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七夕の起源

2006-07-07 | ■世界史

今日は七夕。日本のほとんどの場所は梅雨の真っ最中ですので、なかなか晴れた七夕を迎えるのはむずかしいと思うのですが、気象庁によると、過去30年間でこの日晴れたのは東京で33%だとか(朝日新聞、2006年7月7日付け)。それもそのはず、七夕が7月7日というのは、旧暦に基づいているのです。今の暦に換算すると、8月中旬になります。仙台の七夕祭りは8月7日ですが、これは月遅れで行われているのだそうです。

1年に1度七夕の夜に「出会う」とされる「織女星」(おりひめ=こと座のベガ)と「牽牛星」(ひこぼし=わし座のアルタイル)。この2つの星が天の川をはさんで最も明るく輝いて見えるのは確かに旧暦の7月7日頃です。しかし、あくまでも「頃」です。なぜ「7月7日」なのか? これには諸説あるようですが、たぶん、陰陽五行説に因んだ五節句(1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)に関係あるのではと思います。

七夕の起源は古代中国にあります。今から3,000年も前の文献に既に「織女星」の名が見られるとか。「牽牛星」が登場するのは、紀元前500年頃に記された「詩経」。「織女星」はその名の通り、機(はた)織りの女性を象徴しています。古代中国では、7月7日に織女星にあやかって機織りや裁縫が上達するように祈りを捧げる習慣がありました。これが「7月7日」の由来とされている説の一つです。

日本では、上古から「棚機」(たなばた)という織機を使って乙女たちが着物を作り神に捧げるという習慣がありました。仏教伝来後、この行事がお盆(旧7月15日)の準備を始める頃の7月7日に行われるようになります。これも7月7日の由来の一つです。「たなばた」という呼び名もここから来ているのですね。また、短冊に願いごとを書いて笹に吊すという習慣は江戸時代頃に始まったと言われています。ちなみに、「5色の短冊」の5色とは陰陽五行説の5色のことで、緑・赤・黄・白・黒です。

いずれにしても、七夕は、中国の民間信仰をもとに、日本の習俗が入り交じって生まれたものと言えるようですね。

ところで、おりひめとひこぼしは本当に「出会う」ことができるのでしょうか? 実はこの2つの星の間の距離は約16万光年ですから、光の速さでも常に16年はかかる距離にあるのです。「出会う」どころか近づくことさえできないのです。…なんて、まるでロマンチックじゃない話で失礼しました。七夕伝説では、この2つの星の間にカササギの群れが橋をかけてくれるのです。

旧暦7月7日に降る雨は、洒涙雨(さいるいう)と言うのだそうです。七夕に会えなかったふたりの涙雨。

それにしても、昔の人間はなんて想像力に富んでいたのでしょうか。

 

 


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