昨日、「早春スケッチブック」というドラマのことを書いた。山田太一のドラマにはいろんな思いが重なる。
「男たちの旅路」をリアルタイムで見たのは中学生の頃。「シルバーシート」、「車輪の一歩」…。重いテーマに立ち向かう吉岡司令補(鶴田浩二)の一言一言が、青臭い僕の心にもビンビン突き刺さってきたものだ。再放送も何度かされているので、その後も繰り返し見ているが、水谷豊が根室まで吉岡司令補を探しに行く回(「流氷」)がとても好きだ。この回を最後に、水谷豊は姿を消し、代わって清水健太朗と岸本加世子が中心になっていくのだ。
鶴田浩二も亡くなり、「シルバーシート」で都電を占拠する老人を演じた俳優たちのほとんどは既に亡くなっているし、「車輪の一歩」で車椅子の青年を演じていた古尾谷雅人は自殺、清水健太朗は最近また逮捕されるしで、時代の移り変わりを感じる次第。
大学に入りたての頃に見たのが「想い出づくり」。ザンフィルによるテーマソングのイントロがとっても印象的だった。古手川祐子、田中裕子、森昌子の3人の女性が主人公だが、私には、盛岡弁で森昌子に言い寄る加藤健一や、田中裕子の見合い相手で、古今の名言をさりげなく引用する知的な矢島健一の方がなぜか印象に残っている。
「ふぞろいの林檎たち」シリーズは、全く同年代でストーリーが進んだこともあり、全巻ビデオをとって何度も見直している。友人どうし3人で、誰が岩田(時任三郎)で誰が仲手川(中井貴一)、そうなると実(柳沢慎吾)は誰で、と「役割分担」もめていたことを思い出す。
ふぞろいで特に好きなのは就職して1年後を描いたパート2。「お前らはまだ“とば口”にいるんだ!」室田日出男演じる仲手川の上司のセリフが印象的だ。「若いモン」に対して不満を感じているのは吉岡司令補と同じだが、こちらの方がよりストレートに気持ちをぶつけようとする。スタミナ丼をかっこんで涙を見せないようにして仲手川(中井貴一)に語りかける室田。いいシーンだと思う。しかし彼も亡くなってしまった。
1983年、ふぞろいのパート1の何ヶ月か前に放映されたのが「早春スケッチブック」だった。見てすぐにシナリオ本を買った。山崎努のセリフがあまりにも凄すぎたので、反復したかったのだ。
山崎努、岩下志麻、河原崎長一郎、樋口可南子。そして鶴見辰吾、二階堂千寿。このドラマこそもう一度見たい。山崎努と二階堂千寿が何も言わずに夕暮れの街を歩くシーンとか、河原崎長一郎(最近亡くなってしまった)の善良なお父さんぶりとか、焚き火をするシーンとか。みんないい演技していたなあと思う。
河原崎の世俗と山崎努の超世俗。しかし最後にはそれが融合する。それを可能にしたのは家族を超えた人間どうしの深いつながりか。
「男たちの旅路」>>Amazon.co.jp
「ふぞろいの林檎たち」>>Amazon.co.jp
「早春スケッチブック」>>Amazon.co.jp
「男たちの旅路」をリアルタイムで見たのは中学生の頃。「シルバーシート」、「車輪の一歩」…。重いテーマに立ち向かう吉岡司令補(鶴田浩二)の一言一言が、青臭い僕の心にもビンビン突き刺さってきたものだ。再放送も何度かされているので、その後も繰り返し見ているが、水谷豊が根室まで吉岡司令補を探しに行く回(「流氷」)がとても好きだ。この回を最後に、水谷豊は姿を消し、代わって清水健太朗と岸本加世子が中心になっていくのだ。
鶴田浩二も亡くなり、「シルバーシート」で都電を占拠する老人を演じた俳優たちのほとんどは既に亡くなっているし、「車輪の一歩」で車椅子の青年を演じていた古尾谷雅人は自殺、清水健太朗は最近また逮捕されるしで、時代の移り変わりを感じる次第。
大学に入りたての頃に見たのが「想い出づくり」。ザンフィルによるテーマソングのイントロがとっても印象的だった。古手川祐子、田中裕子、森昌子の3人の女性が主人公だが、私には、盛岡弁で森昌子に言い寄る加藤健一や、田中裕子の見合い相手で、古今の名言をさりげなく引用する知的な矢島健一の方がなぜか印象に残っている。
「ふぞろいの林檎たち」シリーズは、全く同年代でストーリーが進んだこともあり、全巻ビデオをとって何度も見直している。友人どうし3人で、誰が岩田(時任三郎)で誰が仲手川(中井貴一)、そうなると実(柳沢慎吾)は誰で、と「役割分担」もめていたことを思い出す。
ふぞろいで特に好きなのは就職して1年後を描いたパート2。「お前らはまだ“とば口”にいるんだ!」室田日出男演じる仲手川の上司のセリフが印象的だ。「若いモン」に対して不満を感じているのは吉岡司令補と同じだが、こちらの方がよりストレートに気持ちをぶつけようとする。スタミナ丼をかっこんで涙を見せないようにして仲手川(中井貴一)に語りかける室田。いいシーンだと思う。しかし彼も亡くなってしまった。
1983年、ふぞろいのパート1の何ヶ月か前に放映されたのが「早春スケッチブック」だった。見てすぐにシナリオ本を買った。山崎努のセリフがあまりにも凄すぎたので、反復したかったのだ。
山崎努、岩下志麻、河原崎長一郎、樋口可南子。そして鶴見辰吾、二階堂千寿。このドラマこそもう一度見たい。山崎努と二階堂千寿が何も言わずに夕暮れの街を歩くシーンとか、河原崎長一郎(最近亡くなってしまった)の善良なお父さんぶりとか、焚き火をするシーンとか。みんないい演技していたなあと思う。
河原崎の世俗と山崎努の超世俗。しかし最後にはそれが融合する。それを可能にしたのは家族を超えた人間どうしの深いつながりか。
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とても読み応えのあるページでついつい長居していましたところ、早春スケッチブックの文字が目に飛び込んできたので嬉しく思い足跡残させて頂きました。
わたしは小学生の頃にあのドラマを見たのですが岩下志麻と山崎努の粋な台詞に魅せられたものです。
山田太一の作品では「岸辺のアルバム」なども好きですが著作権の関係でDVD化出来ないとのこと。
非常に残念に思っています。
また本館の方をゆっくり見させて頂きますね。
「ドクトル・ジバゴ」も大好きな映画です。
コメントありがとうございました。
早春スケッチブックに思い入れのある方、世代を超えて多いような気がしています。
貴サイト拝見しました。するどい映画評、楽しく読ませていただきました。またおじゃまします。