YS Journal アメリカからの雑感

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限界都市 デトロイト

2010-03-03 10:47:58 | ミシガン関連
地元で教員をしている友人から時々田舎の様子を知らせてもらうのだが、昨年のメールで、町のあちこちの地区が限界集落なっている事、7つあった小学校が将来的には3つに統合される事を知った。出身小学校は既に複式学級になっており、統合後は無くなるそうだ。(私が卒業したときの生徒数は80人位だった。同級生は15人。)

2年前に帰省したときは、相変わらずの田舎という感じであったが、静々と高齢化が進んでいるようだ。四国なので豪雪等の厳しい気象環境ではないし、比較的道路などが整備されているので町の中心部への移住などの計画はなさそうだ。が、元々父方が住んでいた山間の集落は数年後には消滅するのではないかと思うと感慨深いものがある。

さて、アメリカでは、10年に一度行われるセンサス(国勢調査?)と呼ばれる人口統計の調査が、今月始まる。ご存知の方も多いと思うが、アメリカは戸籍が無く、人口などのデータはセンサスがベースとなる。(基本的には郵送)

これまでデトロイト市は、センサスの度にストリートパーティーと呼ばれる隣近所が参加するイベントを開催したりして、センサスの調査票提出率を出来るだけ上げようとしていた。理由は、勿論、お金である。一人当たり $1,000-1,200 と推測される連邦政府から支出を漏れなく受け取るためである。

が、今年は少し事情が違う。人口が少ない方が都合が良いのである。少ない人口を根拠に都市再開発の政府補助金を貰おうというのである。(と言っても、通常の補助金も欲しいので両刃の剣であるが、センサスための予算に余裕が無い。)

1950年代にはデトロイト市の人口は約2百万人であったが、現在は、約90万人。存在している住宅の25%が空家であり、朽ち果てた家や空家も至る所にある。(私がデトロイトに来た80年代後半には、ハロウィーンの夜は Devil's night と呼ばれて、空き家に放火する事が流行し、ひどい年は数百件の放火があった。焼かれた家は崩れ落ちたまま。)

デトロイト市の面積は139平方マイル(356平方キロ)、人口約165万人のマンハッタン、23平方マイル(59平方キロ)に比べて、面積は6倍なのに人口は半分であることを考えると、デトロイト市の荒れたさまが理解しやすいと思う。)

2百万人を支えるインフラがあるのだが、人口の減少、アメリカの都市特有の貧困問題等で、何年も市財政は赤字続き、又、この大不況で更に税収が落ち込んでおり、維持が出来ない状態になっている。

デトロイト市は、限界都市なのである。

では、再開発計画はどのようなものであろう。

人口密度の低い地区の住民を高い地区に移住させ、その地区を更地にするのである。つまり市内にコロニーを作るのである。市全体に散らばっている行政サービスや学校をコロニーにまとめ効率を上げようというのである。コロニー間には公共交通機関の予定もある。更地は都市農園の計画がある。(更地なのでどうにでもなる)

元々デトロイトは、フランス人が入植して開発が始り、60年代の黒人暴動までは、ニューオリンズの様な街だったとの事だ。今でも、フランス語っぽいストリートの名前があったりする。(ニューオリンズは行った事が無いが、ハリケーン カタリナの後なので、今ではニューオリンズがデトロイトの様になっているとも言える。でも、今年セインツがスーパーボールで勝利したが、それに比べて我がデトロイトライオンズは)

都市再開発の先鞭として注目を集めているようなので、今後の展開に注目している。しかし、人口は最終的には70万人になるとの予想があるし、巨額の投資に見合う結果が出るのだろうか?取り敢えず、GM本社は残るそうだが、自動車業界の成長には期待出来ないし、観光資源も乏しいので、厳しいそうだ。

限界になると、田舎も都市も大変である。