徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「K-20 怪人二十面相・伝」―胸躍る、痛快劇―

2008-12-31 12:00:00 | 映画

日本で、最も著名な探偵と大泥棒の闘いを描いた映画だ。
新解釈の怪盗伝で、大人から子供まで楽しめるエンターテインメントである。
佐藤嗣麻子監督が、自らも脚本を担当した、血湧き肉躍るスーパーアクション大作と言えるかも知れない。

この作品、どちらかと言うと女性寄りかも知れない。
ヒーローが格好よく、共感でき、笑いもある。
それに、とにかく迫力満点だ。
怪人二十面相と明智小五郎が、激しい暗闘を繰り広げる。

1949年―架空都市《帝都》―。
帝国陸海軍と、アメリカ、イギリスとの平和条約の締結が合意に達し、第二次世界大戦が回避された世界・・・。
19世紀から続く家族制度により、極端な格差社会が生まれ、帝都の富の9割は、ごく一部の特権階級に集中していた。

そんな中、富裕層のみをターゲットにして、次から次へと美術品や骨董品を、魔法のような手口で盗んでしまうという、《怪人二十面相》の出現が世間を騒がせていた。

学術会議場から、無線送電システムが盗み出されるという事件が発生する。
多くの参加者の目の前で、大胆にも、その模型を持ち去ったのは、正体不明の大怪盗・怪人二十面相だ。
早速、名探偵・明智小五郎(仲村トオル)や、浪越警部(益岡徹)らが現場検証を行うと、そこには変装用のマスクが残されていた・・・。

一方、グランドサーカスでは、曲芸手品師・遠藤平吉(金城武)が、子供たちの前でショーを繰り広げていた。
その平吉の前に、謎の紳士(鹿賀丈史)が現れ、札束をちらつかせ、明智小五郎と羽柴財閥の跡取りである葉子(松たか子)の結納の様子を写真に撮るよう要請する。

結納の儀をを隠し撮りしようとして、平吉がカメラのシャッターを押すと、参列者の埋まったホールは煙に包まれる。
怪人二十面相から、羽柴財閥の持つ、ブリューゲルの「バベルの塔」を頂戴するとの犯行予告を受け取り、この日厳重な警備を行っていた軍警は、平吉を怪人二十面相として逮捕した。
しかし、平吉は、二十面相の仕掛けた罠によって、逆に二十面相に仕立て上げられてしまったのだった・・・!
・・・刑務所に護送中の平吉を救い出したのは、サーカス団のカラクリ師である源治(国村隼)とその仲間たちだった。


さあ、平吉は潔白を証明すべく、明智や葉子らと、怪人二十面相を追って、広い帝都を所狭しと駆け回る。
原作の中にもある、二十面相の逃走術として、「直線を走るべし」を映像化したあたり、なかなかだ。
どんな障害物があっても、最短距離を駆け抜ける。
建物があれば乗り越え、川を渡り、道路を突っ切る。
肉体だけを駆使したチェースだ。
もう、迫力満点で、ハラハラドキドキで楽しめる。

冒頭から、カメラは、住宅街、工場地帯、ビル街へと移動し、一気に観客を映画の世界へと引きずり込む。
息をのむスリリングな展開で、あっという間に2時間あまりが過ぎてしまった。
文句なしに面白い、娯楽映画の誕生だ。
町並みも、機械や乗り物も、様々な装置が古き良き時代の雰囲気をかもし出していて、いい。
特殊撮影の妙味もたっぷりだ。観て損のない作品と言えそうだ。
佐藤嗣麻子監督の映画「K-20 怪人二十面相・伝は、老若男女誰もが楽しめる作品になった。

  ・・・閑 話 休 題・・・
今年は、洋画も邦画も、特に傑出した作品が少なかったようだ。
極論すれば<不作>と言うことだろうか。
「おくりびと」や「母べえ」などは、日本アカデミー賞の優秀作品にノミネートされているが、どうもいずれも小粒で、総じて優れた作品を見つけるのは難しい。
(ただし、これはあくまでも個人的な見解にすぎません。)
最優秀賞の発表は、2月20日だそうだ。

そんな中で、今年最も心に残った一作と言えば、躊躇なく、
市川崑監督の幻の名作「その木戸を通ってを取り上げたいと思います。
・・・さて、来年はどんな年になるのでしょうか。
どうぞ、よい年をお迎え下さい。


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