今週のウォール街の注目点はS&P500が1440台を固めたことである。
金曜日の引けは1452とテクニカル面での上値の抵抗帯を抜けて引けた。
同じような現象が2月初めにも現れ2月1日に1445になった時に、強気に転換した投資家は多かった。その後、順調に上昇トレンドをたどり下旬には1459まで上がったが、月末のチャイナ・ショックに直面して上昇トレンドが崩れた。今回は2回目の挑戦である。
1440が抵抗帯というのは、昨年12月の上昇相場がこの抵抗帯を抜けずに挫折したからである。別に科学的な理由があるわけではないが、テクニカル分析を重視する投資家が、この種の見方に注目する。相場の人気分析には無視できない。
今回の相場の勢いの背景にあるのは、波乱を打ち消し、世界的に株価が上昇してきたこと。また今週から本格的に始まるウォール街での第1四半期の決算発表(インテル、グーグル、ヤフー、IBM,シティ・グループなど)への期待観、引き続くM&Aなどが背景にある。
このような欧米、エマージング市場の株価の好調に比べて東京市場のもたつきが目立つ。期待した4月~5月相場がいまのころ不発に終わっているだけに、これから5月連休にかけてウォール街などの動きが、相場の材料になる可能性がある。一時、過熱の方向に向かっていたテクニカル指標も相場にとっては好ましい方向に進んできた。昨日の日経平均のカイ離率はー0.38%(対25日移動平均)、騰落指数は98.7%(25日線)と沈静化した。
M&Aといえば昨日のウォール街ではダブルクリックをグーグルが31億ドル(3700億円)で、投資会社ヘルマン&フレッドマンから買い取っことが注目される。全部現金である。この投資会社は2年前の2005年に11億ドル(1300億円)で買収し、非上場化した。まさに荒稼ぎといえる。
ダブルクリックはインターネット広告関連の草分け的な存在。市場で人気が離散したインターネット株を蘇らせた。ネット広告のウェブ画面の作成では、欧米は日本に比べて先を行く。それにしてもこの種のM&Aが企業を活性化させ、業界の効率化に貢献する。新しい株式価値の創造である。株式相場にとっても大きなプラス要因。この種の深みのある市場の出現が投資の世界では期待できる。