カクレマショウ

やっぴBLOG

事故の報道について

2005-05-03 | ■テレビ/メディア
JR西日本の列車事故に続いて、今日は静岡県警のヘリコプターが墜落して5人が死亡するという痛ましい事故が起きました。これらの事故に関するテレビ報道をつらつら見ていて感じたこと…。

うろ覚えで申し訳ありませんが、地元の青森放送は、何年か前に「被害者や遺族にはマイクを向けない」ことを社内で取り決めたと聞いたことがあります。全国的にはそれがどの程度広がっているかはわかりませんが、列車事故の報道を見る限りでは、どのテレビ局も遺族のインタビューはニュースソースとして欠かせない、というスタンスのようでした。放心したように妻の思い出を語る夫、息子の死に泣き崩れる母親、恋人の名前を叫ぶ女性…。そんな映像が毎日のようにテレビから流されていました。「愛する人を突然の事故で奪われた悲しみ」がストレートに伝わる。それはテレビの強みであると同時に、ともすればテレビの傲慢さをさらけ出しているようにも感じました。

遺族の方が、JR西日本(の社長や幹部)に対して怒りの言葉を投げかける場面も数多く目にしました。遺族の方にしてみれば、「やり場のない怒り」をぶつけるしかないのだとは十分わかりますし、JR西日本の「日勤教育」とかいう社員を追いつめるような体制があったことが事故の遠因とも言われていることも承知の上ですが、ああいう場面は見ていてあまり気持ちのいいものではありません。

事故の目撃者のインタビュー。今日のヘリコプターの墜落でもそうでしたが、テレビカメラを向けられた人がどうにも「うれしそうに」事故の様子を語っているような気がしてしかたがありません。時には笑みさえ浮かべて事故の状況をなまなましく「レポート」する人たち。事故をまのあたりにして興奮のあまり、という気持ちはわかります。それはしかたのないことなのかもしれません。ただ、テレビ局はそんな「うれしそうなレポート」の次に事故現場の悲惨な映像を流し、「死者の数は今後ますます増えそうです」などとナレーションをつけるのです。その神経がわからない。悲しむべき事故の報道に、「笑み」を浮かべた人の顔は必要ないと思うのです。そんなインタビューしかとれなかったのなら、いっそ「音声」だけでもいいではないのでしょうか。

今日のヘリコプター事故の報道で気になったのは、住宅地に墜落したということで、亡くなった県警の乗員5人の命より、「一歩間違えば周辺の住民に大きな被害が出ていたかもしれない」ことが報道の中心となっていた点です。列車事故で亡くなった107人の方の命と同じように、今日の事故で亡くなった5人の方の命もかけがえのないものであり、それぞれに悲しむ人がいるはずです。思いもよらない事故で亡くなったという事実には変わりないはずなのに、なぜこんなに報道のスタンスが違うのだろうと思います。

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2 コメント

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ずれているかもしれませんが (よしあき)
2005-05-08 18:21:51
はじめまして。静岡県在住の者です。



県警のヘリ墜落事故については、静岡市内で起こった

事故なのでこちらでは大きく取り上げられていました。

ただ、現場(ヘリが炎上しているところ)を撮影したのが

どうやら報道関係者ではなかったようで、いろいろな

言葉が入ってきました。燃えてるとか爆発するとか……

その言葉のほとんどが、どうも興味本位のような感が

否めなかったのが正直なところです。実況というか。



一方、脱線事故の報道についても「叩けば叩くほど」な

状態になっており、最近は毎日違う話が出てきます。

ただどうも無意味なバッシングを繰り返しているような

気がしてなりません。不祥事を起こした企業の言い訳は

なにもJR西日本でなくてもほとんど同じようなもので、

追求している報道関係者側もかつての不祥事がらみの

記者会見と大差ないのではと思えるからです。



必死になってアラを追求しているように見えてしまうのは

意地悪な解釈でしょうか。こういう話になると、必ず

傲慢と隣り合わせの使命感と正義感が漂うような……。



乱文、失礼いたしました。
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アラ探し (yappi)
2005-05-21 22:25:47
よしあき様

コメントありがとうございます。

アラ探しはマスコミのもっとも得意とするところですね。他社とは違うネタを探そうと思えば、アラを探すしかないわけですから。おっしゃるとおり、「無意味なバッシング」もまま見られますね。こういう大事故の報道を見る時にはよほど心して情報を受け止めなければとつくづく思います。
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