カクレマショウ

やっぴBLOG

テレビで見る五輪─無粋なインタビューと合掌する選手

2008-08-27 | ■テレビ/メディア
昨日書きかけた、オリンピック報道について。

誰かが、やっぱりスポーツ中継はNHKに限る、って言ってましたが、まったく同感です。「過剰な」というより、「余計な」演出をしたがる民放は、黙って通常番組でも流していてほしい。ワイドショーでオリンピックの話題を取り扱うのはご自由に。「家族愛」とか「怪我を乗り越えて」といった付加価値をつけて見せるのもいいでしょう。しかし、生中継で余計なおしゃべりはいらない。

ただ、NHKでも、アナウンサーや解説者の必要以上の「絶叫」はなんとかならないものか。絶叫はテレビのこちら側に任せて、淡々と実況してほしいし、ルールやプレーの解説をしてほしい。特に気になったのは、死闘の末、念願の金メダルを獲得したソフトボールの解説者。前監督とはいえ、あまりにも気持ちが入りすぎでした。肝心のプレーの解説は、素人でもわかりそうなことばかりで…。ま、クールな解説でいつも好評の柔道女子、山口香さんでさえ、谷本選手の優勝の瞬間は、絶叫してしまいましたから、抑えろという方が無理なのかもしれませんが。

柔道女子といえば、決勝で敗れた塚田選手に対するインタビューは酷でしたね。負けた直後の選手にマイクを向けることがなぜ平気でできる? そっとしておいてあげるのが日本の美学ではなかったのか。あるいは、決勝で敗れて銀メダルに終わってショックを受けている選手に、「でも銀メダルですよ、すばらしい結果でした。」というのもどうかと思いました。それは、たとえば「1年後」に言ってあげるセリフではないのか。少なくとも「今」言うべき言葉ではない。

それから、二言目には「ロンドンでも期待してます。」と涼しい顔で選手に言うインタビュアーも気になります。おいおい、まだ北京大会も終わってないんだよ~! 選手たちは、とりあえず、この北京を目指して4年間必死になってトレーニングを積み重ねてきたのです。勝っても負けても、終わってほっとしているというのが多くの選手たちの心境ではないのか。「ロンドンはもう少ししたら考えます。」とはっきり言う選手もいましたが、終わったばかりでまた尻を叩かれるのは、自分ならカンベンしてよーと思います。

とかなんとか、文句を垂れながらも、結局はテレビでオリンピックを楽しむしかないわけですが、昔は、私もオリンピックの期間中だけは「にわか愛国者」と化して、日本人選手の活躍に心躍らせたものですが、最近はそういう気持ちもだんだん失せてきたというか…。これもトシのせいか。

私がこの大会でたまたま見たテレビ中継の中で、とても印象に残っているシーンがあります。開幕直後に行われた女子重量挙げ。ウェイトリフティングって、相手と戦うわけでもなく、孤独感漂う不思議な競技だなあと、日本の三宅選手や見るからにたくましいトルコの選手であるとか、可憐なカナダの選手などを眺めていたのですが、やや、と思ったのは、タイの選手。彼女は、試技に入る前に必ず合掌するのです。あたかも目の前のバーベルに対して、挙がってくれよ、と祈るかのようにちょこんと手を合わせる。実際には、あれは仏様に上々の首尾を願っていたんだなあと、あとになって思いましたが、それにしても、テレビの前に正座して見なければ失礼と思うほどそれは美しい姿でした。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白い、同感! (五輪魂)
2008-08-28 10:27:19
こんなクールで冷静な考え大好きです。
私はローマ大会まではスポーツ愛国者でしたが東京大会以後はその気持ちが失せました。スポーツを純粋なスポーツとして観賞したい気持ちの表れ?でしょうか。世界の一流の選手を見るいい機会なのに、自国の選手の応援ばかりしても・・・。
非国民と言われそう。
高校野球、駅伝(高校、実業団)、プロ野球、ラグビー(高校、実業団)では地元のチームに心躍らせる・・・。
オリンピック報道もワイドショーなんかでやって欲しくない、スポーツの観点でやってほしいと思う次第です。
蛇足ながら、プロの参加、報奨金もオリンピックの興味を半減させられました。
返信する
ありがとうございます。 (やっぴ)
2008-09-02 00:03:39
「ローマ大会まで」、とはお見それいたしました。
アベベですね。

サッカーなんかだと、日本チームを応援する人だけでなく、イタリアとかブラジルチームのファンもけっこういるような気がするのですが、オリンピックだとガンバレ日本一色になってしまいますよね。

かつてはアマチュア精神がオリンピックの原則の一つだったと思うのですが、いつからか消えてしまいました。スポーツのプレーにお金を出す、という意味では、プロも報奨金も同じですね。アマとプロの境界が限りなく曖昧な今の時代には仕方のないことなのかもしれませんが。
返信する

コメントを投稿