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サービス精神に富んだナルシスト―山下達郎コンサート

2012-05-04 | ■私の好きな歌
4月22日、青森市文化会館で行われた山下達郎のコンサート。よく考えてみたら、1991年に青森に来た時以来だから、20年以上ぶり。今回はたまたまチケットを譲ってもらったおかげで、久々に濃い時間を過ごすことができました。

今回のセット・リストはこんな感じでした。(多少間違っているかも…)

1 THEME FROM BIG WAVE
2 SPARKLE
3 DONUT SONG
4 素敵な午後は
5 僕らの夏の夢
6 プロポーズ
7 Solid Slider
8 俺の空
9 雨は手のひらにいっぱい
~ア・カペラコーナー~
10 バラ色の人生~ラヴィアンローズ
11 おやすみロージー
12 Have Yourself a Merry Little Christmas
13 クリスマス・イブ
14 希望という名の光
15 さよなら夏の日
16 今日はなんだか
17 Let’s Dance Baby
18 高気圧ガール
19 アトムの子
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20 街物語
21 Ride On Time
22 恋のブギ・ウギ・トレイン
23 Your Eyes

これだけの数の曲を、軽妙なMCを交えて、3時間半も歌い続けるなんて、今年59歳になったとは思えない。さすが山下達郎です。

うれしいのは、ほとんどの曲が、オリジナルとほぼ同じアレンジだということ。特に昔の曲は、30年前にレコードで聴いていたのと全く同じようにライブで歌ってくれるので、「よみがえり感」がスゴいんです。1曲目の「BIG WAVE」でいきなりざわっと鳥肌が立って、たたみかけるような勢いの2曲目「SPARKLE」のイントロで、もう完全ノックアウト。あとは、最新アルバムからの曲、おなじみのヒットナンバー、そしてお得意のアカペラコーナーと、本当に盛りだくさんで飽きさせない。







もうスタンダードナンバー化している「Let's Dance Baby」は、私の大好きなアルバム「GO AHEAD!」の3曲目に収録されている歌です。この曲もイントロから原曲とほとんど同じアレンジ。曲が始まると、さっそく隣のお客さんがクラッカーを手渡してくれて、2番の出だし「心臓に指鉄砲」のところに合わせて、一斉にクラッカーを鳴らすのもお決まりのコース。達郎も心得ていて、歌いながら「今日はちょっと(鳴らすの)遅いよー」なんて茶々を入れる。こういう雰囲気も達郎ならではで、楽しいったらありゃしない。




今回、私が一番聴き惚れたのは、「Solid Slider」。これも大学時代に聴いていた初期のアルバム「SPACY」からのナンバーです。当時、この曲のベースラインを基調としたアレンジのかっこよさにしびれていたものですが、今回のツアーから参加している若手サックス奏者の宮里陽太のためにこの曲を選んだのではと思うほど、後半のサックスが際立っていました。もうほとんどあの部分は、居心地のよいジャズバーにいるような雰囲気でしたね。もちろん、難波弘之のキーボード・ソロもしっかり聴かせてくれましたし!




山下達郎って、自分の声とか音楽的才能にすごい自信を持っていますよね。ナルシズム、といっても間違いではないと私は思う。ちょっと鼻につくところもなきにしもあらずですが、けど、それは決してひとりよがりのナルシズムではなく、誰しも認めてしまうあたりが凡人とは違うところです。

さらに!

山下達郎という人は、とてつもないサービス精神のかたまりであると、改めて思いました。お客さんたちが、自分の歌を、声を聴くために来てくれている、自分のパフォーマンスを楽しみにしてくれているということを十分分かっていて、その期待に全身全霊で応えてくれる。今回のツアーは、曲選びに非常に苦労したという話をしていましたが、おそらく、どの曲を歌えばお客さんが今いちばん喜んでくれるかということが選曲の際の最も大事な基準なんだろうと思います。そう考えると、演奏してくれた1曲1曲に達郎の心がこもっているような気がして、いとおしいような気持ちにもなりました。

彼のサービス精神の極致が、アンコール後の数曲。もうさすがにここで終わりだろうと何度思ったことでしょう。ところが、達郎は私たちの予想を見事に裏切って、次の歌を歌い始める。しかも、大トリは、アカペラで「Your Eyes」をじっくり歌い上げてくれるんですから、まいった!って言うしかありませんよね。




観客にものすごく心地よい余韻を残して、達郎は舞台の袖に消えて行きました。今日も俺はやり遂げたぞという表情を浮かべて。うん、この去り方もいかにも達郎らかったよなと、コンサートがはねたあとの飲み会で語ったものでした。

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1 コメント

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責務を負った(?)ナルシスト (ひらい)
2012-05-04 13:21:24
3時間半のステージとは精力的ですねー
うらやましい限りです。。
山下達郎といえば昨年掲載された下記のインタビューが印象的でした。

「職人でいる覚悟」山下達郎が語る仕事(asahi.com)
http://www.asakyu.com/column/?id=1028
http://www.asakyu.com/column/?id=1031
http://www.asakyu.com/column/?id=1034
http://www.asakyu.com/column/?id=1037

「海外公演の誘いがたくさんありましたが、全く興味がありません。そんな時間があったら、日本のどこかで真面目に働いているファンのために演奏し、歌いたい。それが僕に課せられた責務だと思っています」

こうした姿勢が59歳にして3時間半のステージを実現する原動力になっているのかもしれませんね。
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