8月下旬から9月初旬,
河原や丘陵の山道を歩いていると,
まっすぐに伸びた茎の穂状花序に
薄紫色の花をつけた草丈30cmほどの
野花を見つけることができます。
蔓穂(ツルボ)です。
ツルボはユリ科の多年草,
穂状花序に小さな花を密につけています。
するすると伸びた茎にはヒガンバナと同じく,
葉が見られません。
飢餓のとき,食料として役に立つ植物を救荒植物といいます。
江戸時代また第2次世界大戦の後など,
ツルボは救荒植物としてその鱗茎を利用されたようです。
ツルボとほぼ同じ時期,ツルボに似た花をよく見ます。
ヤブランです。
葉があるところは違いますが,
小さな花の形,花の色などはよく似ています。
ランの名がつきますが
関東以西の温暖な地に生育するユリ科の植物です。
葉などが園芸用に改良され,
庭園などにも多く植えられていますが,
山地の林間などに自生しているものもまだ多く見られます。
これら自生しているものは日当たりのせいでしょうか,
園芸用に植えられたものに比べると
花茎が一つ,二つと小さい個体として見られます。