分お好き映画なのではありませんか。
リドリー・スコット監督は1937年生まれ、まだまだ、お元気ですねえ。