こんな法律が成立するかもしれない。名前からすると立派に見えるが、中身は大変な危険を含んでいる。最も重要な「人権侵害」の定義が極めて曖昧だという。ということは、このような法律ができると悪用されることが最も恐ろしい。その昔、「治安維持法」、「治安警察法」という法律が施行されていた。これらの法律は国の治安を守るという大前提のもとに施工されたのだが、実際には言論統制による弾圧のために悪用されてしまった。
法律というのは立派な考えのもとに作られるのだが、所詮は人間が作るもの、悪用しようという人間にとっては容易いことだ。特に重要な事項の定義付をしっかりしていないと必ず悪用に走ってしまう。悪用する人間は、隙間のあるところを探して、そこから悪用の道を作ってしまう。一度作れば、あとは簡単である。悪用を拡大していくのは行政でなくても出来てしまう。
人権救済法は、名前に誤魔化されて多くの人が賛成することになりかねない。要は、基本的なことをしっかりと規定しないと、このような法律は作ってはいけないのである。なぜ急いで作ろうとしているのか、その裏側が良く解らない。法務大臣が早く作りたがっている理由がはっきりしない。個人的な何か思いがあるのかもしれない。しかし、法律は一度できてしまうと、あとで取り返しがつかなくなる。作る前の十分な審議を重ねて、穴のないようにするのが基本であるはずだ。
民主党政権が、この法律の成立を何故か急いでいる。単なる人気取りのためというなら、これほど危険なことはない。どのような法律でも、作った後のことを考えなければならない。表向き、いいものに見えても中身に問題があるのであれば、それは成立を急いではいけない。慎重さが求められるのは当然の事なのだが、今の政権では、そのことがおろそかになっている。末期症状を示している政権が、危険な法律を作るのは異常そのものである。