昨日のNY市場は今回の上昇相場では久しぶりの大幅な下落になった。S&P500は-2.6%であったが、相場をリードしてきたナスダック指数は-3.01%。
NY株が3月9日に底入れして以来、S&P500が3日間の連続安というのは初めてのことだ。
「相場は中間反騰の域を超えて本格反騰にはいった」とみる向きも多かっただけに、この日の下落には動揺が走る。
相場はこの2ヵ月間にS&P500で+34%になった。1930年以降ではこのような短期間の上昇率は初めてだ。それだけに「本格反騰説」にも説得力があった。
昨日の相場の下落には決定的な悪材料が出たわけではない。4月の小売が期待していた+0.2%から-0.4%に落ち込んだのがイヤ気された。米国のGDPの70%は消費が占めているだけに景気を判断する指標としては、雇用統計と並んで重要視される。好転を期待した向きが多かっただけにショック度が大きかった。
それに中間反騰説を元気づかせたのは1929年~1930年の大恐慌の始まりのときも+48%という中間反騰があったが、その後、長いトンネルにはいってしまったことである。
ただ昨日のウォール街をみて安心感を与えるのはVIX指数が前日の31.8→昨日33.7と小幅な上昇にとどまったことである。
今回の相場の上昇局面では依然として出遅れ組の多いことである。ヘッジファンドも年金も株式相場への積極的な出動を控えてきた。
金融株の動向が相場の先行きをみる大きなカギになるが、先週のストレステストに続いて、3月に設立した官民投資プログラム(PPIP)の本格的な出動がある。
相場の反騰のきっかけになったオバマ政権の景気、金融対策の出動の本番はこれからである。これまでは「理想買い」であったが「現実買い」は残っている。