ZENZAIMU(全財務公式ブログ)

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サラリーマン“短歌”?

2013-03-12 22:55:00 | 日記
こみ合へる電車の隅に ちぢこまる ゆふべゆふべの我のいとしさ

明治時代の歌人、石川啄木(1886年生-1912年没)が詠んだ一首です。当時、啄木は東京朝日新聞社の校正係に勤めるサラリーマンでしたので、その通勤風景を詠ったもののようです。100年前の短歌ですが、現代に通じるものがあり、親近感を覚えます。

啄木の歌には、次のようなものもあります。

はたらけど はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る

当時、啄木は、東京で両親と妻と娘の4人を養わなければなりませんでした。文筆業で身を立てようとしますが、うまくゆかず、何とか新聞社に職を見つけて生活の糧を得ている状況です。
ただし、彼には大変な浪費癖があり、給料の前借りや金田一京助たち友人からの借金を繰り返しては、酒場や遊郭で散財するという、“どうしようもない男”でした。くらしが楽にならなかったのには、自業自得の側面もあったようです。

私たちの生活も、昨年4月以降の給与減額支給措置の影響で厳しい状況が続いています。復興財源という点には理解をしつつも、「ぢつと手を見」ている方も多いのではないかと拝察いたします。そのような状況にあるにもかかわらず、さらに追い討ちをかけるかのように、内閣は、今日、55歳以上の職員の昇給を、来年1月以降、原則停止する措置を盛り込んだ給与法の改正案を閣議決定しました。昨年の人事院勧告を踏まえたものです。本件勧告に対し、前の野田内閣は、昨年11月-といっても衆議院が解散された16日ですが-「給与減額支給措置が終了する平成26年4月から実施する方向で、平成25年度中に結論を得る」とする閣議決定を行っていました。国家公務員の生活に一定の配慮を示したものと言えます。しかしながら、人事院勧告尊重を標榜する現内閣に、あえなく、ひっくり返されてしまいました。

現内閣は支持率が高く、また、市場もその金融財政政策を好感していることから、今夏の参議院議員通常選挙も好結果となる可能性が高まっています。自民党は昨年末の総選挙時の政権公約に「公務員総人件費を国・地方合わせて2兆円削減する」旨を掲げていましたが、参院選時の公約にも同様の内容が盛り込まれるものと思われます。選挙後、私たちの生活が「はたらけど はたらけど…」という状況に陥らないよう、引き続き、連合、公務労協に結集した取組を進めていく必要があります。

さて、啄木は現代でも人気があり、歌碑も数多く建てられていますが、岩手県陸前高田市の浜辺にも「いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ」の歌碑が建っていたそうです。しかしながら、東日本大震災の際、津波で流されてしまったことから、今年、新たな歌碑が建てられることになったそうです(9日付日経:夕刊)。
今回、選ばれた歌は次の一首です。

頬(ほ)につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず

合掌【ふく福】