村上春樹の長編小説が久しぶりに発売になったことが話題になりましたが、僕としては一つ前の長編である「1Q84」からはや7年が経ったことに驚くとともに、とうとう「1Q84」のBOOK4は出ないんだなと諦める心の区切りがつきました。
1984年のもうひとつの世界としての1Q84を描いた本作品はBOOK1が4〜6月、BOOK2が7〜9月、BOOK3が10〜12月という構成になっていて、こう来られたらBOOK4もあると思うのが自然だと思ってたんですが、待てども待てどもとうとう出ませんでした。
村上春樹は随所に現代的なテーマを作品に織り込んでくるので、僕も同時代に生きる人間として考えさせられるところがあります。「1Q84」にはいわゆるカルト教団が描かれていて、僕はオウム真理教のことを考えました。
宗教団体と普段関わりがない僕からすれば、なんでそこまでハマっちゃうんだろうかと不思議に思いますが、宗教団体の一員として活動する人々にはやはりなんらかの必然のなりゆきがあって、ひとつひとつ経験を経て、結果としてその人の思想が形成されるんだとすれば、安易に否定するのもそれはそれで違うんだろうと思うわけです。
サリン事件に関わった人はどういう気持ちだったんだろうか。宗教団体というひとつの巨大組織の一員としてサリンを作った人は果たしてサリンが地下鉄で撒かれることを想像していたんだろうか。サリンを撒いた人は、サリンがあんなに多くの犠牲者が出ることを想像していたんだろうか。
自分も一社会人として仕事をする上で、与えられた課題をクリアするためだけにあまり深く考えずに対応してしまうこともあります。そういう意味では実行犯の人ってのはオウム真理教という組織に所属していたがゆえにサリンを作ったり撒いたりしてしまっただけであって、一人一人には悪意はなくとも、総体として良からぬ結果に至ってしまったのだとしてもなんら不思議ではない気がします。
少し冷静になって想像力を働かせてみることも大事だと思う今日この頃。
中央本部執行委員M.I.Z.