YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

おかねのこねた 再び

2010-03-30 21:55:28 | 雑記
私は、春山昇華のブログ『おかねのこねた』の大ファンです。(以前のエントリー)

最新著作のタイトル『社会主義化するアメリカ』が頭から離れず(読んでないからかも)、質問をしてみました。即日に回答をいただきました。自分の期待した答えとはちょっと違っていたのですが、それ故に、その真摯なコメントに改めて春山さんの誠実さに感動した。(商売熱心な出版社の方は、違う意味で鋭いかも)

私の質問と春山さんの回答は以下の通り。


春山様
最初に、『社会主義化するアメリカ』も読んでいないのに、青臭い不躾な質問する事をお許し下さい。

春山様がこのタイトルを選ばれたのは、政治的、経済的な結論としてでしょうか?それとも宗教的な考察もあっての事でしょうか?

勉強不足で、マルクスも読んだ事がないのですが、社会主義は宗教を否定していたと思います。私自身は社会主義は啓蒙思想の執着駅と考えており、社会主義化するアメリカというタイトルは、アメリカ建国の精神であるジュデオークリスチャンの考え方が変質する事を暗示している様に思えてならないのです。

今週、健康保険改革法案が成立した事で、その勢いは取り敢えずの頂点を迎えたのですが、この先、本格的に社会主義化するのか、保守回帰をするのかアメリカ永住を決意したものとしては、身近な問題としてあります。

宗教の話は、政治以上にヤヤコシイのですが、お考えを頂ければ幸いです。


YSJournalさん、
このタイトルは出版社が決めました。私はそこまで強くは言いたくないと思ったのですが、販売戦略的にインパクトを必要としたのでしょう。

社会主義は宗教を否定しています。共産党の上に位置する神は困るのです。
この先、本格的に社会主義化するのかはわかりません。現在1900年ごろからの歴史を再度勉強しています。

わかったことは、
(1)入植~1900年ごろまで:純粋放任暴力的収奪的資本主義
(2)1900年~1980年:いわゆる社会主義化、ニクソン政権が頂点(=共和党なのに皮肉ですね)、
(3)1980年~2007年:社会主義化によって起こった非効率の修正
(4)2008年~****年:効率化追求で落ちこぼれ多発により民主主義の復権&金主主義バッシング(ここは本に書いているのでお読みください)

一旦大きく変化した流れは長期間継続すると思います。大きなトレンドの中にも小さな波(=反作用)は頻繁に起こります。


「おかねのこたね」ブログで、再勉強の成果をエントリーされているので、そのうち上梓されるのではないかと期待している。

おかねを追って政治を理解する事は王道かも。

先週の NHK 大河ドラマ『龍馬伝』で、龍馬が久坂玄瑞を尋ねて、なぜ攘夷なのかを尋ねる場面があった。幕末当時の日本での金と銀の交換比率(1:4)と国際比率(1:16)の違いを根拠に説明であった。不平等なので攘夷という事であったが、金の流失でインフレが起こり、武士の生活が苦しくなった事に、特に武士階級の不満が爆発したのが、攘夷の原動力である。(当時の武士に因果関係が分かるはずも無いが、開国して生活が苦しくなったというのは実感としてあったのだろう。)

この場面は全くの創作で、『大君の通貨』を参考にしたのだと思うが、思想よりも「腹の空き具合」が政治に大きなインパクトを与える良い例かも。(複合作用であるのは重々承知しているが)

政治をハスに見ている人の政治に関する発言、特に全く別の分野の大家の発言に、はっとさせられた。

英語教育、日本語教育、在留外人の選挙権

2010-03-30 06:41:44 | 教育
人の褌で相撲を取るエントリーです。(謙虚な気持があるので、思わず「ですます」調)

Lilac さんのブログ、My Life in MIT Sloan 『じゃあ中高の英語教育をどう変えるべきか考えてみる』で、英語教育ばかりでなく、日本語教育に話が展開してきたので、このエントリーで紹介した『小学生のための会話練習ワーク』の著者の一人である小学校の教員をしている友人に紹介したところ、以下の様なメールをもらった。ちょっと長いのですが、さすが国語が専門、読み易いので、紹介します。


引用始め

日本の英語教育は僕らの学んだ頃とはだいぶ変わって、とりあえず日本人の先生は文法を教え、会話や発音はALT(Assistant of Language Teacher)が全てやってます。小学校ではもう10年ほど 前からALTが会話を中心に授業(英語で遊ぼう的なコミュニケーションプログラム)しているし、去年からは英語の教科書も出来たので必須科目になりました。とは言え、韓国のように教員の研修が年間300時間を超える制度は全く整ってないので、ALTと打ち合わせをして授業するのが精一杯です。

 で、最初の頃は問題が多かったよ。何と言っても日本の教員は「和訳」したがる。せっかく、日本語の上手なALTがわざと英語だけで45分間授業しようとしているのに、いちいち通訳しちゃう。「ペンソー」とか「フラゥワー」とか、聞きゃ分かるっつーのに、変なカタカナで書いちゃう。

 当然ながら、授業研修で「アホンダラ、ソンナコトデハ、ニホンノ、エイゴキヨウイクニ、ミライハナイノデス、アナタノ、ハナクソノヨウナジュギョウネ」とこき下ろされ、日本の小学校教師も頑張った。今ではとりあえず英語だけで45分間何とかしようと頑張ってる。

 で面白いのは、英語を始めたことによって、国語科教育で培わなければならないコミュニケーション能力不足が指摘され始めたんだな。つまり、英単語や英語の構文を教えても、それを使って会話したがらない。なぜか?そもそも、日本語でだって文で会話しないから。やっぱ、外国語と同様、母国語である日本語を大切にしなきゃ。ということで、全ての教科で言語活動を大切にしましょう。という教育の流れが起こって来たのがここ2年ほどかな。

 ところが、国語科教育は物語文や説明文の読解・言語事項の知識理解・作文技術の習得という分野には力を入れてるんだけど、話す聞く分野は教材も教師の能力もイマイチ。話し合い活動とか、プレゼンテーション、ディベートなど教材としては入っているけれど、それは、やはり国語科の時間でしか使えない。もっと、日常生活に即した場面での会話や、それを支える言葉の力を意図的に育てないと言語生活が貧しいものになってしまう。

 というわけで、日常生活でありそうな場面を想定したロールプレイング教材『小学生のための会話練習ワーク』の登場になったわけです。この本の目的は、もちろん子どもの会話練習のためだけれど、本当は教師の「はなし言葉」を聞き取る感覚を鋭くするのがねらいです。

 子どもの話に耳を傾け、その時々にきちんと適切な話し方指導のできる教師がもっと多ければ、話し下手の日本人が少なくなるはず。昔から言われていることだけど、ちゃんとした話の出来る、普通の会話の出来る子どもを育てることですよ。日本語でも英語でも同じだな。

 ともかく、日本の小学校における英語教育は始まったばかり、目標にしている韓国は10年先を走っています。いつから日本の教育はアジアのトップじゃなくなったんだろう。アメリカから見れば日本のアジアでの位置がもの凄く客観的に見えることでしょう。経済も教育も社会保障も軍事力もアジアのトップじゃなくなって悲しい限りです。

 まずは日本経済が立ち直らんと、教育や社会保障の予算が付かぬ。田舎はジジババばかりになる。米作りは廃れる。狩江のみかん農家だって、今やベトナムやフィリピンの労働者に頼ってるからね。本当は、狩江小は英語じゃなくタガログやベトナム語を勉強した方が、将来のためになるんだけど・・・。とりあえず英語は必要なんだろう。でも、高校まで行ってみかん農家を継ぐ子に必要な語学はやっぱり、タガログやベトナム語や中国語だと思うよ。

引用終わり


教育の現場では、英語教育の前に日本語教育、それも会話練習という問題があり、地方にいくと(うちの田舎だけではないと思う)過疎化の話から、タガログ語、ベトナム語という、想像も出来ない事態が進行している。

昔(20年くらい前)、宇和町(人口1万8千人)にフィリピンバーが2軒(?)あると聞いて、日本全国でどの位のフィリピン女性が働いているのかを考えて卒倒しそうになったけど、狩江のみかん農家の話を聞いて、同じ思いにかられました。一体、どのくらいのフィリピン人、ベトナム人が日本の農場で働いているのだろう。(追加情報をもらった:狩江のベトナム人やフィリピン人は基本的に農業研修生なので皆すばらしく礼儀正しく、地域にすっかりとけ込んでます。3年程度で次の人と入れ替えみたい。とにかく夏の暑さにめっぽう強いので、夏の段々畑の労働では最強です。地域のお年寄りも皆大喜び。冬の町内駅伝大会にも外国人選手枠で出場したりしてなじんでますよ。治安面の心配などみじんも感じません。)

小沢民主党が、在留外国人に選挙権をと言っているのは、このような膨大な票田を知っての事かもしれませんね。そういう意味で、小沢は鋭い。(都会育ちなのに、田舎をよく知っている)

英語に話を戻そう。

はっきり言おう。アメリカにいる日本人で英語が必要な人で、最終的に英語の出来ない人なんか見た事がない。その他の才能やスキルがあり、アメリカで活躍する人は実用レベルの英語になる。例えば、ゴルフの青木功、ノーベル賞の利根川進、指揮者の小沢征爾の英語を聞いたら、椅子から転げ落ちる。でも、この人達に英語のハンディなど一つもない。甘ったれている場合ではないのである。

英語がどうのこうのという前に、みかん畑で、フィリピン人やベトナム人を使って、みかんを収穫した方がよっぽど役に立つ。

人の褌で取り始めた相撲だが、これまでで一番と言って良い程熱くなった。