徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「あなたは私の婿になる」―肉食系女子のラブコメディ―

2009-10-20 10:00:00 | 映画

婚活ブームの一方で、草食系男子が急増中だ。
マニュアルどおりの婚活では、上手くいくはずがない。
そんなジレンマを抱えた女性たちを奮い立たせるコメディだ。
「幸せになるための27のドレス」アン・フレッチャー監督の、イマドキのアメリカ映画だ。

ニューヨークの出版社に勤務する、やり手編集長のマーガレット・テイト(サンドラ・ブロックは、妥協を知らない女性だけに、会社のトップからは見込まれ、部下からは恐れられている。
アラフォーのマーガレットにとって、婚活など無縁だ。
その彼女が、部下の草食系男子アンドリュー(ライアン・レイノルズ)に、「婿になれ」と命じたのだ。
カナダ国籍でビザが必要なのに、仕事にかまけて申請を怠り、国外退去処分が決まった。
マーガレットが思いついた苦肉の策が、偽装結婚だった。

アメリカ国籍を持つ、彼女のアシスタント、アンドリュー・パクストンの腕をつかみ、みんなのいる前で、まさかの結婚宣言である。
 「私とアンドリューは、実は結婚するんです!」
一方のアンドリューは、事情を呑み込めないから、呆然とするばかりだ。

偽装結婚なんて、とんでもない・・・はずのアンドリューだったが、マーガレットが国外退去となれば、お互いに失業だ。
3年間の努力も、水の泡だ。
運命共同体となったアンドリューとマーガレットは、早速市民権移民局へ足を運び、入国管理官の追及をかわして、二人はアンドリューの故郷アラスカの小島へ、結婚報告に行くことになる。
そこで、祖母の誕生パーティの席上で、婚約を発表すると言ってしまったのだ・・・。
やがて、祖母のたっての希望で、彼女の誕生日にマーガレットとアンドリューの‘結婚式’を挙げることになった。
家族の温かい愛情に触れたマーガレットは、決断する・・・。

有能だが、唯我独尊で鼻持ちならない嫌な女マーガレット、部下をこき使い、たてつく者は容赦なく首にする彼女を、人は鬼と呼んで恐れている。
その鬼の女が、アラスカに舞台を移すと、ロマンティックなラブコメディに変わる。

アンドリューの家族や、素朴でおおらかな島の人々との交流、そしてアンドリューと資産家の父親との確執など・・・、いろいろありの賑やかさだ。
お互いのキャリアを守るための嘘が、周りを巻き込んで大騒動になる。
アンドリューとマーガレットは、偽装のためにキスしたり、ひとつ部屋で寝たりするうちに、これまで強がって生きてきたマーガレットに変化が現れる。
そして、ドラマは、思いもかけなかったエンディングを迎えることに・・・。

恋も仕事も、タイミングを逃さないことが、とても大切のようで・・・。
相手の顔色をうかがってばかりでは、恋愛も仕事もうまくはいかない。
はっきりと自分の意見を主張できる女性は、恋愛も仕事も美味しいところを持っていってしまうものだ。
この作品に描かれているように、女性の上司が男性の部下にプロポーズしたり、彼女のリードで恋愛が進行したりしても、何ら不思議はないということだ。
・・・最初から、追う気のない草食系男子に、追いかけられるのを待っていてはダメだ。
人生の貴重な時間は、どんどん過ぎてゆくのだから・・・。

大いに笑えて、キュンとして、ほのぼのと温かい気持ちになれる。
まあ、ありきたりのラブコメディだから、結末も案の定といったところで、軽いノリも手伝って、肩のこらない気分転換にはいい。
アン・フレッチャー監督の、アメリカ映画「あなたは私の婿になるは、やり手女上司と部下のハチャメチャな騒動をコミカルなタッチで描く。
ヒロインのサンドラ・ブロックは、ここで見るとかなりお年を召したという感じもするが、登場人物たちはそれぞれに人間味があって、面白い。
アンドリューを演じているライアン・レイノルズは、いままで見せたことのない、豊かな表情で好演し、サンドラ・ブロックも「プラダを着た悪魔」のような上司っぷりで笑わせる。
物語全体の起伏はあまりなく、深みも特にない。
甘口の、気持ちのよいラブストリーとしては、まずまずだ。
あまり見られない、アラスカの景色もいい。
実をいうと、この映画、観る前からあまり期待していなかったわりには、面白い出来上がりだ。