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カクレマショウ

やっぴBLOG

山田太一「終わりに見た街」。ふぞろいの林檎たちのさらなる成長。

2005-12-03 | ■テレビ/メディア
しかし、中井貴一と柳沢慎吾じゃ、どうしたって「ふぞろいの林檎」でしょう。冒頭、幼なじみの二人が久々に再会する場面。これはふぞろいの続きかーと思ってしまいましたもん。ふぞろいで中井貴一の母親役をしていた佐々木スミエが農婦役で登場してきて、中井とポンポン掛け合いするは、柳沢慎吾が電柱を叩いてグチるはで、あ、ふぞろいふぞろい、と思って見ていました。

何の説明もなく、中井貴一一家4人が、家ごと昭和19年にタイムスリップしてしまいます。何の説明もなく、ほぼ同時に、柳沢慎吾とその息子もタイムスリップ。中井と柳沢は、久々に会って一度飲んだくれた関係だけなのに、そこは幼なじみ。昭和19年の世界では生活を共にしながら、一度もいがみあうこともなく助け合って生きていきます。ふぞろいと違って、今回は柳沢慎吾がとてもたくましい役柄でした。ふぞろいの「実(みのる)」がお得意だった子どもっぽいグチや口の悪さは全くなく、「電柱を叩いてグチ」ていたのも極めて「大人」っぽいグチでしたね。実といえば、今回中井の息子の役名が同じ読みの「稔」でした。中井が息子を「稔」と呼ぶと、なんだか「実」とごっっちゃになって、カンベンしてくれーと思いました。

それはともかく、タイムスリップもの、となると「いつ、どうやって元の時代に戻るのか」ということがずっと頭から離れないまま見てしまいます。このドラマも、たぶん何かの拍子で元の時代に戻り、タイムスリップしたあの朝をベッドの中で迎えるんだろうな、それで「戦争体験」をしたオトナも子どもたちも、なんだか少し「人生観が変わって」生きていく…という終わり方なんだろうな、と予想していたのですが、さすが山田太一、そんな定石どおりの「終わりのない街」ではありませんでした。

あれはもう、「猿の惑星」と同じくらいの衝撃でした。戦争中の物資の乏しさや飢え(この前見た「火垂るの墓」を思い出しました)、日本人がかつて体験した「過去」のそんなつらさや悲しみを、豊かさに飽いた現代の家族が体験する、という設定にすっかりだまされていました。戦争が決して過去の遺物なんかじゃなくて、これからも起こりうるんだということを、ラストの映像が如実に示していました。

中井貴一も、柳沢慎吾も、いい役者になったなあとつくづく思います。こんな肉厚なドラマにもしっかり応えられるだけのパワーを感じました。それはたぶん、ふぞろいのおかげ?です。

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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同感でした (yurie)
2005-12-04 02:10:29
わたしも見ていて衝撃を感じたと同時に、背筋がぞくっとしました。

あのような戦争を繰り返してはいけない、と何回も教えられるよりも遥かに心にも体に迫るものがあったように思いました。

戦争を扱ったドラマは8月に放送されることが多いですが、この時期にしてくれたのもいいですね。

考えさせられました。
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書き足りないですね。 (やっぴ)
2005-12-04 02:19:10
yurieさん

コメントありがとうございました。



ラストの10分間ぐらいについては、まだまだ書き足りないことがたくさんあるような気がします。「若者」が戦争の中でストレートな好戦主義に目覚めていく恐ろしさも含めて。



「背筋がぞくっと」させられる、いいドラマを久々に見ました。

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Unknown (ワキー)
2005-12-05 10:57:49
私もあのエンディングにはゾクリときました。

最後の子供達のセリフにも。



「漂流教室」+「猿の惑星」+「ふぞろい」?
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漂流教室! (やっぴ)
2005-12-05 22:29:22
ワキーさん

コメントありがとうございます。



「漂流教室」+「猿の惑星」+「ふぞろい」。…うまいですね。漂流教室はもっとこわかったですけどね!
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