この映画は、年越しのカウントダウンを迎える、アメリカ・ニューヨークが舞台である。
様々な人生を生きる人々の、大晦日の一日を描く群像劇は、実に賑やかだ。
「プリティ・ウーマン」(90)のゲイリー・マーシャル監督が描く、アメリカ映画だ。
ちょっぴり切ない話もあれば、微笑ましい話もある。
1年の最後の日に、大切な人との絆を取り戻そうとする人々を描こうとする、ほのぼのとした作品だ。
明日への希望に夢を託して・・・。
大晦日のニューヨーク・・・。
タイムズスクエアでは、電球で飾られた大きなボールが、カウントダウンに合わせて下りてくる「ボール・ドロップ」が行われる。
このイベントの開催に、タイムズスクエア協会のの女性役員は躍起になっている。
1年前に、再会を約束した男女がいる。
出産を間近に控えた、二組のカップルがいる。
女性看護師に介護され、やがて死を迎えようとしている男性患者がいる。
イベントで歌う予定の有名な歌手は、ついさきほど料理人のガールフレンドと別れたばかりだ。
その歌手のバックコーラスを務める若い女性は、故障したエレベーターの中に、出不精の若い男に閉じ込められてしまっている。
例年、行事のパーティで、亡くなった父に代わってスピーチをすることになっている若い経営者は、遅刻しそうで慌てている。
年頃の娘を抱えた母親は、娘に厳しく、カウントダウンなんて自宅でいいと言ってきかない。
あるキャリアウーマンは、仕事と決別し、不可能と知りながら、自転車便の若者の協力で、年内にしたいことをとにかく実行しようとする。
こういった人たちが、大晦日のニューヨークで、それぞれのニューイヤー・イブを過ごし、年越しのカウントダウンを待っているのだ。
著名な俳優や歌手たちがずらりと結集し、キャストの名前だけでも大所帯のにぎやかさだ。
主な出演者だけでも、ハル・ベリー、ジョン・ボン・ジョヴィ、ロバート・デ・ニーロ、ザック・エフロン、アシュトン・カッチャー、サラ・ジェシカ・パーカー、ミシェル・ファイファー、アビゲイル・ブレスリンらと多彩だ。
登場人物たちの織り成すドラマの中のドラマが、これまた彩りよく交わっていて、かなりしっかりと描かれているのに好感が持てる。
幸せの形なんて、人みなそれぞれだ。
別れがあり、再会や偶然の出会いもある。
生まれてくる命があるかと思えば、迫りくる死を待つ老人がいる。
夢が叶うこともあれば、失望することもある。
まことに、様々多様な人間模様、人生模様が、結構速いテンポのしかもコメディタッチで、若い世代から高齢世代の人たちまで、それぞれの状況や立場を通して、その人生の一瞬一瞬を軽快に切り取って描いている。
ゲイリー・マーシャル監督は、いとも鮮やかな手腕で本領発揮といったところではないか。
どの役をどの俳優が演じているかが、また大きな見どころでもあり、うっかり見過ごしそうなところもありで、楽しみでもある。
キャスティングは、ほぼ適材適所のようだが、あまりにも登場人物が多すぎて、観ている側はかなり混乱しそうだ。
タイムズスクエアのカウントダウンには、世界中から約百万人の人が集まり、その様子はインターネットでも生中継される。
この夜のニューヨークが最高なのは、新年を迎える歓びを、時差や国境を越えて、同じ時間に世界中の人たちが分かち合い、共有し繋がり合うからだそうだ。
ニューイヤーズ・イブがそのもっとも華やかな瞬間だというが、大切な人とつながっていたいという思いは、大晦日だからこそ、最高の盛り上がりを見せるのだろう。
いやいや、それにしても、ハリウッドの人気スターや演技派、若手俳優までを総動員して、映画史上初となる100万人からの人々の祝う、タイムズスクエアのカウントダウンイベントの撮影を実現させたのだから、このカーニバルのような熱気にはただただ驚きだ!!
アメリカ映画、ゲイリー・マーシャル監督の「ニューイヤーズ・イブ」は、それぞれの心温まる意外な展開や演出が施されていて、ほのぼのと、しかし賑やかな群像劇で、年末年始には最適の映画だ。
[JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点)
・・・・去りゆく年を想うとき、それは非情と切なさに胸痛む、この1年でした。
今年も、今年のカウントダウンが間もなく始まります。
ひとそれぞれの、想いの中で・・・。
そして、来たるべき年は、どんな年になるのでしょうか。
今年の大晦日は、ゆく年くる年のその時を迎え、除夜の鐘に、心静かに耳を傾けたいと思っています。
どうぞ、よい年をお迎えください。
有難うございました。
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また,新年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。
何かと、波乱の年となりそうですね。
心して暮らさなくてはならない、厳しい年の訪れだと思います。
よろしくお願いいたします。