ドイツは、原子力発電の全廃をすることで、その穴埋めに行っている再生可能エネルギーの活用がコスト増大で大誤算を生じているという。再生可能エネルギーの活用は、絶対に成し遂げなければならないことなのだが、そこに掛るコストの見積もりは当初の見込みを大幅に増大した。何故このような誤算を生じたのだろうか。日本で計画している再生可能エネルギーの活用はドイツをモデルにしようとしているのだから、見過ごすことはできない。
再生可能エネルギーは、太陽光、風力、地熱、燃料電池など自然を使ったエネルギーが殆どである。現在まで使ってきた原子力に比べて、原料となるコストは確かに掛らないが、設備投資へのコストが極めて高くつくのである。原子力発電との比較は大変難しいが、将来を見据えれば安くつくと考えていたに違いない。原子力発電も安全性が確保できるのであれば、決して高いものではないかもしれないが、最終コストという面から考えると、原子力発電も安いものではない。要は、電力を製造するコストは、どのような方法を取ったとしても、それほど変わらないのではないだろうか。
ドイツで大誤算となっている再生可能エネルギーは、様々なシミュレーションをしてきたはずなのだが、それでも計算違いがあったということになる。想定外、という言葉は簡単に使ってはいけないのだが、やはり想定外があったとしか考えられない。今後の対策としては、日本は再生可能エネルギーの活用をこのまま進められるのだろうか。例え見直しをするにしても、原子力発電を今すぐに止めることは可なり難しい。現状では、30年後に全廃の方向で検討しているというが、再生可能エネルギーの本格的活用が30年後に間に合うかどうかである。発電量を原子力発電と同程度に持っていくには、莫大なコストを必要とする。今考えているコストではできそうにないことはドイツの例ではっきりした。
夢と現実は違う。再生可能エネルギーの活用が夢ではなく現実に100%原子力に変わることが出来ればいいのだが、果たして自民党や民主党が掲げている、今から18年後にそのようになるかどうか。国民は再生可能エネルギーに係る膨大なコストを本当に理解しているのだろうか。全て税金で賄わなかれバならないということを。表面的なことしか考えない日本人が、税金の重圧に耐えられるかどうかである。