足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

有力ヘッジファンドの投資

2019-10-18 11:02:03 | 投資戦略
世界最大のヘッジファンドの運用者レイ・ダリオは定期的にTVに出席しているが、16兆円の運用資産を誇る。
世界最大の運用資産を抱え、いままでの人気ファンドマネージャーのようにカリスマ性はなく、運用成果にばらつきがなく、米国の機関投資家のかでも、もっとも尊敬される存在である。定例のTV番組に出演し次のような現状認識を発信した。
① 世界の中央銀行は利下げ開始のタイミングを失った。
② 世界景気の動向は1920~1930年に発生した不況に似ている。
③ 景気サイクルの波は厳しい不況の戸口を通過した。
現在の景況感は1930年型の戦前の大不況期になぞらえる。米景気は自然のサイクルに突入しただけに、景気対策の効果は希薄で景気サイクルは経験則の自然の筋道を走り始めた。 
現在の景気の底入れは簡単には始まらない。金融緩和のタイミングが遅れたので底入れの時期が先に延ばされたことを強調する。運用資産が世界最大だけにレイ・ダリオの慎重論に耳を傾ける投資家は多い。
彼が注目するのは国民の所得格差の大きいことで1930年以来の貧富の大きな格差が出てきて、米国の富裕層の所得が景気の動向を握る時代にはった。富裕層が世界所得の90%をにぎり、景気対策を発動しても、世界景気が簡単には反応する時代でなくなった。
いまひとつの問題点は中国の台頭で世界の中央銀行の金融政策の効果が希薄化し、米国経済への依存度が大きく低下してきた。
先行き相場の読みも複雑化してきた。現在の世界の相場の下値硬直性も米中経済の依存度の高まりが一因である。